2018年2月17日土曜日

中小企業診断士の実務補習を受けて

中小企業診断士の二次試験に合格したので、早速1回目の実務補習を受講。人生初となる診断先は大崎市岩出山の飲食店。岩出山は葛西・大崎一揆の後に伊達政宗が転封された土地として有名で、1601年に仙台城が完成するまでは岩出山城が伊達政宗の居城であった。個人的には就活のときにリクルーターの名前と勘違いした思い出深い土地である。また、家業である飲食店の店舗運営管理ということで、なかなか運命的なものを感じる実務補習であった。

今回受講したのは5日間コースであるが、自習期間を含めると実質的には2週間程度の研修となった。しかし、診断先に関する事前の情報収集に始まり、経営者へのヒアリング、グループワーク、報告書の作成、経営者への報告をわずか2週間でこなすのは結構なハードスケジュールであった。仕事から帰って徹夜で報告書を作成して、そのまま翌日の仕事に行ったときは流石に倒れるかと思った。連日徹夜で小説を書いている詩羽先輩の凄まじさを実感した瞬間であった。

結果としては納得のいく報告書は仕上がらなかった。実務補習の報告書としては及第点を貰うことができたようであるが、非常にもやもやしている。もやもやの原因は判明していて、定量的な分析がほとんど出来ていないことにある。グループワークは曖昧な議論に終始し、事業改善に向けて提言した施策はいずれも「経験的に考えて効果がありそうだ」くらいのレベルでしかない。相当な経験を持った人物でない限り、定量的な分析が不十分な状態で自信を持って議論することは難しい。時間が不足していたので仕方がなかったとは思うが、本当にこれで良いのかという疑問を抱えながらの作業はすっきりしないものであった。

そもそも経営学はディシプリンを持たない学問である。経済学のように理論に基づいて発達してきた学問と違い、議論が曖昧になりやすいのは仕方がないとも言える。経営学は地理学と同じ領域学に区分される学問であり、地理学が地域を対象とするように、経営学は企業を対象として多面的なアプローチを試みる。学問の基盤となる理論がなく、ケースに応じて実践的な議論が展開されることになる。地理学に惹かれたのも、経営学に惹かれたのも、その実践的な部分に面白さを感じたからに違いないのだが、理論的な根拠を持たないことには漠然とした不安を感じていた。進学か就職か迷った時期があった。理論的な知識やスキルを習得したいなら進学、実践的な知識やスキルを習得したいなら就職を選ぶことになる。しかし、果たして大学院で地理学を勉強して得られるものはあるのか。この不安を払拭することができず、長年の夢であった研究者になることを諦めてしまった。それでも理論を大事にしたい気持ちは今でも残っているらしい。

経営学において理論重視の分野と言えば、定量的な分析を主とするEconomics、Finance、Statisiticsの3分野である。今回はSWOT分析を中心にグループで事業改善の方向性を決めていったが、例えば外部環境については経済学的手法を用いた分析が可能であるし、内部環境についても財務分析にもっと目を向けて良かったように思う。また、全体的に統計の扱いが雑だった。まずは価値のある統計データを収集することから始め、分析方法もケースに応じて変えていく必要がある。最終的には経営戦略と財務戦略の整合性についても十分に検証しなければならない。次回の実務補習までに定量的な分析の手法について勉強したいと思う。

2018年1月28日日曜日

ようこそ実力至上主義の教室へ7.5巻 感想

ようこそ実力至上主義の教室へ7.5 (MF文庫J)
衣笠彰梧
KADOKAWA (2018-01-25)
売り上げランキング: 23

中小企業診断士の実務補習に向けて、急遽ノートパソコンを購入したり、インターネット契約をNTTの固定回線からWiMAXに変更したりと忙しい休日であったが、この7.5巻のおかげで充実した休日になった気がする。4.5巻の夏休み編では堀北が単独表紙を飾ったが、7.5巻の冬休み編で単独表紙を飾ったのは軽井沢。7巻でヒロインレースのトップに躍り出た軽井沢であるが、今回のラストでメインヒロインの地位が不動になったように思われる。表紙の通り、まさにメインヒロインの交代を象徴する巻になったと思う。

