2017年12月10日日曜日

中小企業診断士受験記録Part4 2次試験 事例Ⅱ

中小企業診断士の勉強に要した時間を合計したところ、およそ700時間という計算になった。最も時間をかけたのはTACのスピードテキスト。各科目300ページから400ページ程度で、図表の多い財務・会計、経済学・経済政策を除くと、1時間で10ページ程度を読み進めていたため、7科目合わせて200時間といったところ。テキストと並行して問題集も進めていたが、こちらはテキストの半分くらいの時間がかかったと思う。テキストと問題集はそれぞれ2周しており、合計で500時間くらいは勉強したのではないか。1次試験の過去問に使った時間も加算して、1次試験までの勉強時間はおよそ550時間と見積もれる。2次試験に向けては過去問5年分で50時間、集中特訓財務・会計を2周して50時間、全知全ノウに50時間で合計150時間。2次試験まで合わせると700時間という結果になる。700時間が多いか少ないかは微妙なところだが、とりあえず1年で700時間は勉強する余力があることが分かった。診断士受験の経験を参考に、勉強時間をしっかり確保して次の挑戦に取り組んでいきたい。

さて、事例ⅡはX市の商店街で寝具小売業を営むB社がテーマとなっていた。幹線道路沿いに出店した大型スーパーに若年層の顧客を奪われ、商店街の小売店は収益が悪化している。B社では時間を持て余した社長夫人が店内でシルバー世代を相手に井戸端会議を開くようになり、商店街の住民を中心に交流の輪を広げるようになった。地域住民のニーズを知る中で、B社は寝具以外にも日用品の販売を行うようになり、さらに婦人服の予約会を定期的に開催するようになった。社長の娘は保育士の経験があり、子育て世代向けに「親と子の快眠教室」といったイベントを開く等、事業継続に向けて新しい取り組みを行っている。

第1問はB社の強みと競合の状況を問う問題である。B社の強みとして、丁寧な接客によって顧客からの信頼を勝ち得ていることが挙げられるだろう。予備校の解答には井戸端会議を通じて顧客の潜在的ニーズを収集している点が挙げられていたが、イマイチ書いた記憶がない。競合は幹線道路沿いに出店した大型スーパーであり、若年層住民を惹きつけているが、次期社長が視察したように高品質な商品が少なく、従業員も少なくて十分な説明ができていないという弱みを抱えている。それなりに得点できているとは思うが、B社の強みが十分に記述できていない可能性が高い。

第2問はB社が婦人用ハンドバッグの予約会を成功させるための施策を問う問題である。設問には「現在のデータベースを活用しながら」という条件が付されている。データベースとは社長が寝具の配達時に記録した住所、社長夫人が記録した寝具や婦人服の購買履歴と顧客の好みである。顧客の好みに合わせた婦人用ハンドバッグを取りそろえ、顧客ごとにカスタマイズしたダイレクトメールを送付するという解答にした。予備校の解答では婦人服と婦人用バッグのコーディネート提案等もあったが、そこまで書けなくても十分な得点はできたのではないかと思う。

第3問はB社が地域の中小建築業と連携して、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策を問う問題である。X市では介護のための改装が増加しており、B社が取り扱う寝具には介護ベッドが含まれている。以上の点から、建築業者とB社が連携して介護ベッドとリフォームの導入を相互に紹介し合うという解答にした。しかし、予備校の解答を見ると、この解答では顧客生涯価値を高めるには不十分な内容であった。介護ベッドを購入した顧客へのアフターサービス、日用品の配達等によって顧客との接点をつくることで、購買間隔の長い寝具の買い替えに繋げるところまで言及する必要があった。自信を持って解答したが、半分も得点できていないと思われる。

第4問はB社が今後どのセグメントをターゲットとして、どのような施策を行うべきか問う問題である。X市と全国の年齢別人口構成比から、X市は30代の夫婦とその子供から成るファミリー層が多いことが分かる。時期社長が元保育士で親子向けのイベントで既に成功を収めていることから、ファミリー層がターゲットであることは間違いない。施策として二番煎じではあるが親子向けのイベントを継続して顧客との接点をつくり、保育園で必要になる商品を取りそろえ、母親からの相談に応じる中で商品を薦めていくという解答にした。予備校の解答もこれに近いが、与件の最終段落にある「事業継続のためには、地域の繁栄が必要」という時期社長の想いも込めて、親子向けのイベント開催によって若年層の商店街利用を促すという点にまで言及していたので、自分の解答は不十分であったと言わざるを得ない。事例Ⅱは簡単なように見えて、必要な要素が抜け落ちて意外と点数に結び付かないことが多い。今回の事例ⅡもBに下がっている可能性が高いと思う。診断士の勉強を通じて実感したのは、マーケティングにはサービス精神が欠かせないということであり、自分はどうもサービス精神が足りないらしいということである。

