2018年1月20日土曜日

中小企業診断士受験の次

幸いにも中小企業診断士に一発で合格できたので、最近は英語の勉強をしている。英語の勉強を始めた最大の理由はアメリカにMBA留学をしたいと思ったためである。実は大学を卒業して社会人になった頃から漠然とMBA留学への憧れはあったのだが、会社が辛すぎて入社して2年くらいは全く勉強する気が起きなかった。英語は全くできないし、そもそも経営学を勉強したこともなかったので、MBA留学は遠い夢の話だと思っていた。しかし、3年目になってから職場環境も次第に改善されて、精神的に余裕がでてきた。そこで中小企業診断士の受験を通じて、まずは経営学を勉強してみることにした。

結果的に経営学は面白かった。今まで勉強していなかったのが勿体無かった。大学時代に主に勉強していたのは経済地理学と言われる分野であったので、経営学との関連性は多少あるだろうと思っていたが、アプローチの方法が異なるだけで対象としているものは似通っていると思った。フィールドワークや卒論研究のときに経営学の知識があれば良かったなぁと今更ながら後悔している。

経営学の勉強は何とかなる目途が付いたので、あとは英語の問題を解決すればMBA留学も現実味を帯びてくる。こんな具合で英語の勉強を始めて、現在はDUOという王道の単語帳を使って地道に語彙を増やしている。大学受験のときは発音を完全に捨てたことでリスニングが悲惨な結果になったため、付属のCDを使って正確な発音を覚えるようにしている。DUOのCDを繰り返し聞いていて思ったが、英語は発音以上にリズムとイントネーションが重要なのかもしれない。と思ってネットで調べたら、英語学習者にとっては常識中の常識だったらしい。気付くのが遅かったか。

アメリカのビジネススクールを受験する際はTOEFL、GMAT、Essay、Interviewという4つの試練を超える必要がある。純ドメの多くは最初の関門であるTOEFLでのスコアメイクができずに挫折してしまうと言われている。MBA留学に最低限必要なTOEFLのスコアは120点満点で100点と言われており、TOEFL100点はTOEIC900点に相当するらしい。昨年にTOEICを受験した際は東大卒とは思えないような悲惨な点数しか取れなかったので、まずは多少馴染みのあるTOEICで900点を目標に地道に英語を勉強していこうと思う。

また、中小企業診断士の実務補修を受講した後の話になるが、宮城県協会に所属して経営の勉強も続けたい。診断士の半数は一般企業に勤める企業内診断士であり、各都道府県に存在する協会に所属してコンサルティングの機会を得るのが一般的らしい。そして可能であれば専門分野を持った診断士になりたいと思う。中小企業診断士は難関資格ではあるが、1次試験7科目、2次試験4科目と試験範囲が膨大なだけで、内容は極めて浅いものである。そのため診断士の多くは受験後も得意分野に磨きをかけて、一つの分野に特化したコンサルタントとなる。公認会計士、税理士、社会保険労務士などを持つダブルライセンスの診断士も多く、財務・会計のエキスパート、人事・労務のエキスパートなどが多いようである。

自分が今考えているのはIT分野である。ITは間違いなく現代のビジネスにおいて不可欠な要素であり、中小企業へのIT導入支援は診断士業務の主要な柱の一つとなっている。IT導入による業務効率化、新製品・新サービスの開発などを目指す中小企業の需要は旺盛で、IT業界出身の診断士は予想以上に多いらしい。ITに関する知識は現状ないに等しいレベルではあるが、実際に会社で業務を行っている中でIT活用の重要性は強く感じており、最近はITへの興味が非常に高まっている。もし大学生に戻れるなら、ITを勉強してGoogleやAmazonに就職したいとさえ思う。中小企業診断士の試験でも運営管理が最も得意な科目であったため、今後はITを活用したオペレーション戦略などについて勉強できればと思っている。足掛かりとしてITストラテジストの資格取得を目指すのも面白いかもしれない。

2018年1月7日日曜日

2017年アニメランキング

1位 冴えない彼女の育てかた♭
生粋のオタク高校生である安芸倫也がクリエイターを集めて同人ゲームをつくるラブコメ作品。1期で同人ゲームサークルblessing softwareを立ち上げた倫也は冬コミに向けて本格的にゲーム製作を開始する。シナリオ担当である霞ヶ丘詩羽との衝突、原画担当である澤村・スペンサー・英梨々のスランプを乗り越えて、倫也たちは処女作cherry blessingの完成に漕ぎ着けた。しかし、冬コミより英梨々の看病を優先した倫也の行動によって、メインヒロインである加藤との間に亀裂が生じてしまう。