純粋に軽井沢のキャラクターも好きだが、こういう脇役ポジションにいた人物が実は重要人物だったとか、サブヒロインが一気にメインヒロインに躍り出ていくという展開が堪らなく好き。当初から自分が目を付けていた人物なら尚更。CV竹達彩奈の時点で何かあるとは思っていたが、ここまで成長するとは思わなかった。けいおんのあずにゃん、俺妹の桐乃、SAOのリーファが竹達御三家だったが、これからは竹達四天王に変えないといけない。

冴えカノの加藤とか、ゲーマーズの亜玖璃とか、最近はこういうダークホース系のヒロインも目立つようになってきた。加藤に関してはメインヒロインになるべくしてなったキャラであるので、個人的にはダークホースでも何でもないが。彼氏持ち、ギャル系という属性を考えると、亜玖璃とは共通点がかなり多いと思う。こうした属性は伝統的なメインヒロイン像からは外れるが、そんなキャラが主人公の一番の理解者となっていくギャップに嵌まるのかもしれない。

7.5巻の内容に触れると、佐藤からクリスマスデートに誘われた綾小路が紆余曲折を経て、平田と軽井沢を含めた4人でWデートをすることになり、最終的に軽井沢との関係性を整理するという展開であった。7巻では龍園の罠に嵌まって非道い目に遭った軽井沢であったが、屋上の一件を契機に過去のトラウマを乗り越えることができた様子。そして本格的に綾小路を意識するようになるが、思いがけずクラスメイトの佐藤から綾小路とのデートについて相談を持ちかけられる。佐藤の懇願により軽井沢はクリスマスにWデートを仕かけることになる。

一方、綾小路は7巻で敵対した龍園や伊吹との関係性に一先ず決着をつける。龍園は相変わらず油断のならない人物ではあるが、一戦を交えたことで綾小路の本性を知る数少ない人物となった。元生徒会長の堀北兄が言うように、綾小路の理解者でもある龍園は良き存在になっていくのかもしれない。本屋では学術書のコーナーに目を向けていた様子だし、闘争の表舞台から降りた後は勉学に励むのかもしれない。真面目に勉強する龍園を想像すると少しかわいい(錯乱)。

そしてクリスマス当日。Wデートではひたすら軽井沢に弄られたり、佐藤の目を盗んで軽井沢と目だけで会話をしたり、もはや佐藤とデートしているのか、軽井沢とデートしているのか分からない状況になっていた。綾小路はデートの最後に佐藤からの告白を断り、茂みに潜んで顛末を聞いていた軽井沢と二人になる。軽井沢から問い詰められた綾小路はデートの目的と告白を断った理由を話す。綾小路は今回のデートで佐藤が利用できる人材であるかを確かめようとしていたらしい。そして告白を断った理由は当の本人である軽井沢を手放したくないためであった。綾小路によると佐藤は軽井沢に遠く及ばないらしく、汎用性の高い軽井沢はこれからも必要な存在らしい。

まるで道具としてしか軽井沢を認識していないような綾小路の口ぶりであるが、屋上の一件の翌日に軽井沢のお見舞いに行こうとしていたことが判明。そして綾小路は軽井沢を名前で呼ぶようになり、秘密を共有する二人は今後もパートナーとしてお互いに力を貸すことを確認する。こんな風に素直な感情を見せる綾小路は珍しいかもしれない。ヒロインより主人公がデレる方がレア度が高いというのはおかしな感じもするが。今はまだ恋愛感情というものが分からないと言う綾小路であるが、綾小路にとって軽井沢は既にかけがえのない存在になっているように思う。そんな綾小路のラストのモノローグ。

ただ、今後オレがAクラスを目指したり生徒会との関係性を絶つことができれば、その時は友人……いや、それ以上の存在として変わっていける気がする。

2018年1月23日火曜日

ゲーマーズ!9巻 雨野景太と青春スキルリセット 感想

ゲーマーズ!9 雨野景太と青春スキルリセット (富士見ファンタジア文庫)
KADOKAWA / 富士見書房 (2018-02-20)
売り上げランキング: 96

亜玖璃エンドの可能性については昨年に記事を書いたが、まさか9巻でここまで進展するとは思わなかった。亜玖璃が表紙という時点でかなり期待していたが、今回のラストの展開によって二人の関係性に大きな変化が訪れそう。ヒロインレースにおいて、亜玖璃が本格的にダークホースとして育ってきた感じがする。一方、8巻で逆転バックアタックに成功したはずの千秋は今回不調気味。瀕死のゴールデンピエロとか言われていた天道さんが意外にも大健闘。雨野の天道さんへの想いが全くぶれていないことが明らかになった巻でもあった。千秋も対抗馬としてのポジションを確立してきたが、本命の天道さんが強すぎて全く勝負になっていない感がある。