2017年12月9日土曜日

中小企業診断士受験記録Part3 2次試験 事例Ⅰ

中小企業診断士2次試験の筆記試験に合格。試験前日の芋煮では風邪を引き、さらに左目の痛みが再発。雨も降る中でコンディションは最悪だったが、一年間勉強した成果はしっかり発揮されたらしい。今年の事例Ⅳは悪問、難問が多く、自信を持って解答できた問題がほとんどなかった。そのため試験終了後は絶望感しかなく、事例Ⅳで足切りされる可能性も拭えなかった。合格発表までは落ちている可能性の方が高いと思っていたので、何とかストレート合格ができて嬉しい。口述試験に向けた復習も兼ねて、各事例について振り返ってみたい。

事例Ⅰは菓子製造業を営むA社がテーマである。A社の前身は老舗の菓子メーカーX社であり、X社がバブル期の過剰投資で債務超過に陥った後、社員が主力商品3種類に絞って事業を引き継いだのがA社である。A社は創業から順調に売上高を伸ばし、その規模は年間8億円にまで成長した。A社の主力商品は地元で有名な銘菓であり、贈答品や土産物として利用されている。A社の次なる目標は全国市場への展開と新商品開発であり、売上高30億円の中堅菓子メーカーを目指している。

第1問はX社の主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因を問う問題である。自分はX社の事業基盤を引き継いだことを最大の要因として挙げた。X社の元社員8名で事業を始めたため、X社の製造ノウハウや顧客基盤を引き継ぐことができたのは大きい。A社社長がX社の営業課長であった点も外せないだろう。商標権を取得して、県を代表する銘菓であるX社のブランドを利用することができた点についても挙げた。予備校の解答では商品を絞り込み、商品名を社名とすることでブランドを消費者に浸透させたことが書かれていた。ここまでマーケティング寄りの解答にはしなかったと思うが、内容は重なる部分が多いので十分に得点できているだろう。

第2問は少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制の特徴を問う問題である。機器の導入による製造の自動化を果たし、自社店舗を持たないことにより、正規社員の業務量を減らし、非正規社員の活用を可能として、効率的な業務体制を構築したことを記述した。予備校の解答も同様であり、これは満点が取れたかもしれない。第1問と第2問は易しい問題であった。

第3問はA社が工業団地に移転したことで生み出した戦略的メリットを問う問題である。これは事例Ⅰで一番悩んだ問題であった。というのも、食品衛生管理の国際標準規格であるHACCP取得、商品の品質向上、主力商品の日産5万個体制確立といった工業団地移転後の状況は与件で述べられていたが、工業団地移転との因果関係が掴めなかったからである。予備校の解答はこうした移転後の状況を単に列挙するものであったが、自分は因果関係の記述に重点を置いた。工業団地で他のメーカーとの交流が生まれて、製造や物流のノウハウを向上させることができたとか、そのような内容を書いた。今考えると、論理の展開に飛躍があるので点数は付いていないだろう。手狭になった工場を郊外に移転したことで、新しい機器等を導入することができた。そのため生産体制の変革に成功した。シンプルにそれだけで良かった。

第4問はA社が全国市場への展開を進めていく上で障害となるリスクの可能性について助言せよという問題である。A社は全国市場に進出する上で首都圏出店の夢を持っているが、これまで直営店を持たなかったA社には店舗運営のノウハウがない。また、全国に展開するための新商品開発が必要となるが、X社時代の商品に依存を続けるA社には商品開発のノウハウもない。以上の2点から、闇雲な首都圏出店や新商品開発は失敗する可能性が高く、かつてのX社のように債務を抱えるリスクがあるという解答にした。しかし、予備校の解答を見る限り、どうも論点がずれていたらしい。全国市場への展開をした後のリスクではなく、全国市場への展開をする上でのリスクが問われており、自分の解答だと前者のリスクになってしまうのである。新商品開発が上手くいかない可能性、首都圏出店のための資金が調達できない可能性といったリスクを挙げれば良く、X社のように債務を抱えるというのは行き過ぎた解答であった。部分点は貰えたと思うが、題意から外れるため減点されたことだろう。