原作ファンであることを抜きにしても、2017年で最も出来の良い作品であったと思う。見所の一つは何と言ってもヒロインとして覚醒した加藤。ショートボブの加藤も可愛いけど、髪を伸ばした加藤は英梨々にも劣らないレベルの美少女。特に4話ラストで加藤がメインヒロインの演技をするシーンは瞬間最大風速を記録するヒロイン力であった。また、加藤との仲直りイベントを描く8話は作中屈指の神回であった。もう一つの見所は後半における怒涛の展開。まるでチェス盤をひっくり返すような展開に初めて原作を読んだときは鳥肌が立ったが、丁寧にアニメ化されていたと思う。

2位 ゲーマーズ!
ゲーマーたちの錯綜する恋愛模様を描いた作品。ぼっちゲーマーの雨野景太が学園のアイドルである天道花憐に声をかけられるところから物語は始まる。天道さんも雨野と同じく生粋のゲーマーであり、自らが設立したゲーム部への勧誘を行うが、ゲームスタンスの違いから雨野に入部を断られてしまう。雨野のことが気になり始める天道さんであったが、一方で雨野は些細なきっかけから、クラスメイトの上原祐、同じぼっちゲーマーの星ノ守千秋、上原の彼女である亜玖璃と仲良くなっていく。勘違いと空回りの連続によって、雨野を中心とした錯綜関係が展開されていく。

珍しくアニメ化前から原作を読んでいた作品。作者は生徒会の一存で知られる葵せきな。生徒会の一存もコメディとシリアスが絶妙な塩梅で入り混じった良作であったが、ゲーマーズ!はそれ以上の傑作。現状で最も先が気になるライトノベル作品。アニメはキャラデザと作画が酷すぎたが、やはり脚本は抜群に面白かった。演出も良かったため、少なくとも前半に関しては良作に仕上がっていたと思う。しかし、後半になると不自然な原作改変が多発して、脚本の良さが失われてしまったように思う。原作の導入として見る分には良くできていると思う。

3位 ようこそ実力至上主義の教室へ
実力至上主義の学園を舞台に繰り広げられる学園黙示録。望み通りの進学と就職が保証される高度育成高等学校に入学した綾小路清隆であったが、配属されたDクラスは学園内の落ちこぼれが集まる不良品のクラスであった。最も優秀なAクラスだけが将来を保証され、毎月支給されるポイントマネーにはクラスの成績が反映される。とある事情から自由を手に入れるために入学した綾小路であったが、Aクラスへ上がることに並々ならぬ執着を見せるクラスメイト堀北鈴音によって彼の平穏な日常は失われていく。

アニメ視聴後に原作を全巻読破する羽目になった作品。脚本も作画も良い出来であったが、原作ファンからアニメに対する怒りの声が沸き上がっていたので興味を持った。結論から述べると、メインヒロインだと思っていた人物がメインヒロインではなかったという衝撃の事実が判明。堀北もヒロインであることには違いないが、メインヒロインというより綾小路とのW主人公のようなポジションにいる人物であった。そしてアニメでは本来のメインヒロインのシーンが何故か堀北のシーンにすり替わっており、原作ファンからの強い苦情につながったようである。個人的にはアニメも原作もどちらも面白いと思う。

2018年1月6日土曜日

EV普及に関する電力会社の盲点

自動車業界のEVシフトが鮮明となりつつある。フランス政府とイギリス政府は2040年までにガソリン車の生産販売を禁止する方針を固めた。また、世界最大の自動車市場である中国も将来的にガソリン車を廃止する意向を示している。表向きの理由は地球温暖化対策であり、大気汚染の抑制、化石燃料の枯渇に対する懸念も含まれているかもしれない。しかし、実態としては環境政策ではなく産業政策である。ガソリン車とEVでは製品アーキテクチャが180度異なり、インテグラル型のガソリン車に対して、EVはモジュラー型の製品である。技術力の高い日本やドイツの企業はインテグラル型の製品に強みを持つ一方、モジュラー型の製品に関しては人件費の高さから中国企業に敗れることも少なくない。日本のエレクトロニクス産業が崩壊の危機に瀕した理由である。中国のEVシフトは気紛れなどではない。

