2017年7月22日土曜日

ゲーマーズ!8巻 星ノ守心春と逆転バックアタック 感想

ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック (富士見ファンタジア文庫)
KADOKAWA / 富士見書房 (2017-07-20)
売り上げランキング: 9

2017年6月25日日曜日

冴えない彼女の育てかた♭ 感想

冴えない彼女の育てかた Girls Side 3 (富士見ファンタジア文庫)
KADOKAWA / 富士見書房 (2017-06-20)
売り上げランキング: 8

2017年3月19日日曜日

冴えない彼女の育てかた12巻 感想

冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA (2017-03-18)
売り上げランキング: 6
冴えカノ12巻読了…。何というか一つの時代が終わったような気分。次巻のGirls Side3と本編13巻で冴えカノも完結ということだが、今回の12巻が実質的な最終巻と言っても過言ではないだろう。英梨々と詩羽先輩、そして加藤。3人のヒロインとの関係性が今回で確定したような気がする。11巻読了後の予想とは全然違う展開で、加藤の家庭環境なんて一切触れられず、恋愛的な一波乱もなかったけど、冴えカノという作品を綺麗に締めるには満足のいく出来だったのではないかと思う。2chの本スレではあらすじ公表時点から散々に叩かれ、発売から一日経過した現在でも否定的な書き込みが相次いでいるが、ラストの展開は流石と言える出来に仕上がっていると思う。

ちなみに11巻読了後に冴えカノ12巻の展望と加藤恵の謎に関する考察という記事を書いたが、「冴えない彼女の育てかた 12巻」で検索すると、GoogleでもYahoo!でも最初のページにヒットするという謎の反響具合で驚いている。結局、12巻の予想は何一つ当たっていなかったわけだけど。「あろうことかデート当日にドタキャンし、向かった場所は——病室だった」という前情報と意味深な表紙が公開されたときは、相当なシリアス展開になるんじゃないかと思ったけど、それも全然当たっていなかった。

病院に運ばれたのは紅坂朱音。脳梗塞という結構危ない病気で、命に別状はないものの右手が自由に動かせない状況。偶然か運命か、マルズからの連絡を受けた倫也は加藤とのデートをドタキャンして病院に向かう。そこで脱退組である英梨々と詩羽先輩、さらに詩羽先輩の担当編集にして紅坂朱音の同期である町田さんと遭遇する。紅坂が倒れたことで、英梨々と詩羽先輩が製作するフィールズ・クロニクルは深刻な危機に直面していた。それは英梨々と詩羽先輩のマネジメントをしながら、マルズと交渉できる紅朱企画サイドの人物がいないことであった。

そこで倫也は無謀な決断をする。それは紅坂朱音の代役として、blessing softwareを脱退した二人と一年ぶりのチームを再結成することであった。二人の考えをよく知る倫也だからこそ、ギリギリのラインでマルズの要求から二人の作品を守ることに倫也は成功する。そして今回はプロデューサーとして見事に英梨々と詩羽先輩を導いていく。7巻における二人の脱退で胸を痛めた者として、この辺りはかなり胸の熱くなる展開。そして倫也とのチーム再結成に当たって、詩羽先輩と英梨々も一つの決断をした様子。

一方、フィールズ・クロニクルのサポートに回る代償として、倫也は新生blessing softwareを一時的に離れる決断をする。デートのドタキャンに加えて、一時的とはいえサークル活動を放棄したことで、倫也と加藤の間には再び溝が生まれていた。英梨々と詩羽先輩、二人と再びゲーム製作ができることに喜びを隠せない倫也だが、懐かしさと同時に加藤がいない寂しさも感じていた。四人で活動していた頃のblessing softwareを思い出す倫也。そして倫也は加藤にメールを送る。今の心情を包み隠さず文章にして、倫也はフィールズ・クロニクル作成の合間を縫ってメールを送り続けた。

そしてメールの受信音が倫也の部屋の前から鳴る。部屋の前には廊下でメールを読む加藤の姿が。かつてのサークル活動に思いを馳せていたのは倫也だけではなかった。blessing softwareの再結成を一番に夢見ていたのは加藤だった。そこに遅れて現れた英梨々と詩羽先輩。脱退してしまった二人こそblessing softwareを一番大事に思っていたかもしれない。すれ違ってしまった歯車が再び噛み合い始める。そして英梨々と加藤が抱き合う表紙のシーン。このシーンは一言では言い表せないけど、英梨々と加藤だけのシーンではなくて、後ろにいる詩羽先輩と倫也も含めた四人のシーンであるということが重要。作品の集大成と呼ぶに相応しいシーンで、アニメ化したら泣きそう。さらに美智留、出海ちゃん、伊織も合流して、新旧メンバー全員で週末のゲーム製作合宿に突入。ここで物語が完結しても良いんじゃないかというくらいの大団円。そしてエピローグではついに倫也が加藤に…。