第5問はA社の存続にとって懸念すべき組織的課題を分析せよという問題である。第4問のリスクの裏返しであるが、店舗運営や新商品開発のノウハウを持った人材の確保と育成が第一に挙げられる。また、X社時代の社員が退職を迎えているため、既存の業務を担う人材の育成も重要である。予備校の解答も近いものであったが、組織管理について制度化を図るといった一歩踏み込んだ内容まで書かれてあった。A社は2000年に創業したばかりの若い企業であり、組織のライフサイクルにおける公式化の段階にあると言える。「第三の創業期」と強調されていることからも言及すべき点であった。第1問と第2問はほぼ満点、第3問から第5問も部分点は稼げたと思うので、総合すると事例Ⅰは何とかAが取れたのではないだろうか。

2017年11月26日日曜日

なぜ地域活性化が必要なのか

大学で地理学を勉強していた頃から、地域活性化について考える機会は多かった。バブル崩壊以降、地方経済は下り坂の一途を辿っている。2011年に人口減少社会に突入した日本だが、地方の人口減少は今に始まったことではない。増田寛也が座長を務める日本創生会議によると、現在と同程度の人口流出が続くと仮定した場合、2040年までに日本の自治体の約半数が人口減少によって消滅するらしい。秋田県に至っては大潟村を除く全ての自治体が消滅可能性都市に指定された。県庁所在地である秋田市さえ20年程で存続できなくなるというのは驚きの結果である。このままでは地方は滅びてしまう。地方の存続のためにも、地域活性化が必要である。

しかし、そもそも地方の存続というのは必要なことなのか。東京や大阪といった大都市に住む人間の大多数にとって、地方が消滅しようが正直知ったことではないのではないか。大学を卒業して地方に住むようになってからも、なぜ地域活性化が必要なのかという質問にはなかなか答えられないでいた。地理が好きな者として、直感的に地域活性化が重要であることは感じていたが、明確な論理は持っていなかった。多額の税金を投入してまで地方を維持することは正しいことなのか。もちろん地方に住む人の郷土愛を無視するつもりはないが、日本全体として考えたときに地域活性化は合理的と言えるのか。

大都市に人口を集めれば、行政やインフラに要するコストは格段に減る。人口が数千人の町、あるいは数百人しかいない村であっても、電力会社は送電線を敷いて電気を送らなければならない。どう考えても赤字である。実際に鉄道会社は不採算路線からの撤退を始めている。JR北海道においては札幌近郊を除く全ての路線が赤字となっている。人口減少社会に突入した日本において、資金面でも人材面でも地方に投資を続ける余裕などないのではないか。都市の効率的な運営を目指すコンパクトシティという概念があるが、これは効率化の名の下に郊外を切り捨てる政策である。日本全体でこのような効率化に取り組もうとすれば、採算の合わない地方は真っ先に切り捨てられるだろう。

地方に住む人々の心情を無視した暴論だが、日本全体の利益を考えれば上記の論はそれなりに妥当性を持っているように思える。しかし、イノベーションと多様性という観点から考えると、地方切り捨てが本当に正しいことなのかは疑わしい。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは経済成長の要因が企業家による不断のイノベーションにあることを突き止めた。イノベーションを生み出すには固定観念に縛られない創造性、多様性が必要である。環境が同じ人間はどうしても思考が似通ってくる。東京で生まれ育った人間だけで果たして今まで以上に多くのイノベーションを起こすことができるだろうか。

都市経済学者のリチャード・フロリダはニューヨーク、ロンドン、パリ、東京といった一握りの大都市圏が世界経済を動かしていることを明らかにした。メガ・リージョンと称されるこうした大都市圏は世界に40程度しか存在しないが、世界のGDPの3分の2を生み出し、イノベーションの85%を起こしている。それは創造的な仕事をするクリエイティブクラスの人材が大都市に集中し、彼らの仕事が高い付加価値を生み出すためである。ヒト、モノ、カネ、情報が集まる大都市は、イノベーションを生み出す上で重要な空間である。しかし、それは地方から様々な人材や情報が集まっているためでもある。地方からの供給が途絶えれば、大都市は今までのような高いパフォーマンスを発揮できなくなるのではないか。