日本では日産と三菱自動車がEV開発で先行してきたが、ついにトヨタもEV開発に本腰を入れ始めた。これまでトヨタはEVではなくHVの開発に注力してきたが、国際的なEVシフトの流れに抗えなくなったのかもしれない。個人的には優れた燃費性能を誇るプリウスのようなHVはEVよりも環境に優しいと思うのだが、どうも世間はEVに革新的でクリーンなイメージを抱いているらしい。トヨタが設立したEVの新会社にはマツダ、スズキ、SUBARU、日野、ダイハツといった自動車メーカー各社が参画しており、日本の自動車業界も大々的にEVシフトに向けて動き出したと言って良い。

実際のところ、EVが使用する電気の大部分は火力発電による電気であり、石炭や天然ガスといった化石燃料がエネルギー源となっている。中国でEVが普及するとどうなるか。中国は電力の7割以上を石炭火力に依存している。CO2排出量を比べると、石炭火力は石油火力の3割増、天然ガス火力の6割増であり、中国でEVが普及してもCO2排出量の削減には全く貢献しない。原子力や再生可能エネルギーといったカーボンニュートラルな電源を使用しなければ、EVが地球温暖化対策の切り札になることは有り得ない。ただし、今回は環境面の話はひとまず置いておこう。

こうしたEVシフトに戦々恐々としているのが石油業界である。ガソリン需要は年々低下しているが、EVシフトの加速によってガソリン需要の更なる低迷が予想される。出光興産と昭和シェル石油が経営統合を目指す最大の要因もEVシフトにあるかもしれない。一方、EVシフトの恩恵を受けると考えられているのが電力業界である。日本のエネルギー需要の2割程度を運輸部門が占めており、EVによる電力需要の大幅な増加が期待されるためである。EVシフトの加速は明るいニュースの少ない最近の電力業界にとって朗報であり、電力大手は各社いずれもEV普及に前向きである。

しかし、EVの普及は電力会社のビジネスモデルを破綻させる可能性を秘めている。それはEVが移動手段であるだけではなく、蓄電池の機能を有するためである。今は太陽光パネルを使って一般家庭でも発電ができる時代である。太陽光発電の弱点は発電量が天気に左右されて安定しないことであるが、蓄電池を活用すれば安定した電源となる。さらにエネファームなどの燃料電池があれば電源が枯渇する心配はない。シェール革命の影響は数十年は続くと予想されており、天然ガスの価格が高騰する心配もないだろう。

太陽光パネル、蓄電池、エネファーム、いずれも導入コストは高い。一般家庭にとってハードルの高い代物である。しかし、太陽光パネルの価格は急速に下落しており、蓄電池もEVによって代用可能である。自宅で電気を作り、蓄えて、使うというスタイルが主流となる時代はすぐそこまで来ているのかもしれない。EVの普及はこうした将来を後押しするものである。現状としてはEVのバッテリーは価格が高く、その充電回数には限りがあるため、EVを家庭用蓄電池として利用するのは経済性の面から現実的ではない。それでもEVの普及が本格的に始まれば、競争の過程で電池性能が飛躍的に向上する可能性は十分に考えられる。

太陽光パネルの価格が今後も劇的な低下を続け、EVのバッテリー性能が大幅に向上すると仮定すれば、電力会社の経営は成り立たなくなるかもしれない。電力会社の電気料金には発電コストに加えて、送配電コストが含まれている。送配電コストの大きさは新電力が大手電力の送配電網を利用する際に徴収される託送料金から判断できるが、家庭用に限って言えば発電コストにも劣らない金額である。大規模電源と分散型電源の発電コストに大きな差がなくなれば、電力会社は送配電コストの分だけ不利な立場に追いやられるだろう。

また、EVはモジュラー型の製品であると述べたが、モジュラー型の製品は部品点数が少ない。自動車産業は裾野が広く、完成品メーカーの下には膨大な数の部品メーカーが存在していたが、EVシフトはこうした部品メーカーの存亡に関わる問題となる。自動車部品で培った技術を他の製品に応用できれば良いが、自動車部品の製造だけを続けていれば多くの部品メーカーが廃業に追い込まれるかもしれない。製造業の電力消費量は一般家庭とは比べものにならないほど大きく、部品メーカーの衰退は電力業界にボディブローのようにダメージを与えていくだろう。