9巻の内容を紹介すると、まずは元日の初詣にて雨野兄弟と星ノ守姉妹が遭遇。光正と心春の策略によって、雨野と千秋は元日からデートを強いられることになる。そして二人のデート現場を目撃して尾行する天道さん。雨野は千秋への恋愛感情を認めつつも、天道さんを好きであることを千秋に告げる。それを聞いた天道さんはホワイトデーを期限に勝負を決着させることを二人に提案する。雨野の勝利条件はホワイトデーまで天道さんを好きでいること。千秋の勝利条件はホワイトデーまでに雨野を振り向かせること。いつの間にか雨野と千秋の勝負になっていた。でも、冷静に考えると2対1の勝負なので不公平な感じはする。

ホワイトデーに向けて、雨野はこれまでのような勘違いや錯綜に巻き込まれないように細心の注意を払っていた。亜玖璃から例のごとくファミレスに呼び出された雨野であったが、別れのタイミングで雨野はファミレス会をしばらく控えることを亜玖璃に告げる。雨野の考えに理解を示した亜玖璃であったが、不自然な別れ方に違和感を覚える雨野。

さらに伏黒真音と伏黒美衣という新キャラが登場。上原、光正、三角、加瀬先輩という微妙な距離感の男子中高生4人組は妙な偶然から迷子になっていた小学生の美衣を保護。上原に呼び出された雨野は美衣の保護者探しに付き合うも、いつもと違う様子の雨野に上原は違和感を覚える。ここで雨野と上原は美衣の保護者、魔王と称せられる作中屈指の強キャラである真音との邂逅を果たす。

天道さんがゲーム部で見つけた古いゲームには過去のゲーム部員のスコアアタックの記録が残されていた。徹夜でスコアアタックに取り組む天道さんはゲーム同好会の力を借りて、ついに過去のゲーム部員のスコアを超えることに成功する。しかし、スマホゲームに移植されたそのゲームでは過去のゲーム部員と思われるMAIが更なるスコアアップを成し遂げていた。

休日に亜玖璃の家に呼ばれた雨野は真音が亜玖璃の従姉妹であることを知る。そして様々な物の所有権を賭けた勝負に連敗を喫する雨野と亜玖璃。雨野と亜玖璃は真音こそがMAIであることに気付く。居候の従姉妹に困りきった亜玖璃は助けを求めて雨野を頼ったが、賭けの内容がエスカレートしていくことに罪悪感を感じ、思い直して上原を頼ることに決める。しかし、真音が亜玖璃のラベアーズを奪い取ったことで、とうとう雨野は真音を見逃せなくなってしまう。雨野は自分の所有権を代償に、亜玖璃の全てを賭けてテレビゲームで真音に勝負を挑む。

新キャラの真音が異様すぎて注目がそちらに行ってしまうが、雨野と亜玖璃の関係性に一石を投じる重要な巻であった。今後の展開としては二通り考えられる。一つは雨野が真音に敗れ、雨野の所有権を真音に奪われるケース。スコアアタックが伏線となっており、雨野を賭けて天道さんが真音に勝負を挑む展開となりそう。もう一つは雨野が真音に勝利してしまうケース。雨野がゲームで真音に勝つ姿は想像しにくいが、物語の展開としては考えられなくもない。その場合は亜玖璃の所有権を雨野が獲得することになり、既に雨野は亜玖璃の彼氏として真音に紹介されていることから展開としては面白そう。

今回のラストで亜玖璃ルートの入口まで来た感じはするが、客観的に見ると天道ルートが本命だろうなというのが正直な感想。亜玖璃のために立ち上がった雨野ではあるが、その行動基準が天道さんであることも明白になった。天道さんが好きになってくれた、ありのままの自分でいるというのが雨野の答えであり、今後も物語の軸となるのは天道さんで間違いないだろう。一方で雨野と亜玖璃の関係性について友情を超えた何かであることも匂わせており、二人がそのことに気付き始めているような描写があったことも事実。