地方には地方独自の魅力や課題がある。魅力よりも課題の方が圧倒的に多い場合がほとんどだが、そうした環境の違いによって地方の人間は東京で生まれ育った人間とは異なる思考を持っている。それは東京で生まれ育ち、大人になって東北に移住した自分が体感的に理解したことである。良い面も悪い面もあるが、東京に住み続けていたら考えなかったことが沢山ある。リバース・イノベーションという概念がある。これは制約の多い新興国において斬新なイノベーションが生まれ、先進国に逆輸入されるケースを説明した理論である。地域ならではの課題を解決しようと考える中で、今までにはないアイデアが生まれることも多くあるだろう。また、地方を見つめる中で東京の課題が浮き彫りになるケースもある。

即ち多様性の源泉として地方の存続は重要なのである。地方の多様性を維持するためにも、地域活性化によって魅力ある地方をつくることが必要である。イノベーションを起こすには無駄に思えるような遊びの部分が欠かせない。経済学者クレイトン・クリステンセンは巨大企業が新興企業の前に呆気なく敗れ去る要因として、イノベーションのジレンマという概念を提唱した。巨大企業は収益性の高い魅力ある商品を有しており、その商品の持続的な改善には力を発揮する。しかし、既存の商品が優れた特色を持つために、既存商品の価値を破壊することには躊躇いがあり、新しい価値を持つ商品を生み出そうとする動機が失われしまう。結果として新しい価値を持った商品を生み出すのは新興企業であり、その破壊的イノベーションの前に巨大企業は敗れ去る。効率性だけを突き詰めてはイノベーションは生まれない。多様性の中からイノベーションが生まれ、社会経済は成長していく。遠回りのように見えるかもしれないが、地域活性化を積み重ねていくことはきっと日本の将来の役に立つ。日本の近代化は薩摩と長州から始まった。地方の多様性なくして、明治維新は起こり得なかった。

2017年11月25日土曜日

飛騨・高岡旅行記録

麻布の同級生と久しぶりに旅行に行ってきた。去年の春に仙台周辺を旅行したときと同じメンバーで、行き先は飛騨と高岡という微妙なチョイス。新宿駅のバスターミナルから飛騨まで直行の高速バスが出ており、奥飛騨温泉郷の一つ平湯温泉まで5時間程であった。平湯温泉に到着したのは午後7時頃で、標高のためか真冬のような寒さであった。さらに平湯温泉から宿のある新穂高温泉までバスで移動。ここで「新穂高温泉口」で降りるところを、誤って「新平湯温泉口」で降りるというハプニングが発生。寒空の下、よく分からない場所で途方に暮れる四人組であった。宿の方が車で迎えにきてくれて本当に助かった。白雲荘様に感謝。
 
貸切の露天風呂を堪能した翌日は飛騨高山に向かった。高山は小京都とも称される飛騨観光の中心地で、高山陣屋を中心に古くからの町並みが残っている。ちなみに高山陣屋は現存する唯一の陣屋らしい。メンバーのせいもあって、地歴部の旅行を思い出す。高山は氷菓の舞台でもあり、ところどころアニメに出てきた風景も見れた。観光地のためか、地方都市にしては小綺麗な町に感じられる。飛騨のグルメとしては飛騨牛が有名で、昼に食べた飛騨牛の握りが絶品だった。盆地、城下町、ブランド牛、温泉、何だか米沢に似ている気がしたが、全体的に米沢の上位互換といった感じがする。
 


高山の次は世界遺産の白川郷へ。合掌造り以外は普通の里山といったところだが、外国人を含めて観光客で賑わっていた。交通の便はあまり良くないはずだが、名古屋と金沢の中間地点にあるため、両都市とセットになった旅行プランが結構多いようだ。松本や上高地へのアクセスも良く、意外と集客に有利な立地なのかもしれない。中部地方の中心に位置するため、まさに日本の中心と言っても過言ではない。この日は夕方に白川郷を出発し、富山県の副都である高岡に泊まった。




高岡は地味な都市である。それは高岡を築いた人物が地味なためかもしれない。加賀藩は江戸時代における日本最大の藩として有名だが、藩祖である前田利長の知名度はあまりにも低い。しかし、彼の功績は父である前田利家にも劣らないものである。徳川家康との対決を避け、北陸の太守としての地位を守り抜いたのは立派である。利家が生きていれば家康との対決に突き進み、前田家は滅ぼされていた可能性が高い。利長には子供がおらず血を残すことはなかったが、彼の堅実で保守的な精神は加賀藩の成立過程を通じて今も北陸に根付いていると思う。