2017年12月24日日曜日

アメリカMBAトップスクールの特徴と立地

アメリカには有名なビジネススクールが多く存在するが、その中でも頂点に君臨しているのがM7と呼ばれる学校群である。M7はHarvard、Stanford、Wharton、MIT、Chicago、Kellogg、Columbiaの7校から構成され、US Newsが毎年発表しているアメリカのMBAランキングでは常にトップ10に入っている。2017年のランキングではHarvardとWhartonが同率1位、Chicagoが3位、Stanford、MIT、Kelloggが同率4位、Columbiaが9位となっている。いずれのビジネススクールも世界トップクラスの環境で経営学を学ぶことができるという点では共通しているが、得意分野や校風には様々な違いがある。また、M7を中心としたトップスクールの立地にはある特徴が見られる。

Harvardは言わずと知れた世界一の大学で、MBAランキングにおいても堂々1位の座を獲得している。アメリカ最古の大学としても知られ、ボストン近郊のケンブリッジに立地する。MBAの授業スタイルはレクチャーとケースメソッドの大きく二つに分かれるが、ロースクールの授業を応用したケースメソッドによる授業スタイルを確立したのがHarvardである。毎週10数本のケースを読み込んで議論を闘わせるのがHarvard流のMBAで、学生の睡眠時間は4時間がデフォルトという鬼のような勉強量。まさにアメリカMBAの源流といえる大学であり、その校風も伝統的、王道を好む大学のようである。Harvard Business Schoolを略してHBSと呼ばれることが多い。リーダーシップ教育に力を注いでおり、グローバルに活躍できるビジネスリーダーを育成している。HBS出身の日本人には多くの有名人がいるが、強いて名前を挙げるとすればサントリーの新浪剛史、楽天の三木谷浩史が有名である。

StanfordはHarvardと並ぶトップスクールとして挙げられる。サンフランシスコ・ベイエリアの南岸に立地し、東のHarvardに対して西のStanfordと称される。Appleの創業者スティーブ・ジョブズ、Googleの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの母校としても知られる。多くの起業家を輩出していることからも分かるように自由な校風で知られており、クリエイティビティに溢れた天才型の学生が多い。シリコンバレーをつくった大学と言っても過言ではなく、IT産業の中心的な存在として最も勢いのある大学である。MBAランキングではHarvardの後塵を拝しているが、入試の難易度はHarvardを上回る。そのため日本人留学生もかなり数が絞られており、世界最難関のビジネススクールという声もある。

Whartonはペンシルベニア大学のビジネススクールである。フィラデルフィアの実業家ジョセフ・ウォートンの寄付によって設立されたため、Wharton Schoolと呼ばれている。アメリカのビジネススクールは実業家の寄付によって設立されている場合が多く、設立者の名前を冠した学校名としていることがほとんどである。Whartonはアメリカ最古のビジネススクールとして知られ、2017年のMBAランキングではHarvardと並んで1位の座を獲得している。MBAランキングでは分野別のランキングも発表されることが多いが、ファイナンスの分野でトップを独占しているのがWhartonである。そのため金融業界から社費で派遣される日本人留学生も多いようである。著名な出身者としてはアメリカ大統領ドナルド・トランプがいる。

MITはマサチューセッツ工科大学の略称で、そのビジネススクールは設立者アルフレッド・スローンに因んでSloan Schoolとも呼ばれる。MITは世界大学ランキングにおいて2017年まで6年連続で1位を獲得しており、キャンパスが隣近所にあるHarvardとは宿命のライバルである。当初は技術系の大学ということで職業訓練学校と揶揄されていたが、今やノーベル賞受賞者の数でもHarvardを上回る世界一の名門大学となった。工科大学のビジネススクールということでテクノロジーやオペレーションの分野に強みがある。校風はHarvardとは真逆で遊び心に溢れており、その一つが校内で伝統的に行われるハックと呼ばれる悪戯である。「MIT ハック」で検索すると様々な悪戯の写真が見れるが、何だか麻布に似た雰囲気を感じた。

ChicagoはMITとはまた違った意味でHarvardの真逆に位置する大学である。全ての社会現象をミクロ経済学で説明しようとしたシカゴ学派で有名なように、何よりも理論を重視するのがChicagoである。Chicagoの授業スタイルはレクチャー中心で、理論重視でじっくりと考えを深めていくものである。Harvardのように頭をフル回転させながら議論を白熱させる授業とは大きく違うようである。Harvardの方が実践的で役立ちそうな気もするが、自分にはChicagoのアカデミックなスタイルの方が間違いなく合っていると思う。恐らく大部分の日本人はHarvardよりChicagoの方が授業スタイルが合っているのではないか。ただし、五大湖南岸の厳しい気候が嫌厭されているのか、日本人留学生からの人気はランキングの割には低いようである。Booth Schoolとも呼ばれている。