以上を踏まえた上で、やはり自分としては亜玖璃ルートを推したいと思う。天道さんが好きになってくれた、ありのままの自分でいるという雨野の答え、これは一見すると天道ルートを確信させるものであるが、その意味するところは亜玖璃ルートである。簡単に図式化すると、天道さん=理想の女、亜玖璃=現実の女であり、雨野が自分を貫くということは現実への帰還を意味する。サブタイトルの青春スキルリセットは究極的には天道ルートをリセットしたということになる。雨は太陽とも星とも共存することはできないが、大地を潤すことはできる。雨の本質を考えれば、大地と一緒になるのが相応しいだろう。

2018年1月20日土曜日

中小企業診断士の次

幸いにも中小企業診断士に一発で合格できたので、最近は英語の勉強をしている。英語の勉強を始めた最大の理由はアメリカにMBA留学をしたいと思ったためである。実は大学を卒業して社会人になった頃から漠然とMBA留学への憧れはあったのだが、会社が辛すぎて入社して2年くらいは全く勉強する気が起きなかった。英語は全くできないし、そもそも経営学を勉強したこともなかったので、MBA留学は遠い夢の話だと思っていた。しかし、3年目になってから職場環境も次第に改善されて、精神的に余裕がでてきた。そこで中小企業診断士の受験を通じて、まずは経営学を勉強してみることにした。

結果的に経営学は面白かった。今まで勉強していなかったのが勿体無かった。大学時代に主に勉強していたのは経済地理学と言われる分野であったので、経営学との関連性は多少あるだろうと思っていたが、アプローチの方法が異なるだけで対象としているものは似通っていると思った。フィールドワークや卒論研究のときに経営学の知識があれば良かったなぁと今更ながら後悔している。

経営学の勉強は何とかなる目途が付いたので、あとは英語の問題を解決すればMBA留学も現実味を帯びてくる。こんな具合で英語の勉強を始めて、現在はDUOという王道の単語帳を使って地道に語彙を増やしている。大学受験のときは発音を完全に捨てたことでリスニングが悲惨な結果になったため、付属のCDを使って正確な発音を覚えるようにしている。DUOのCDを繰り返し聞いていて思ったが、英語は発音以上にリズムとイントネーションが重要なのかもしれない。と思ってネットで調べたら、英語学習者にとっては常識中の常識だったらしい。気付くのが遅かったか。

アメリカのビジネススクールを受験する際はTOEFL、GMAT、Essay、Interviewという4つの試練を超える必要がある。純ドメの多くは最初の関門であるTOEFLでのスコアメイクができずに挫折してしまうと言われている。MBA留学に最低限必要なTOEFLのスコアは120点満点で100点と言われており、TOEFL100点はTOEIC900点に相当するらしい。昨年にTOEICを受験した際は東大卒とは思えないような悲惨な点数しか取れなかったので、まずは多少馴染みのあるTOEICで900点を目標に地道に英語を勉強していこうと思う。

また、中小企業診断士の実務補修を受講した後の話になるが、宮城県協会に所属して経営の勉強も続けたい。診断士の半数は一般企業に勤める企業内診断士であり、各都道府県に存在する協会に所属してコンサルティングの機会を得るのが一般的らしい。そして可能であれば専門分野を持った診断士になりたいと思う。中小企業診断士は難関資格ではあるが、1次試験7科目、2次試験4科目と試験範囲が膨大なだけで、内容は極めて浅いものである。そのため診断士の多くは受験後も得意分野に磨きをかけて、一つの分野に特化したコンサルタントとなる。公認会計士、税理士、社会保険労務士などを持つダブルライセンスの診断士も多く、財務・会計のエキスパート、人事・労務のエキスパートなどが多いようである。

自分が今考えているのはIT分野である。ITは間違いなく現代のビジネスにおいて不可欠な要素であり、中小企業へのIT導入支援は診断士業務の主要な柱の一つとなっている。IT導入による業務効率化、新製品・新サービスの開発などを目指す中小企業の需要は旺盛で、IT業界出身の診断士は予想以上に多いらしい。ITに関する知識は現状ないに等しいレベルではあるが、実際に会社で業務を行っている中でIT活用の重要性は強く感じており、最近はITへの興味が非常に高まっている。IT分野の勉強手段として、ITストラテジストの資格取得を目指すのも面白いかもしれない。