富山は日本を代表するコンパクトシティとして有名だが、高岡にもLRTが走っていた。藤子・F・不二雄の出身地であるため、ドラえもんカラーになっている。LRTは鉄道とバスの中間くらいの位置付けの交通機関であり、中心市街地の活性化、環境負荷の低減、交通弱者の救済といったメリットがあるとされている。LRTに関しては賛否両論あるが、初めて乗ってみた印象としては乗り心地も良く、時刻表の通りに発着するため使い勝手は良かった。仙台のバスは平気で10分遅れたりするので、とても使う気にはならない。もちろん、LRT導入には軌道や停留所の整備にそれなりのコストを要するため、手放しでLRTを導入しようという結論には至らないが。既存の交通形態を破壊することは、それなりのリスクとデメリットを伴うものである。LRTで向かった新湊ではブリやノドグロといった北陸の海産物を頂いた。帰りは新高岡から北陸新幹線に乗り、仙台まで5時間の旅路であった。


 
 

2017年9月18日月曜日

ゲーマーズ!9巻の展望と亜玖璃に関する考察

アニメも残すところ2話となった本作。キャラデザと作画は相変わらず残念だけど、やはり脚本は抜群に面白い。6話のサブタイトル変更とか9話の副音声とか、予算はなくても工夫で何とか盛り上げようとしている点も好感が持てる。先週の10話ではあまぐり疑惑(※あまぐり…雨野×亜玖璃のカップリング)がいよいよ本格化して、ようやく全ての錯綜関係が整ったというところ。上原の浮気疑惑によって雨野と亜玖璃が協力関係を一層深め、そんな二人を周りは疑惑の目で見つめるという負のスパイラル。そして、あまぐり疑惑は5巻「全滅ゲームオーバー」のキス未遂によってピークに達する。

しかし、あまぐり疑惑は6巻「告白チェインコンボ」における雨野の再告白によって解消される。この再告白の影響は凄まじく、5巻までの錯綜関係はここで大部分が解消される。唯一残ったすれ違いが千秋の正体であり、6巻ラストにおける千秋の告白を起点として、以降は千秋を中心とした新たな錯綜関係が始まる。5巻までの錯綜関係を「第一の錯綜」とすれば、現在は「第二の錯綜」が展開されていると言えよう。「第二の錯綜」はこれまでの錯綜関係とは性質が異なる。「第一の錯綜」は勘違いが原因であったが、「第二の錯綜」は勘違いが起きていないにも関わらず、錯綜関係が生まれてしまっている。天道さんは雨野と両想いであることを理解しながら、それでも千秋と同じスタートラインに立つため雨野との別れを決断した。そして8巻「逆転バックアタック」において、ついに雨野が千秋に恋愛感情を持つに至り、「第一の錯綜」における勘違いは現実化してしまう。

雨野と千秋がすぐに付き合い始めるかは分からないが、9巻では雨野と千秋の関係に焦点が当たるだろう。しかし、このまま雨野と千秋が結ばれて終了という展開には恐らくならないはずだ。というのは1巻「青春コンティニュー」において、高校生活の最後まで錯綜関係が続くことが予告されているためである。

こうしてこの日、僕とアグリさんの《連合》は見事に成立したわけだけど……。

この《連合》がここで変に成立してしまったせいで、その後むしろ互いの足を引っ張り合いまくることになろうとは……この時どころか、高校生活の最後まで、僕らはあんまり気付かないままなのであった。

最終的に千秋エンドになる可能性は十分にあるが、高校卒業まで物語が続くのであれば9巻で千秋と円満に結ばれるということは考えにくい。ヒロインレースの決着はまだ先の話になるだろう。では、天道さんと千秋のダブルヒロイン体制が展開されるのかと言うと、それも違うと思う。現状では考えにくいように思われるが、今後の錯綜関係の中心になるのは亜玖璃だと確信している。それはゲーマーズ!錯綜関係の本質と亜玖璃エンドの可能性において述べたように、作品の構造的に亜玖璃が雨野と対を成すポジションにあるためだ。

最大の根拠となるのが1巻から引用した上記の文章である。「互いの足を引っ張り合いまくることになろうとは……この時どころか、高校生活の最後まで、僕らはあんまり気付かないままなのであった。」という記述があるが、8巻の時点で雨野と亜玖璃はこの《連合》が二人の足を引っ張っていることに既に気付いている。「互いの足を引っ張る」という記述については、あまぐり疑惑によって想い人との関係が上手くいかなくなるという解釈が当初は自然であった。しかし、雨野と亜玖璃がそのことに気付いてしまっている以上、上記の解釈には修正が求められる。