ということで加藤ルート確定。英梨々と詩羽先輩は倫也を諦めることを決断した様子。「倫也が側にいると描けない」と言っていた英梨々は倫也の側でも描けるようになった。一年前にblessing softwareが解散したのは英梨々が原因だったけど、また再結成することができたのも英梨々の決断が鍵になったと思う。詩羽先輩が英梨々に何を話したのかはGirls Side3で補完されるんだろうけど、詩羽先輩が全てを悟って倫也を諦めるシーンはCLANNAD18話「逆転の秘策」を思い出した。WHITE ALBUM2のようなシリアス展開も見たかったけど、これはこれで良い締め方だったと思う。

2017年2月6日月曜日

中小企業診断士受験記録Part1

中小企業診断士の受験勉強を始めて半年以上が経過。1次試験7科目の内、企業経営理論、財務・会計、運営管理、経済学・経済政策の4科目まで一通り学習した。使用している教材はTACのスピードテキストとスピード問題集。中小企業診断士の受験勉強に関するブログ記事は多数あるが、ほぼ全てのブログがTACをオススメしているので間違いないだろう。スピードと冠する割には小さい文字で1科目300ページ以上の厚さなのが気に食わないところではあるが。
7科目の中でも重要なのが企業経営理論、財務・会計、運営管理の3科目である。2次試験は組織、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計の4科目から構成されており、上記3科目の内容に該当する。この3科目で一番好きなのは企業経営理論。企業経営理論は経営戦略、組織論、マーケティングから構成されるが、経営戦略に興味があるから中小企業診断士を目指していると言っても過言ではない。

中小企業診断士という資格に興味を持ったのは社会人2年目の秋頃だった。仕事に余裕が出てきて、何か資格でも取ろうかと考えたように記憶している。ただし、そもそも経営戦略に興味を持ったのは恐らく大学2年生の春頃になるのではないか。それは最初のフィールドワークで瀬戸田町のレモン生産について調査したときのことである。瀬戸内海には柑橘栽培に適した島がいくつもあるが、その中で何故か瀬戸田町はレモン栽培に特化した島であった。日本のレモン生産の半分は瀬戸田町が占めており、地理的な要因をはるかに上回る何らかの要因が働いていた。農家や農協への聞き取り調査で分かったことを当時は曖昧な表現で論文にまとめていたが、今思えばこれこそが経営戦略であろう。そして経営戦略とは企業の戦略であり、国家の戦略にも通じるところがある。近現代史における列強の戦略、現代の国際関係における国家の戦略なんかを常日頃から考えている歴史好き、地理好きには相性が良い。

ということで、経営戦略に関してはかなり自信有。昨年のゴールデンウィークに経営戦略全史という非常に厚い本を読んで、経営戦略論の歴史について一通り頭に入っていることも大きいかもしれない。マーケティングも結構好き。組織論は普通…。企業経営理論の勉強を終えて、10月から本格的に受験勉強を開始。まずは財務・会計から。受験生が最も苦手とする科目と聞いていたので戦々恐々としていたが、意外にも得意科目であることが判明。株取引に興味がある人は財務論は好きになるはず。ただし、会計は正直つまらない。財務・会計を3週間で片付けた一方、割と興味を持っていた運営管理に苦戦。商圏分析は完全に立地論で面白かったけど、他は覚える用語が多すぎて死ぬ。そして経済学・経済政策の勉強が本日完了。これも財務・会計と同じく3週間で終わった。何だろう、数字とか図表が出てくるタイプの科目が得意なのかもしれない。言い換えれば、暗記科目が苦手なのか。

残りは経営情報システム、経営法務、中小企業経営・中小企業政策の3科目。まずは中小企業経営・中小企業政策に着手する予定。何故かと言えば、一番興味を持てる科目だから。企業経営理論と同じくらいモチベーション高い。反対に経営情報システムと経営法務は心が折れそうで怖い。情報系と法律系は昔から苦手なんだよな…。ただし、この3科目は3月末を目標に終えたいところ。そして4月からは7科目の復習と1次試験の過去問に突入。7月初旬の1次試験模試を受けて、夏以降は2次試験の勉強に乗り出したい。2か月で3科目は詰め込み過ぎな気もするが、このスケジュールじゃないと2次試験に間に合わない気がする。