Kelloggはノースウエスタン大学のビジネススクールである。Chicagoから程近いエバンストンに立地しており、HarvardとMITのように両校もライバル関係にある。Kelloggは何といってもマーケティングの分野に圧倒的な強みがあり、マーケティングの神様とも評されるフィリップ・コトラーが在籍している。チームワークとダイバーシティを重視する校風で知られており、良くも悪くもエリート学生が集うトップスクールの中で最もリベラルな印象を受ける。日本での知名度は低いが、BusinessweekのMBAランキングでは1位獲得回数最多を誇り、実力派のビジネススクールと言える。

ColumbiaもKellogg同様にリベラルな校風で知られるビジネススクールである。ニューヨークのマンハッタンに立地するため国際色豊かで、留学生の比率が高いという特徴を持つ。MBAランキングにおいては上記のビジネススクールに比べて若干見劣りするが、ニューヨークに立地する強みを活かして、有名な投資銀行やコンサルに就職する学生も多い。また、Harvardと同様にアイビー・リーグの一角を担う大学でもあり、日本での知名度は高い。アイビー・リーグは東海岸の名門私立大学8校の総称であり、Harvard、Princeton、Yaleの3校を筆頭に世界トップクラスの大学群となっている。YaleとDartmouthは2017年のMBAランキングにおいてM7と並んでトップ10に入っており、MBAの世界でもアイビー・リーグの存在感は大きい。

最後にカリフォルニア大学バークレー校のHaasをトップスクールの一角として挙げたい。Haasは2017年のMBAランキングにおいて7位を獲得している。カリフォルニア大学は州立大学であるため、M7の私立校という条件からは外れているが、実力的にはM7と遜色ないレベルにあるだろう。サンフランシスコ・ベイエリアの東岸に立地しており、西海岸の大学に特有の起業家精神の高さが特徴である。また、MIT同様にテクノロジーに強いビジネススクールとしても有名である。

ここまでMBAのトップスクール8校を挙げたが、このうちの6校がボストン、シカゴ、サンフランシスコという3つの都市圏に集中していることが分かる。人口で考えれば2000万人のニューヨーク大都市圏、1300万人のロサンゼルス大都市圏にトップスクールが集中してもおかしくない。900万人のシカゴ大都市圏こそ全米3位だが、500万人のボストン大都市圏は全米10位、400万人のサンフランシスコ大都市圏は全米11位に過ぎない。日本では旧帝国大学を除けば名門大学のほとんどが東京に集中しているため、アメリカにおける大学の立地には少し違和感を覚える。しかし、ボストンとサンフランシスコはハイテク産業の集積地であり、アメリカの経済産業分野において最先端を走る地域である。また、ボストンとサンフランシスコには大洋に開かれた港という共通点もある。ボストンはヨーロッパからの移民が最初に新大陸に降り立った始まりの土地であり、サンフランシスコは西部開拓を続けたアメリカ人の到達点、そしてアジア・太平洋という次なる野望を見つけた土地である。時代の最先端を走る地域に時代の最先端を目指す人々が集うのは必然と言えるかもしれない。

2017年12月17日日曜日

ホワイトアルバムの季節に冴えカノ最終巻を読んで

今更ながら、冴えない彼女の育てかた最終巻を読了。10月には刊行されていたのに、どうして12月まで読むのを持ち越したのかと言うと、今日が中小企業診断士の最終試験である口述試験の日であったため。この作品に出会ったのは今から三年前になるが、その頃は精神的にかなり疲弊していた時期であり、冴えカノはそんな自分にとって転機となった。アニメの出来が良くて思わず原作に手を伸ばしたが、7巻を読んで痺れた。このままゆっくり腐っていって良いのかという気持ちになった。たかがライトノベルではあるが、自分みたいに内向的で狭い世界しか知らない人間にとって、物語一つが与える影響というのは想像以上に大きい。三年前からリハビリを続けて、中小企業診断士の試験はその一つの区切りであった。今日ほど最終巻を読むのに相応しい日はないだろう。