新しい解釈として考えられるのが、雨野と亜玖璃が今後お互いに恋愛感情を抱くようになるというものである。お互いの恋を応援することを最初に決めてしまったために、両想いになったにも関わらず、別の相手との恋を応援してしまうという展開が予想できる。「第二の錯綜」では「第一の錯綜」における勘違いが現実化している。8巻において上原と亜玖璃の仲は修復されつつあるが、一方で雨野と亜玖璃の関係も一層深い次元に突入しており、勘違いが勘違いではなくなる時が来るかもしれない。7巻における2組のカップルの別れを起点として、8巻で雨野を中心とする三角関係に動きがあったように、今後は亜玖璃を中心とする三角関係にも動きがあるだろう。

そもそも亜玖璃は本作において謎の多いヒロインである。最大の謎は登場人物の中で唯一名字が明かされていないことである。準レギュラーである三角、加瀬先輩、ニーナ先輩でさえ名字が出ているので、亜玖璃の名字が隠されているのは意図的なものである。亜玖璃の名字にどのような謎が隠されているのかは検討もつかないが、雨野の母親の旧姓である土山説があるようである。確かに雨野も亜玖璃も小柄という点が共通しており、従姉弟などの血縁関係にあるとすれば二人の関係性にも納得がいくし、亜玖璃が雨野を弟のように感じていることも伏線ということになる。他には生徒会の一存に出てきた人物と関わりがあるのではないかという噂もあるが、いずれにしても亜玖璃が切り札を隠し持っていることは間違いない。

名字だけではなく名前も伏線になっている。亜玖璃の名前の由来はソーシャルゲームで有名なグリーであると思われる。メインヒロインの名前も任天堂に由来していると思われるため、これも意図的なものだろう。グリーと言えば任天堂の倒し方を知っていることで有名なゲーム会社である。TVゲームの任天堂とソーシャルゲームのグリーのように、天道さんと亜玖璃も雨野に接するスタイルは全く別のものである。メインヒロインの天道さんを倒す真ヒロインとして亜玖璃が設定されていることの伏線かもしれない。

表紙の順番も気になる点である。亜玖璃が表紙になったのは5巻「全滅ゲームオーバー」の1回のみ。天道さんが1巻、6巻、8巻、DLCと既に4回も表紙を飾っているのとは対照的だが、気になるのは何故5巻まで表紙にならなかったのかということである。普通のライトノベルであれば3巻の表紙になるのが妥当であるが、3巻の表紙は心春が優先され、さらに4巻ではヒロインと言えるかさえ怪しいニーナ先輩が亜玖璃より先に表紙を飾った。これも非常に作者の意図を感じる。あえて5巻の表紙に亜玖璃を残しておいた理由としては、当初は5巻打ち切りで亜玖璃ENDが予定されていたことが考えられる。あるいは「第一の錯綜」を締め括る人物として亜玖璃が相応しいと考えたのか。いずれにしても、亜玖璃は天道さんと千秋の後塵を拝する3人目のヒロインというより、ダブルヒロインとは別枠の存在として設定されているような気がしてならない。表紙の順番に関しては冴えカノの加藤と同じような意図があるのではないかと思っている。

他にも3巻の半生ゲーム、5巻のキズナダンジョンにおける雨野と亜玖璃の運命的な組み合わせも伏線のように感じられるが、現在進行形で残っている伏線としてラベアーズがある。これは修学旅行のディスティニーランドで雨野と亜玖璃が購入したジンクス付きのテディベアである。そのジンクスというのが「入手した恋人達は永遠に結ばれる」というものであり、雨野と亜玖璃はお互いの恋人に渡すべく購入したが、二人はラベアーズを渡そうとしたタイミングで恋人から別れを告げられている。何とも縁起の悪いテディベアであるが、そもそもラベアーズは恋人にプレゼントとして渡すアイテムなのだろうか。「入手した恋人達」と記述されているため、これは恋人が一緒に購入することで効果があるのではないか。実際に雨野と亜玖璃はラベアーズ購入のため二人でアルバイトをして仲をさらに深めており、一緒に購入した雨野と亜玖璃を結び付けるアイテムとなってしまったような気がしてならない。これらの伏線も回収しつつ、今後は雨野と亜玖璃の関係に変化が生じて、錯綜関係も新たなステージに突入するのではないだろうか。