2017年1月28日土曜日

2016年アニメランキング

1位 この素晴らしい世界に祝福を!
異世界を舞台にしたコメディ作品。不慮の事故で死んだ佐藤和真は女神アクアから魔王討伐のために異世界への転生を持ちかけられる。アクアを道連れに冒険者として異世界に転生した和真であったが、アクアは運と知性が極端に低い駄目神で、和真は日々の生活費にも困窮する有様であった。やがてアークウィザードのめぐみん、クルセイダーのダクネスを仲間に加えた和真であったが、彼女たちもアクアに匹敵するトラブルメーカーで、和真の異世界生活は波乱に満ちたものとなっていく。

原作絵はクオリティ高いのにどうしてこうなった…という感じの残念な作画だが、作画崩壊が気にならないくらいダントツに面白い。最近急増している異世界系の作品の中では個人的に最高評価。ジャンルとしては異世界系だけど中身は日常系に近い。とにかく会話のテンポが良く、あっという間に全話視聴していた。これはキャラクター設定の賜物だろう。特にめぐみんのパートが素晴らしい。シリアス要素が皆無に等しいため、個人的な趣味からは結構離れているが、2016年では一番のヒット作。

2位 Re:ゼロから始める異世界生活
こちらも異世界ファンタジー。引きこもりの高校生ナツキスバルは突如として異世界に召喚され、命の危機をハーフエルフのエミリアに救われる。エミリアの物探しに協力するスバルであったが、何者かの襲撃によって2人は殺されてしまう。しかし、殺されたはずのスバルは生き返り、異世界に召喚された時点まで時間が巻き戻っていることに気付く。死に戻りというタイムリープ能力を得たスバルは度重なる死に直面しながら、エミリアを救うため運命に抗っていく。

恐らく2016年の覇権アニメ。初回の1時間で上手く視聴者の心を掴んだと思う。毎週続きの気になる終わり方をしていたのが良かった。ただし、タイムリープは同じ場面を繰り返すことで間延びしたストーリーになってしまうのが弱点。リゼロもロズワール邸の部分で少しダラダラしている印象を受けた。そして主人公スバルに全く好感を持てないのが個人的に残念だった。ネットで連日繰り広げられたエミリアとレムのヒロイン論争が個人的には一番楽しかったかも。ちなみに自分はエミリア派。

3位 響け!ユーフォニアム2
吹奏楽部を舞台にした青春作品。関西大会出場を勝ち取った北宇治高校吹奏楽部は夏休みも熱心に練習を重ねていた。しかし、去年退部した2年生の傘木希美が部への復帰を求めて姿を見せると、同じく2年生でオーボエの鎧塚みぞれが変調を来すようになる。副部長の田中あすかは関西大会を優先して希美を切り捨てるが、あすかの態度に疑問を抱いた久美子は問題の核心に迫ろうとする。

これぞ京都アニメーションというクオリティの高さが脚本でも作画でも発揮されていた。作画レベルはもしかすると氷菓を超えていたかもしれない。ここ女子校じゃなくて共学だよね…と感じるくらい女子同士の関係がフィーチャーされていたのは1期同様であったが、繊細でリアルな人間関係が描けていたと思う。だからこそ恋愛をテーマにした作品でなかったのが惜しい。麗奈とか絶対恋愛映えするのに。いや、麗奈は既に恋愛しているんだけど…。何かが違う。秒速5センチメートルやtrue tearsに並ぶ名作になっていたかもしれないと思うと、良作であっただけに残念。次の京都アニメーション作品に期待。

2016年12月10日土曜日

京都旅行記録

11月末日と12月初日、晩秋の京都に紅葉を見に行ってきた。1泊2日で初日は東山、2日目は長岡京を中心に周った。大学4年生のときも紅葉の時期に京都を訪れたが、前回は東山、嵐山、鞍馬を周った記憶がある。初日の東山は南禅寺、哲学の道、永観堂、真如堂、金戒光明寺という順番で前回のルートと完全に一致。哲学の道に野良猫が住み着いているところまで一致。ただし、紅葉のグレードは前回の方が高かった。見頃を一週間過ぎてしまった感じで、鮮やかな紅葉は僅かに残っているのみ。京都でも特に紅葉で有名な寺社が集中するのが東山だが、紅葉シーズンも終盤のためか予想より空いていた印象だった。


 
 
朝5時半起きで埼玉を出発したため、東山を見終わっても昼過ぎという時間帯。最近は朝まったりして昼過ぎから活動する旅行が多かったので、この時点で結構疲れてしまっていたが、時間も余っているので東福寺に向かう。前回は東福寺が一番豪華な紅葉だと思ったが、シーズンを若干過ぎたため今回の東福寺はやや微妙。さらに前日の睡眠時間が4時間ということもあり、ここで疲労がピークに達したため、一度ホテルに戻って休息する。