とか言いつつ、実際には12巻でルートが確定してしまって、もはや先が気にならなくなっていたというのが本音かもしれない。結果的に最終巻は想像通りの展開であった。流石と言える出来に仕上がっていたと思う。でも、素直に言えば物足りないというのが本当の気持ち。この作品はWHITE ALBUM2の救済のつもりなのだと思う。以前も書いたが、冴えカノとWHITE ALBUM2には共通点や比較できる点が非常に多い。作者が同じなのだから似ていても不思議ではないが、これは似ているというより似せたと考えた方がしっくりくる。端折って結論だけ述べると、加藤が雪菜で、英梨々がかずさである。そしてWHITE ALBUM2ではどう足掻いても辿り着けなかった大団円を描いたのが冴えカノである。主人公に献身的に尽くしてきた雪菜はようやく報われ、かずさも失恋を受け入れて前向きに夢の道に進む。そして二人の友情は保たれるという奇跡のようなラストである。

しかし、雪菜は救済されたかもしれないが、かずさが救済されたとは到底思えない。加藤が現実にいそうな女の子という設定でリアリティを追求された一方、英梨々のリアリティは第二部において限りなく薄まった。英梨々がリアリティを保っていたのはGirls Side2における一泊二日の修復までで、その後の英梨々は作品内における存在感だけは大きいものの、実際にはこれといったアプローチは行っていない。負けて当然というか、倫也に対して未練とかないのではとしか思えなかった。それはそれでリアルな感じもするが、英梨々が何らかのアクションを起こしていれば第二部はもっと面白くなったと思う。かずさほど本気じゃなかったよ。

2017年12月10日日曜日

中小企業診断士受験記録Part3

中小企業診断士2次試験の筆記試験に合格。試験前日の芋煮会で風邪を引き、さらに昨年から続く左目の痛みが再発。雨も降る中でコンディションは最悪だったが、一年間勉強した成果はしっかり発揮されたらしい。昨年秋頃からの勉強時間を計算したところ、およそ700時間という結果になった。診断士の知識は主にTACのスピードテキストと問題集で身に着けた。7科目を2周して500時間は勉強したと思う。1次試験の過去問を解いた時間も加算すると、1次試験までの勉強時間が550時間。2次試験は過去問5年分で50時間、集中特訓財務・会計を2周して50時間、全知識・全ノウハウに50時間で合計150時間というところ。診断士受験において700時間が多いかは微妙なところだが、社会人が一年間に勉強時間を700時間確保するのは意外と大変だと思う。とりあえず今はストレート合格ができて嬉しい。口述試験に向けた復習も兼ねて、各事例について振り返ってみたい。

事例Ⅰは菓子製造業を営むA社がテーマである。第1問はX社の事業基盤を引き継いだことを最大の要因として挙げたが、予備校の解答は商品の絞り込みとなっていた。確かにA社の功績と言えるのは後者だろう。要因は外したが、内容は重複する部分が多いため部分点は得られていると思う。第2問の経営体制の特徴は満点を取れた自信がある。第3問の戦略的メリットは一番悩んだ問題であり、工業団地に立地する地元企業との連携とか頓珍漢なことを書いた。郊外の広い工場に移転して新しい機器を導入することができたというシンプルな解答が求められていたようだ。第4問も論点を外し、全国市場に展開する上でのリスクではなく、全国市場に展開した後のリスクを記述してしまった。ただし、やはり内容は重複する部分が多いため部分点は得られただろう。第5問は自由度の高い問題であったため高得点が期待できる。総合すると何とかA評価を貰えたのではないかと思う。

事例ⅡはX市の商店街で寝具小売業を営むB社がテーマである。第1問は競合の状況は十分に書けたが、B社の強みが不十分であったかもしれない。顧客の潜在的ニーズの収集を書かなかった気がする。第2問は顧客への案内状送付まで踏み込んで記述したが、TACの解答を読むと妥当性が低いように思われる。予約会の成功を短期的な視点からのみ考えてしまい、長期的な視点から記述すべき要素が抜け落ちてまった。第3問は建築業との連携についてはよく書けたが、顧客生涯価値を高める内容になっていなかった。介護ベッドを購入した顧客へのアフターサービス、日用品の配達等によって顧客との接点をつくることで、購買間隔の長い寝具の買い替えに繋げるところまで言及する必要があった。第4問は自由度の高い問題であったため十分な得点が見込めるが、与件の最終段落にある「事業継続のためには地域の繁栄が必要」という時期社長の想いを失念していた。親子向けのイベント開催によって若年層の商店街利用を促すというところまで言及したかった。事例Ⅱは簡単なように見えて、必要な要素が抜け落ちて意外と点数に結び付かないことが多い。診断士の勉強を通じて実感したのは、マーケティングにはサービス精神が欠かせないということであり、自分はどうもサービス精神が足りないらしいということである。