2018年1月7日日曜日

2017年アニメランキング

1位 冴えない彼女の育てかた♭
生粋のオタク高校生である安芸倫也がクリエイターを集めて同人ゲームをつくるラブコメ作品。1期で同人ゲームサークルblessing softwareを立ち上げた倫也は冬コミに向けて本格的にゲーム製作を開始する。シナリオ担当である霞ヶ丘詩羽との衝突、原画担当である澤村・スペンサー・英梨々のスランプを乗り越えて、倫也たちは処女作cherry blessingの完成に漕ぎ着けた。しかし、冬コミより英梨々の看病を優先した倫也の行動によって、メインヒロインである加藤との間に亀裂が生じてしまう。

原作ファンであることを抜きにしても、2017年で最も出来の良い作品であったと思う。見所の一つは何と言ってもヒロインとして覚醒した加藤。ショートボブの加藤も可愛いけど、髪を伸ばした加藤は英梨々にも劣らないレベルの美少女。特に4話ラストで加藤がメインヒロインの演技をするシーンは瞬間最大風速を記録するヒロイン力であった。また、加藤との仲直りイベントを描く8話は作中屈指の神回であった。もう一つの見所は後半における怒涛の展開。まるでチェス盤をひっくり返すような展開に初めて原作を読んだときは鳥肌が立ったが、丁寧にアニメ化されていたと思う。

2位 ゲーマーズ!
ゲーマーたちの錯綜する恋愛模様を描いた作品。ぼっちゲーマーの雨野景太が学園のアイドルである天道花憐に声をかけられるところから物語は始まる。天道さんも雨野と同じく生粋のゲーマーであり、自らが設立したゲーム部への勧誘を行うが、ゲームスタンスの違いから雨野に入部を断られてしまう。雨野のことが気になり始める天道さんであったが、一方で雨野は些細なきっかけから、クラスメイトの上原祐、同じぼっちゲーマーの星ノ守千秋、上原の彼女である亜玖璃と仲良くなっていく。勘違いと空回りの連続によって、雨野を中心とした錯綜関係が展開されていく。

珍しくアニメ化前から原作を読んでいた作品。作者は生徒会の一存で知られる葵せきな。生徒会の一存もコメディとシリアスが絶妙な塩梅で入り混じった良作であったが、ゲーマーズ!はそれ以上の傑作。現状で最も先が気になるライトノベル作品。アニメはキャラデザと作画が酷すぎたが、やはり脚本は抜群に面白かった。演出も良かったため、少なくとも前半に関しては良作に仕上がっていたと思う。しかし、後半になると不自然な原作改変が多発して、脚本の良さが失われてしまったように思う。原作の導入として見る分には良くできていると思う。

3位 ようこそ実力至上主義の教室へ
実力至上主義の学園を舞台に繰り広げられる学園黙示録。望み通りの進学と就職が保証される高度育成高等学校に入学した綾小路清隆であったが、配属されたDクラスは学園内の落ちこぼれが集まる不良品のクラスであった。最も優秀なAクラスだけが将来を保証され、毎月支給されるポイントマネーにはクラスの成績が反映される。とある事情から自由を手に入れるために入学した綾小路であったが、Aクラスへ上がることに並々ならぬ執着を見せるクラスメイト堀北鈴音によって彼の平穏な日常は失われていく。

アニメ視聴後に原作を全巻読破する羽目になった作品。脚本も作画も良い出来であったが、原作ファンからアニメに対する怒りの声が沸き上がっていたので興味を持った。結論から述べると、メインヒロインだと思っていた人物がメインヒロインではなかったという衝撃の事実が判明。堀北は序盤こそメインヒロインであったが、最近は綾小路と並ぶW主人公のようなポジションになっており、想定外の人物がメインヒロインのポジションに就いていた。アニメではそのメインヒロインのシーンが何故か堀北のシーンにすり替わり、原作ファンからの強い苦情につながったようである。アニメの売上はイマイチであったが、原作の売上は好調で続きが気になる良作であった。