2017年9月16日土曜日

沖縄旅行記録

沖縄旅行に行ってきた。仙台空港から直行便で那覇空港まで2時間40分。那覇空港の近くでレンタカーを借りて、4泊5日で沖縄本島を旅行した。初日は那覇空港から宿泊先である恩納村に直行。初日と2日目は沖縄の有名ビーチリゾートであるANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾートに宿泊。景勝地として有名な万座毛のすぐ近くに位置し、東シナ海に突き出た半島全体が敷地という広大なホテル。万座毛は沖縄でも有名な観光スポットらしいが、ちょうど雲が出ているタイミングで行ったためか、三陸海岸と代わり映えしない風景だった。それでいて非常に蒸し暑く、周りの観光客が中国語や韓国語ばかり話しているので変な気分だった。万座毛を早々に立ち去ると、ホテルにチェックインして夕暮れまで万座ビーチを散策。夕方かつ曇り空という微妙なコンディションであったが、流石沖縄と言うべきか海の綺麗さは今まで見た中で一番であった。最も驚いたのは水温の高さ。温水プール並みの水温でいつまでも入っていられそう。ようやく沖縄に来たことを実感する。



 
ホテルはロビーのすぐ奥にガーデンプールが広がっており、建物中央が最上階の9階まで吹き抜けとなっている豪華なつくり。沖縄の熱帯魚も展示されていた。夕食は近くの万座テーブルという食事処に行ったが、豆腐ちゃんぷるが美味しかった。初めて食べた海ブドウは若干酸味があって、独特の食感も相まって海藻という感じがしなかった。これは珍味。
 


 2日目は本島北部の本部半島へ。小さな半島であるにも関わらず、沖縄の観光スポットがかなり集中している。最初に向かったのは半島の北部に位置する古宇利島。古宇利島は島に渡るための古宇利大橋から見る風景が有名。古宇利島の入口にある古宇利ビーチは本島では瀬底ビーチと並ぶ透明度の高さで、この日は晴天に恵まれたため鮮やかな古宇利ブルーを堪能することができた。海の綺麗さに高揚していたのか、撮ってもらった写真も珍しく笑顔。海が透明で底までくっきり見えるのが沖縄のビーチのスタンダード。途中スコールがあったが30分程度で跡形もなく消え去った。亜熱帯に来た感じがしてスコールも嬉しい。


次に向かったのは世界遺産の今帰仁城。中世沖縄の三山時代に北山の拠点となった城で、築城年は13世紀と推定されているらしい。石垣を中心に巨大な遺構が残っており、城の中で何よりも石垣が好きな身としては高揚せざるを得ない。高い所からだと万里の長城のようにも見える。内地の城とは明らかに構造が異なっており、中華文明の影響を強く感じる城であった。



最後は沖縄で一番の観光スポットと言っても過言ではない美ら海水族館。昼食ついでに近くにある備瀬のフクギ並木にも寄った。趣のある小路といった感じ。写真だと涼しげに見えるが、木陰でも全然涼しくないのが沖縄らしい。ハイビスカスも咲いている。美ら海水族館には比較的空いているという夕方に入場したが、それでも圧倒的な人の多さだった。最大の見所である全長9mのジンベイザメはやはり一見の価値有り。他にもサンゴの展示など沖縄らしさを感じる水族館だった。


 

3日目は美ら海水族館と並ぶ観光スポット首里城へ。この日は旅行中で一番暑かったが、快晴で首里城の朱色が青い空に良く映えていた。守礼門とかこれぞ沖縄っていう感じの風景。今帰仁城同様に首里城も石垣を中心に遺構が多く残っている。正殿の中が資料館になっており、琉球王国の歴史について知ることができる。かなり満足度の高いスポットだった。







暑かったので、雪花冰という台湾風かき氷を食べに行った。雪花の郷というお店で隠れ家的な雰囲気だが、観光雑誌には必ず載っている有名店。一番人気のパッションフルーツを食べた。今までに味わったことのない食感でほんのりミルク風味で美味い。唯一の難点はお店が駐車場を確保していないため、近くのコインパーキングを利用しなければならないこと。1時間100円の安いパーキングが近くにあったけど、車で行く場合は要注意。


3日目からはホテル日航アリビラに宿泊。南ヨーロッパを想起させるオシャレなリゾートホテルで、こちらも沖縄屈指のビーチリゾート。周りにはサトウキビ畑しかないため隔世の感がある。部屋から眺める海がすごく綺麗で、エメラルド、淡い水色、深い青色とグラデーションがはっきり見える。目の前のニライビーチは古宇利ビーチと並ぶ透明度だったように思う。沖縄では珍しい岩浜のあるビーチで生き物が多く、注意していないとナマコを踏む恐れがある。