さて、2次試験で一番得意な科目が事例Ⅲであった。TACの2次公開模試では受験生2400人中、事例Ⅰ(組織・人事)が128位、事例Ⅱ(マーケティング・流通)が1143位、事例Ⅲ(生産・技術)が25位、事例Ⅳ(財務・会計)が1141位ということで、事例Ⅲのみ好成績を収めていた。理系出身でもなく、メーカーに勤務しているわけでもないため不思議に感じていたが、やはり自分は経営学の中ではオペレーション・マネジメントに一番適性があるらしい。本試験でも一番得点できたのが事例Ⅲであった。これは直感だが、ストラテジー、マーケティング、ファイナンス等が抽象的、理論的な議論を中心としているのに対して、オペレーションは具体的、実践的な議論の多い分野なのではないか。そもそも経営学の本流はテイラーの科学的管理法に始まるオペレーションにあり、混沌とした経営の世界に理論という秩序を与えようとしたのがマイケル・ポーターやフィリップ・コトラーである。具体的で実践的な議論、混沌とした学問領域…これは何かを思い出さずにはいられない。

事例ⅢはCNC木工加工機の新規事業を行うC社がテーマである。今回の事例Ⅲは例年よりも難化し、第1問と第2問における内容の切り分けが特に難しかった。ただし、最も難しい第1問を最後に解くという戦略が功を奏し、第1問は生産管理、第2問は生産業務と分けて記述することができた。特に第2問は満点を狙えるレベルの出来。第1問は生産管理のIT化までは踏み込まなかったが、正しい方向性で記述できたので他の受験生と差を付けるポイントになったと思う。事例Ⅲで一番易しい第3問は設計担当を受注業務に充てるというところまで具体的には踏み込まなかったが、十分な出来だろう。第4問は汎用性の高い製品への改良という点が抜けてしまったが、NC機械の特性を踏まえた新商品・新サービスについて提案できたと思う。事例Ⅲは難化の割に総じて出来が良く、A評価は間違いない。

最後の事例Ⅳは多くの受験生をパニックに陥れたと思うが、自分も例外ではない。まずは第4問が珍しく記述問題ということに驚き、さらに全く知らない連結財務諸表が出てきたことで不安が高まり、最終的に第2問と第3問で悪問が頻発したことで戦意を喪失した。自信を持って解けたのは第1問の経営分析と第2問の予測損益計算だけであった。発電事業における年間変動費の表は未だにどう解釈すれば良いのか分からない。半年間の変動費なのに年間変動費という書き方は紛らわしすぎる。「下回る」の表現も混乱を招いた要因であり、第2問が終わる頃には完全にパニック状態であった。第3問もあまり見かけない穴埋め式の問題であり、除却損を考える以前に問題の解釈に手間取った。第4問はとりあえず空白を埋めるために何か書いたが、分からなすぎて内容を全く覚えていない。事例Ⅳは足切りも覚悟していたので、このレベルの出来でも受かっているという事実から判断するに、他の受験生も相当できなかったものと思われる。

2017年11月26日日曜日

なぜ地域活性化が必要なのか

大学で地理学を勉強していた頃から、地域活性化について考える機会は多かった。バブル崩壊以降、地方経済は下り坂の一途を辿っている。2011年に人口減少社会に突入した日本だが、地方の人口減少は今に始まったことではない。増田寛也が座長を務める日本創生会議によると、現在と同程度の人口流出が続くと仮定した場合、2040年までに日本の自治体の約半数が人口減少によって消滅するらしい。秋田県に至っては大潟村を除く全ての自治体が消滅可能性都市に指定された。県庁所在地である秋田市さえ20年程で存続できなくなるというのは驚きの結果である。このままでは地方は滅びてしまう。地方の存続のためにも、地域活性化が必要である。