2018年1月6日土曜日

EV普及に関する電力会社の盲点

自動車業界のEVシフトが鮮明となりつつある。フランス政府とイギリス政府は2040年までにガソリン車の生産販売を禁止する方針を固めた。また、世界最大の自動車市場である中国も将来的にガソリン車を廃止する意向を示している。表向きの理由は地球温暖化対策であり、大気汚染の抑制、化石燃料の枯渇に対する懸念も含まれているかもしれない。しかし、実態としては環境政策ではなく産業政策である。ガソリン車とEVでは製品アーキテクチャが180度異なり、インテグラル型のガソリン車に対して、EVはモジュラー型の製品である。技術力の高い日本やドイツの企業はインテグラル型の製品に強みを持つ一方、モジュラー型の製品に関しては人件費の高さから中国企業に敗れることも少なくない。日本のエレクトロニクス産業が崩壊の危機に瀕した理由である。中国のEVシフトは気紛れなどではない。

日本では日産と三菱自動車がEV開発で先行してきたが、ついにトヨタもEV開発に本腰を入れ始めた。これまでトヨタはEVではなくHVの開発に注力してきたが、国際的なEVシフトの流れに抗えなくなったのかもしれない。個人的には優れた燃費性能を誇るプリウスのようなHVはEVよりも環境に優しいと思うのだが、どうも世間はEVに革新的でクリーンなイメージを抱いているらしい。トヨタが設立したEVの新会社にはマツダ、スズキ、SUBARU、日野、ダイハツといった自動車メーカー各社が参画しており、日本の自動車業界も大々的にEVシフトに向けて動き出したと言って良い。

実際のところ、EVが使用する電気の大部分は火力発電による電気であり、石炭や天然ガスといった化石燃料がエネルギー源となっている。中国でEVが普及するとどうなるか。中国は電力の7割以上を石炭火力に依存している。CO2排出量を比べると、石炭火力は石油火力の3割増、天然ガス火力の6割増であり、中国でEVが普及してもCO2排出量の削減には全く貢献しない。原子力や再生可能エネルギーといったカーボンニュートラルな電源を使用しなければ、EVが地球温暖化対策の切り札になることは有り得ない。ただし、今回は環境面の話はひとまず置いておこう。

こうしたEVシフトに戦々恐々としているのが石油業界である。ガソリン需要は年々低下しているが、EVシフトの加速によってガソリン需要の更なる低迷が予想される。出光興産と昭和シェル石油が経営統合を目指す最大の要因もEVシフトにあるかもしれない。一方、EVシフトの恩恵を受けると考えられているのが電力業界である。日本のエネルギー需要の2割程度を運輸部門が占めており、EVによる電力需要の大幅な増加が期待されるためである。EVシフトの加速は明るいニュースの少ない最近の電力業界にとって朗報であり、電力大手は各社いずれもEV普及に前向きである。

しかし、EVの普及は電力会社のビジネスモデルを破綻させる可能性を秘めている。それはEVが移動手段であるだけではなく、蓄電池の機能を有するためである。今は太陽光パネルを使って一般家庭でも発電ができる時代である。太陽光発電の弱点は発電量が天気に左右されて安定しないことであるが、蓄電池を活用すれば安定した電源となる。さらにエネファームなどの燃料電池があれば電源が枯渇する心配はない。シェール革命の影響は数十年は続くと予想されており、天然ガスの価格が高騰する心配もないだろう。

太陽光パネル、蓄電池、エネファーム、いずれも導入コストは高い。一般家庭にとってハードルの高い代物である。しかし、太陽光パネルの価格は急速に下落しており、蓄電池もEVによって代用可能である。自宅で電気を作り、蓄えて、使うというスタイルが主流となる時代はすぐそこまで来ているのかもしれない。EVの普及はこうした将来を後押しするものである。現状としてはEVのバッテリーは価格が高く、その充電回数には限りがあるため、EVを家庭用蓄電池として利用するのは経済性の面から現実的ではない。それでもEVの普及が本格的に始まれば、競争の過程で電池性能が飛躍的に向上する可能性は十分に考えられる。

太陽光パネルの価格が今後も劇的な低下を続け、EVのバッテリー性能が大幅に向上すると仮定すれば、電力会社の経営は成り立たなくなるかもしれない。電力会社の電気料金には発電コストに加えて、送配電コストが含まれている。送配電コストの大きさは新電力が大手電力の送配電網を利用する際に徴収される託送料金から判断できるが、家庭用に限って言えば発電コストにも劣らない金額である。大規模電源と分散型電源の発電コストに大きな差がなくなれば、電力会社は送配電コストの分だけ不利な立場に追いやられるだろう。