 
 

 
4日目は泊港からフェリーで慶良間諸島を訪れる予定であったが、台風18号が南方から接近してしていたため、ニライビーチとガーデンプールで遊んだ。終日快晴であったが波はかなり高くなっていたようで、後で確認したら帰りのフェリーが欠航していた。慶良間諸島に行っていたら危うく帰れなくなるところだった。最終日はいよいよ台風が近づいて運転していて不安を感じる風の強さであったが、何とか飛行機も運航して無事に帰ることができた。

2017年8月21日月曜日

Amazonカスタマーレビューに基づくゲーマーズ!人気ヒロインの分析

Amazonカスタマーレビューより

星5つ
1巻 青春コンティニュー 17
2巻 不意打ちハッピーエンド 7
3巻 初恋ニューゲーム 7
4巻 無自覚クリティカル 9
5巻 全滅ゲームオーバー 13
6巻 告白チェインコンボ 17
7巻 口づけデッドエンド 8
8巻 逆転バックアタック 8

平均値
1巻 青春コンティニュー 3.7
2巻 不意打ちハッピーエンド 3.9
3巻 初恋ニューゲーム 4.7
4巻 無自覚クリティカル 4.2
5巻 全滅ゲームオーバー 4.4
6巻 告白チェインコンボ 4.8
7巻 口づけデッドエンド 4.6
8巻 逆転バックアタック 3.6

総レビュー数
1巻 青春コンティニュー 31
2巻 不意打ちハッピーエンド 14
3巻 初恋ニューゲーム 9
4巻 無自覚クリティカル 17
5巻 全滅ゲームオーバー 19
6巻 告白チェインコンボ 18
7巻 口づけデッドエンド 12
8巻 逆転バックアタック 22

ゲーマーズ各巻のAmazonカスタマーレビューを見ていたら、意外な事実が浮かび上がってきたので紹介。星5つの数を見ると1巻と6巻が突出して多く、特に6巻は平均値でも4.8という最高値を記録していることから、既刊8巻の中で6巻の評価が最も高いことが判明。6巻の重要な出来事としてはサブタイトルの通り、雨野→天道さんへの再告白と合わせて、千秋→雨野への告白があった。どちらかと言えば千秋→雨野への告白が6巻のメインであり、6巻の評価が高いということは千秋の人気が高いということの裏付けになるのではないか。また、千秋の重要イベントとして欠かせないのが、千秋が雨野の正体に気付く3巻である。3巻は総レビュー数こそ少ないものの、平均値は6巻に次ぐ高さを示していることから、千秋の人気は相当に高いものと思われる。

千秋の次に人気があると思われるのが亜玖璃である。亜玖璃は親友の彼女というポジションであるにも関わらず、3巻からヒロインの片鱗を見せ始め、4巻と5巻では物語のメインとなっている。4巻と5巻は星5つの数が1巻と6巻に次いで多く、総レビュー数も4巻から急増しているため、亜玖璃の人気が低いということはないだろう。カスタマーレビューでは雨野×亜玖璃という斜め上の展開となり、良い意味で予想を裏切られたという感想が多かった。錯綜関係の中心人物と言える存在であり、雨野×亜玖璃の関係性は天道さんの天丼芸と並んで、この作品最大の見所だと思う。

問題はメインヒロインの天道さんである。天道さんが物語のメインとなった1巻と2巻はいずれも平均値が低い。1巻は星5つの数こそ多いものの、これは総レビュー数の多さに由来するものであり、純粋な評価に含めるべきではないだろう。天道さんは2巻で早くも雨野の恋人となってしまったため、逆に物語の中心から遠ざかってしまった。3巻から千秋ルートと亜玖璃ルートの可能性が浮上し、4巻と5巻では雨野×亜玖璃、6巻から8巻は雨野×千秋に焦点が当たってきた。双六に例えると、天道さんだけが一早く上がりを決めてしまい、その後のゲームに参加できなくなってしまったという状況である。この状況で天道さんが人気を獲得するのは困難であり、千秋と亜玖璃にとっては有利な状況が続いてきたと言える。そのため天道さんが雨野との別れを決めたのは、ある意味では必然であった。逆説的ではあるが、天道さんも再びゲームに参加できるようになったことで、天道ルートを進めていくことができるようになったのである。現状では千秋、亜玖璃、天道さんの順に人気が高いと思われるが、順位の変動は十分に有り得るだろう。