しかし、そもそも地方の存続というのは必要なことなのか。東京や大阪といった大都市に住む人間の大多数にとって、地方が消滅しようが正直知ったことではないのではないか。大学を卒業して地方に住むようになってからも、なぜ地域活性化が必要なのかという質問にはなかなか答えられないでいた。地理が好きな者として、直感的に地域活性化が重要であることは感じていたが、明確な論理は持っていなかった。多額の税金を投入してまで地方を維持することは正しいことなのか。もちろん地方に住む人の郷土愛を無視するつもりはないが、日本全体として考えたときに地域活性化は合理的と言えるのか。

大都市に人口を集めれば、行政やインフラに要するコストは格段に減る。人口が数千人の町、あるいは数百人しかいない村であっても、電力会社は送電線を敷いて電気を送らなければならない。どう考えても赤字である。実際に鉄道会社は不採算路線からの撤退を始めている。JR北海道においては札幌近郊を除く全ての路線が赤字となっている。人口減少社会に突入した日本において、資金面でも人材面でも地方に投資を続ける余裕などないのではないか。都市の効率的な運営を目指すコンパクトシティという概念があるが、これは効率化の名の下に郊外を切り捨てる政策である。日本全体でこのような効率化に取り組もうとすれば、採算の合わない地方は真っ先に切り捨てられるだろう。

地方に住む人々の心情を無視した暴論だが、日本全体の利益を考えれば上記の論はそれなりに妥当性を持っているように思える。しかし、イノベーションと多様性という観点から考えると、地方切り捨てが本当に正しいことなのかは疑わしい。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは経済成長の要因が企業家による不断のイノベーションにあることを突き止めた。イノベーションを生み出すには固定観念に縛られない創造性、多様性が必要である。環境が同じ人間はどうしても思考が似通ってくる。東京で生まれ育った人間だけで果たして今まで以上に多くのイノベーションを起こすことができるだろうか。

都市経済学者のリチャード・フロリダはニューヨーク、ロンドン、パリ、東京といった一握りの大都市圏が世界経済を動かしていることを明らかにした。メガ・リージョンと称されるこうした大都市圏は世界に40程度しか存在しないが、世界のGDPの3分の2を生み出し、イノベーションの85%を起こしている。それは創造的な仕事をするクリエイティブクラスの人材が大都市に集中し、彼らの仕事が高い付加価値を生み出すためである。ヒト、モノ、カネ、情報が集まる大都市は、イノベーションを生み出す上で重要な空間である。しかし、それは地方から様々な人材や情報が集まっているためでもある。地方からの供給が途絶えれば、大都市は今までのような高いパフォーマンスを発揮できなくなるのではないか。

地方には地方独自の魅力や課題がある。魅力よりも課題の方が圧倒的に多い場合がほとんどだが、そうした環境の違いによって地方の人間は東京で生まれ育った人間とは異なる思考を持っている。それは東京で生まれ育ち、大人になって東北に移住した自分が体感的に理解したことである。良い面も悪い面もあるが、東京に住み続けていたら考えなかったことが沢山ある。リバース・イノベーションという概念がある。これは制約の多い新興国において斬新なイノベーションが生まれ、先進国に逆輸入されるケースを説明した理論である。地域ならではの課題を解決しようと考える中で、今までにはないアイデアが生まれることも多くあるだろう。また、地方を見つめる中で東京の課題が浮き彫りになるケースもある。

即ち多様性の源泉として地方の存続は重要なのである。地方の多様性を維持するためにも、地域活性化によって魅力ある地方をつくることが必要である。イノベーションを起こすには無駄に思えるような遊びの部分が欠かせない。経済学者クレイトン・クリステンセンは巨大企業が新興企業の前に呆気なく敗れ去る要因として、イノベーションのジレンマという概念を提唱した。巨大企業は収益性の高い魅力ある商品を有しており、その商品の持続的な改善には力を発揮する。しかし、既存の商品が優れた特色を持つために、既存商品の価値を破壊することには躊躇いがあり、新しい価値を持つ商品を生み出そうとする動機が失われしまう。結果として新しい価値を持った商品を生み出すのは新興企業であり、その破壊的イノベーションの前に巨大企業は敗れ去る。効率性だけを突き詰めてはイノベーションは生まれない。多様性の中からイノベーションが生まれ、社会経済は成長していく。遠回りのように見えるかもしれないが、地域活性化を積み重ねていくことはきっと日本の将来の役に立つ。日本の近代化は薩摩と長州から始まった。地方の多様性なくして、明治維新は起こり得なかった。