また、EVはモジュラー型の製品であると述べたが、モジュラー型の製品は部品点数が少ない。自動車産業は裾野が広く、完成品メーカーの下には膨大な数の部品メーカーが存在していたが、EVシフトはこうした部品メーカーの存亡に関わる問題となる。自動車部品で培った技術を他の製品に応用できれば良いが、自動車部品の製造だけを続けていれば多くの部品メーカーが廃業に追い込まれるかもしれない。製造業の電力消費量は一般家庭とは比べものにならないほど大きく、部品メーカーの衰退は電力業界にボディブローのようにダメージを与えていくだろう。

2017年12月24日日曜日

アメリカMBAトップスクールの特徴と立地

アメリカには有名なビジネススクールが多く存在するが、その中でも頂点に君臨しているのがM7と呼ばれる学校群である。M7はHarvard、Stanford、Wharton、MIT、Chicago、Kellogg、Columbiaの7校から構成され、US Newsが毎年発表しているアメリカのMBAランキングでは常にトップ10に入っている。2017年のランキングではHarvardとWhartonが同率1位、Chicagoが3位、Stanford、MIT、Kelloggが同率4位、Columbiaが9位となっている。いずれのビジネススクールも世界トップクラスの環境で経営学を学ぶことができるという点では共通しているが、得意分野や校風には様々な違いがある。また、M7を中心としたトップスクールの立地にはある特徴が見られる。

Harvardは言わずと知れた世界一の大学で、MBAランキングにおいても堂々1位の座を獲得している。アメリカ最古の大学としても知られ、ボストン近郊のケンブリッジに立地する。MBAの授業スタイルはレクチャーとケースメソッドの大きく二つに分かれるが、ロースクールの授業を応用したケースメソッドによる授業スタイルを確立したのがHarvardである。毎週10数本のケースを読み込んで議論を闘わせるのがHarvard流のMBAで、学生の睡眠時間は4時間がデフォルトという鬼のような勉強量。まさにアメリカMBAの源流といえる大学であり、その校風も伝統的、王道を好む大学のようである。Harvard Business Schoolを略してHBSと呼ばれることが多い。リーダーシップ教育に力を注いでおり、グローバルに活躍できるビジネスリーダーを育成している。HBS出身の日本人には多くの有名人がいるが、強いて名前を挙げるとすればサントリーの新浪剛史、楽天の三木谷浩史が有名である。

StanfordはHarvardと並ぶトップスクールとして挙げられる。サンフランシスコ・ベイエリアの南岸に立地し、東のHarvardに対して西のStanfordと称される。Appleの創業者スティーブ・ジョブズ、Googleの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの母校としても知られる。多くの起業家を輩出していることからも分かるように自由な校風で知られており、クリエイティビティに溢れた天才型の学生が多い。シリコンバレーをつくった大学と言っても過言ではなく、IT産業の中心的な存在として最も勢いのある大学である。MBAランキングではHarvardの後塵を拝しているが、入試の難易度はHarvardを上回る。そのため日本人留学生もかなり数が絞られており、世界最難関のビジネススクールという声もある。

Whartonはペンシルベニア大学のビジネススクールである。フィラデルフィアの実業家ジョセフ・ウォートンの寄付によって設立されたため、Wharton Schoolと呼ばれている。アメリカのビジネススクールは実業家の寄付によって設立されている場合が多く、設立者の名前を冠した学校名としていることがほとんどである。Whartonはアメリカ最古のビジネススクールとして知られ、2017年のMBAランキングではHarvardと並んで1位の座を獲得している。MBAランキングでは分野別のランキングも発表されることが多いが、ファイナンスの分野でトップを独占しているのがWhartonである。そのため金融業界から社費で派遣される日本人留学生も多いようである。著名な出身者としてはアメリカ大統領ドナルド・トランプがいる。

MITはマサチューセッツ工科大学の略称で、そのビジネススクールは設立者アルフレッド・スローンに因んでSloan Schoolとも呼ばれる。MITは世界大学ランキングにおいて2017年まで6年連続で1位を獲得しており、キャンパスが隣近所にあるHarvardとは宿命のライバルである。当初は技術系の大学ということで職業訓練学校と揶揄されていたが、今やノーベル賞受賞者の数でもHarvardを上回る世界一の名門大学となった。工科大学のビジネススクールということでテクノロジーやオペレーションの分野に強みがある。校風はHarvardとは真逆で遊び心に溢れており、その一つが校内で伝統的に行われるハックと呼ばれる悪戯である。「MIT ハック」で検索すると様々な悪戯の写真が見れるが、何だか麻布に似た雰囲気を感じた。