ホテルで一眠りして体力が若干回復。17時半から予約していた料理屋へ向かう。目当ては蕪蒸という京料理。色んな出汁と蕪と魚と他にも何かいろいろ入った汁物でなかなか美味しかった。そして一番楽しみにしていた清水寺のライトアップへ。高台寺のライトアップが予想以上に綺麗だったので、今回の清水寺も期待していたが、予想を裏切らない景観が待っていた。iPhoneの画質が夜になると極端に悪いので綺麗に撮れなかったが、実物は写真の100倍は綺麗。そして規模が他の寺とは比べ物にならない。清水寺に来たのは3回目だが、ライトアップすると規模がより大きく感じられる。京都の雑誌によく登場する清水寺の夜景がそのまま広がっていた。いずれまた訪れたい場所。


二日目は長岡京というマイナーなエリアへ。というのも京都で紅葉が見頃なのが長岡京しか残っていなかったため。散紅葉で有名な光明寺へ向かったが、かなりの田舎にも関わらず、臨時バスの混雑具合は京都の市街地を上回るレベルだった。今回初めて知った紅葉のスポットだが、散紅葉の参道は南禅寺や東福寺の有名な寺社にも負けないレベルで美しいと思う。「光明寺 散紅葉」で検索すると恐ろしく綺麗な写真がいくつも出てくる。日没のタイミングで夕日を背景にすれば絶景を拝めそう。




光明寺の近くの名もなき寺へ。 紅葉と柑橘。


再び京都の市街地に戻って北大路で昼食。鴨川を南下して下賀茂神社へ。下賀茂神社は京都で最も紅葉が遅いらしく、全く紅葉が始まっていない。


締めは京都駅近くに位置する東寺。有名な五重塔。京都旅行もこれでおしまい。

2016年11月23日水曜日

冴えカノ12巻の展望と加藤恵の謎に関する考察

11巻後半からの急展開で物語も佳境に入った感のある、冴えない彼女の育てかた。7巻で「加藤恵……もう一度、俺のメインヒロインになってくれ」と言った割には、英梨々に未練残してる感じだし、相変わらず詩羽先輩の信者だし、本当に倫也は加藤をメインヒロインにする気があるのかと疑っていたが、これまで倫也と加藤が積み重ねてきたものが11巻で一気に恋愛方面に結実した感じ。とりあえず、詩羽先輩や美智留には反応しない倫也が加藤を相手にすると豹変することが分かった。完全に相思相愛で、シナリオ作成が関係を発展させる口実になっているし、もはやゲームつくらなくて良いんじゃないかというレベル。このまま誕生日デートに突入していたら、間違いなく加藤エンドで終わっていたが…。

「……っ、……っ!」

「え?何だって?ごめん、よく聞こえないんだけど……」

「…………」

「な……ちょっと待って!誰、が……」

内容は全く不明だけど、やたらと不安を煽る電話。最初読んだときは加藤から倫也への電話だと思っていたけど、倫也から加藤への電話のようにも思えるし、他の人物からの電話の可能性もある。とりあえず何かのトラブルで誕生日のデートが中止、そこからシリアス展開という流れは間違いなさそう。最初に思い浮かんだのは倫也か加藤が交通事故に遭ったんじゃないかというもの。電話をかけてきたのは英梨々で、倫也が事故に遭ったことを加藤に知らせる内容とか。倫也記憶喪失からの英梨々を含めた三角関係展開とか、倫也が三年後に目覚めたとき加藤は既に…とか。しかし、このシチュエーションは君が望む永遠のパロディだということが分かり、候補から消えた。内容まで交通事故で重ねてくるとは思えないし、何より展開が安直で雑すぎる。

そして、他に思い浮かんだのは英梨々関係。冴えない彼女の育てかた考察 タイトルのダブルミーニングと英梨々エンドの可能性冴えない彼女の育てかた考察 WHITE ALBUM2との比較からで書いたように、この作品は最終的に倫也、加藤、英梨々の三角関係になるのではないかというのが持論である。7巻のシリアス展開は突き詰めると、倫也が英梨々と加藤のどちらを選ぶのかという話なわけで。結局のところ、倫也は英梨々に裏切られるんだけど。再び三角関係に突入するのであれば、11巻のラストは最後の分岐点だろう。11巻は何かと加藤が英梨々を気にする描写が多かった。