ChicagoはMITとはまた違った意味でHarvardの真逆に位置する大学である。全ての社会現象をミクロ経済学で説明しようとしたシカゴ学派で有名なように、何よりも理論を重視するのがChicagoである。Chicagoの授業スタイルはレクチャー中心で、理論重視でじっくりと考えを深めていくものである。Harvardのように頭をフル回転させながら議論を白熱させる授業とは大きく違うようである。Harvardの方が実践的で役立ちそうな気もするが、自分にはChicagoのアカデミックなスタイルの方が間違いなく合っていると思う。恐らく大部分の日本人はHarvardよりChicagoの方が授業スタイルが合っているのではないか。ただし、五大湖南岸の厳しい気候が嫌厭されているのか、日本人留学生からの人気はランキングの割には低いようである。Booth Schoolとも呼ばれている。

Kelloggはノースウエスタン大学のビジネススクールである。Chicagoから程近いエバンストンに立地しており、HarvardとMITのように両校もライバル関係にある。Kelloggは何といってもマーケティングの分野に圧倒的な強みがあり、マーケティングの神様とも評されるフィリップ・コトラーが在籍している。チームワークとダイバーシティを重視する校風で知られており、良くも悪くもエリート学生が集うトップスクールの中で最もリベラルな印象を受ける。日本での知名度は低いが、BusinessweekのMBAランキングでは1位獲得回数最多を誇り、実力派のビジネススクールと言える。

ColumbiaもKellogg同様にリベラルな校風で知られるビジネススクールである。ニューヨークのマンハッタンに立地するため国際色豊かで、留学生の比率が高いという特徴を持つ。MBAランキングにおいては上記のビジネススクールに比べて若干見劣りするが、ニューヨークに立地する強みを活かして、有名な投資銀行やコンサルに就職する学生も多い。また、Harvardと同様にアイビー・リーグの一角を担う大学でもあり、日本での知名度は高い。アイビー・リーグは東海岸の名門私立大学8校の総称であり、Harvard、Princeton、Yaleの3校を筆頭に世界トップクラスの大学群となっている。YaleとDartmouthは2017年のMBAランキングにおいてM7と並んでトップ10に入っており、MBAの世界でもアイビー・リーグの存在感は大きい。

最後にカリフォルニア大学バークレー校のHaasをトップスクールの一角として挙げたい。Haasは2017年のMBAランキングにおいて7位を獲得している。カリフォルニア大学は州立大学であるため、M7の私立校という条件からは外れているが、実力的にはM7と遜色ないレベルにあるだろう。サンフランシスコ・ベイエリアの東岸に立地しており、西海岸の大学に特有の起業家精神の高さが特徴である。また、MIT同様にテクノロジーに強いビジネススクールとしても有名である。

ここまでMBAのトップスクール8校を挙げたが、このうちの6校がボストン、シカゴ、サンフランシスコという3つの都市圏に集中していることが分かる。人口で考えれば2000万人のニューヨーク大都市圏、1300万人のロサンゼルス大都市圏にトップスクールが集中してもおかしくない。900万人のシカゴ大都市圏こそ全米3位だが、500万人のボストン大都市圏は全米10位、400万人のサンフランシスコ大都市圏は全米11位に過ぎない。日本では旧帝国大学を除けば名門大学のほとんどが東京に集中しているため、アメリカにおける大学の立地には少し違和感を覚える。しかし、ボストンとサンフランシスコはハイテク産業の集積地であり、アメリカの経済産業分野において最先端を走る地域である。また、ボストンとサンフランシスコには大洋に開かれた港という共通点もある。ボストンはヨーロッパからの移民が最初に新大陸に降り立った始まりの土地であり、サンフランシスコは西部開拓を続けたアメリカ人の到達点、そしてアジア・太平洋という次なる野望を見つけた土地である。時代の最先端を走る地域に時代の最先端を目指す人々が集うのは必然と言えるかもしれない。