「だって……今のわたしたち、ちょっと、彼女には見られたくないなって」

「だって、何だか、言い訳しにくくって……」

一泊二日の修復で仲直りを果たした加藤と英梨々だが、今回の加藤は何というか完全に抜け駆けだった。加藤が英梨々に後ろめたいという気持ちを抱くのも当然だと思う。英梨々に知られてしまったのか、加藤から英梨々に話したのか分からないが、英梨々に絡む問題で加藤がデートに行けなくなってしまったという展開は有り得そう。ただし、この展開は間違いなく英梨々にヘイトが向かうのが難点。そもそも誕生日に加藤が倫也とデートするくらいは英梨々も普通に許しそうな気がする。

英梨々関係で他に有り得るのは、英梨々が再び倒れて倫也が英梨々の元に向かうという展開。フィールズクロニクルの素材提出期限が9月末で死にそうになっているという話が出ていたので、時期的に英梨々が倒れるという展開は有り得ないこともない。ただし、この展開は6巻そのままだし、英梨々が相変わらず成長していないという話にもなりかねない。そして、この展開もやはり英梨々にヘイトが向かうのが難点。というか、キャラクター人気的に英梨々との三角関係に持ち込むのは現実的に難しいかもしれない。

そして最終的に行き着いたのは、作品の根幹にも関わる加藤自身の問題という展開である。今までにない加藤恵という新しいタイプのヒロイン、その魅力を描くことが丸戸史明の本作における一番の目的だと思うが、どうして加藤がこのようなキャラクターになったのかという点について、いわば作品の根幹といえる点については今まで明らかにされてこなかった。彼女が元々フラットな性格をしていて、付き合いが人並み外れて良く、容姿の割に目立たない人物なのだと言えばそれまでだが、それだけで説明できるキャラクターではないように思われるのだ。加藤はなぜ最初から付き合いが良かったのか、なぜサークル活動に没頭していったのか、なぜメインヒロインを目指したのか、なぜ倫也を好きになったのか。

加藤恵の謎を考えて思い至ったのは、彼女が家庭環境に何らかの問題を抱えているのではないかということだ。家庭環境は人格形成に重要な影響を及ぼす要素の一つである。特殊な家庭の事情が彼女の無個性という個性をつくりあげたのではないか。このように考えたのは加藤の家族があまりにも彼女に対して無関心というか不干渉のように思えるからだ。週末になれば倫也の家に入り浸り、平気で外泊してくるにも関わらず加藤を咎めるような気配がない。特に驚いたのは1巻で加藤が家族旅行をすっぽかして倫也のためにメインヒロインを演じたシーンである。このとき加藤は北海道に一週間の家族旅行に来ていたが、その旅行は結婚を予定する加藤の姉が発案した最後の家族旅行であった。あまりにも家族の優先度が低いので、ひょっとして加藤は家族と不仲なのかと疑ってしまうのも無理はない。実際に倫也も同じ発想に至っている。

玄関口で普通に母娘仲良く会話してた!家庭崩壊してなかった!(8巻 P.198)

8巻で加藤の家に立ち寄るシーンの倫也。加藤の家が家庭崩壊しているんじゃないかと冗談半分で少し疑っていた倫也が安心する場面。しかし、娘が朝帰りしてきたのに、しかも帰ってすぐまた出かけるというのに笑顔で見送る母親には違和感を覚える。このような母娘関係に至った背景は分からないが、加藤は家族との間に何となく距離感があるように思える。加藤が家庭環境に問題を抱えているとすると、先に述べた加藤に関する謎も理解できてくる。11巻において倫也は、とてもとても共依存という単語が頭をよぎった、と加藤を評しているが、まさにその通りなのだと思う。これまで倫也は加藤を付き合いの良い女子だと思っていたが、その実態は果たして…。

「ところで加藤、お前さ、あの時どうして朝早くからにあんなとこにいたんだ?お前んちから全然遠いだろ?」

「さあ、もう覚えてないけど……」

8巻において最初に出会ったときのことを話す倫也と加藤のシーン。この物語の始まりにして、最も重要な出会いのイベント。加藤は覚えていないと軽く流したが、新聞配達の時間に自宅から離れた住宅街をオシャレして歩いているというのは、どう考えても特別な用事があったからだろう。それを覚えていないというのは嘘であり、加藤があの時間にあの場所にいたのは何か大きな理由があったのではないか。その理由こそ加藤恵の謎を解き明かす重要な鍵となるのではないか。繰り返し登場している最初のシーンが物語の根幹につながる重要なフラグだったというのは実に丸戸史明らしいと思う。