2015年3月22日日曜日

冴えない彼女の育てかた考察 タイトルのダブルミーニングと英梨々エンドの可能性

冴えない彼女の育てかた Girls Side (富士見ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA/富士見書房 (2015-02-20)
売り上げランキング: 19,710

7巻で英梨々と詩羽先輩が脱退してしまったblessing softwareだが、ラストで出海ちゃんが豊ヶ崎学園に入学してきたので、英梨々の跡を継ぐイラストレーターは出海ちゃんで決まりだろう。一方、詩羽先輩の跡を継ぐシナリオライターは倫也になるのではないか。冬コミでは詩羽先輩と共同で執筆して、その実力も一応認められている。詩羽ファンの英梨々に詩羽シナリオよりも好きだと言わせているし、これまでもシナリオに口を出す場面が多い印象を受けるので、倫也もシナリオライターとしてクリエイターの仲間入りをしそう。倫也は冬コミにおいてプロデューサーとして失敗しているので、rouge en rougeを抜けた伊織の力も借りながら、プロデューサーとシナリオライターを兼任するようになるのではないか。新体制で次の冬コミを目指してゲームを創るのが第二部となるだろう。

第二部の予想に入る前に、以前から気になっていたのは、タイトルの読み方が二通りあることである。「冴えないヒロインの育てかた」と「冴えないカノジョの育てかた」である。冴えないヒロインは加藤を指しているが、冴えないカノジョとは英梨々のことを指しているのではないかというのが持論である。加藤はヒロインとしては冴えていないが、倫也への付き合いの良さやデートシーンなどを見るとカノジョとしては冴えているように思う。一方、英梨々はヒロインとしてはこれ以上ないくらい冴えているのに、カノジョとしての冴えなさはピカイチのポンコツヒロインである。しかし、英梨々は6巻から7巻にかけて、急速にカノジョとしての成長を見せている。冴えない彼女の育てかたは、加藤がヒロインとして成長する一方で、英梨々もカノジョとして成長していく物語ではないか。1巻の表紙が英梨々であることも単なる噛ませではなく、英梨々が加藤と並ぶメインヒロインになる伏線のように思われる。

Girls Sideを読んで詩羽先輩の優しさにすっかり魅了されてしまったが、残念ながら詩羽先輩は倫也をめぐる正妻戦争からは一歩身を引いてしまった感がある。三人のメインヒロインの中で、倫也から唯一恋愛対象として見られていないのが詩羽先輩である。加藤は出会いの時点から倫也に惚れられているし、英梨々は初恋の相手で6巻から7巻にかけて再び意識され始めているが、詩羽先輩は憧れの作家どまりである。8巻以降の展開であるが、加藤、英梨々、倫也の三角関係が物語の主軸になると予想する。筆者は純然たる加藤派なのだが、加藤ルート一直線では物語として面白くならないため、恋するメトロノームやWHITE ALBUM2のような三角関係の展開になっていくのではないかと予想する。本命は加藤エンドだが、英梨々エンドの可能性も十分に有り得る。

出海ちゃんと美智留はこれから巻き返してくるとは思えない。そもそもあの二人はそこまで倫也に対してこだわりはないのではないかと思う。英梨々が高校三年のクラス分けで倫也と同じクラスになっているのも気になるし、8巻から始まる第二部ではサークル活動で倫也が加藤との仲を深めていく一方、英梨々との関係も進展しそう。そして三人の関係は次第に…的な。丸戸史明の作品なので単純な加藤エンドという王道展開にはならないように思うし、脱退した英梨々がヒロイン力を発揮する意外な展開も考えられる。

Girls Sideは扉絵の詩羽先輩が素敵。最近は母性を感じる。いつの間にか面倒見の良いお姉さんポジションになっていて、英梨々×詩羽先輩が実は冴えカノで一番のカップリングなのではないかと思われてくる。アニメの売上は1万枚と好調なようなので、是非2期をやってGirls Sideまでアニメ化して欲しい。クリエイターへの憧れを思い出させてくれた個人的大ヒット作。

2015年3月20日金曜日

これからの電源立地について

エネルギーを考えるときに重要となるのがEconomy, Energy Security, Environmentの3E+Safetyである。しかし、電源立地地域への影響、地域による制約という観点も日本のエネルギーのあり方を語る上で重要である。経済性、エネルギーの安全保障、環境性、安全性に加えて、立地地域への影響もエネルギーを評価する上で重要な要素となる。また、立地地域の制約を考えなければ、具体的なエネルギー計画は作成できない。

化石燃料、原子力、再生可能エネルギーの中で優先して利用すべきは再生可能エネルギーである。化石燃料はCO2排出による地球温暖化と資源枯渇の問題、原子力は放射性物質による深刻な事故の問題を抱えている。一方、再生可能エネルギーは持続可能な唯一のエネルギーである。ただし、再生可能エネルギーはコストの問題を抱えており、化石燃料と原子力に比べて発電単価が高い。特に、風力と太陽光は気象によって発電量が変動するため、発電量に対して過大な送電設備を要し、蓄電池の整備や火力発電所のバックアップも必要になる。

しかし、再生可能エネルギーには農山村地域と一次産業の維持につながる効果が見られる。北海道森町では地熱発電所の余熱が立地地域である濁川地区のハウス栽培に利用されており、高い収益の得られる農業を可能にしている。同じく北海道の下川町は林業の盛んな地域であるが、木質バイオマスによる発電と熱供給がエネルギーコストの削減と林業の維持につながっている。福島県郡山市では布引高原において風力発電と農業が共生している。風車用地の地代が農家の収入に寄与し、日本第2位の規模の風力発電が特産品である布引大根を有名なものした。さらに農山村地域がFITを活用して売電収入を得られるになれば、効果は今以上のものとなる。農山村地域と一次産業は衰退の一途を辿っており、これを維持するために多額の予算が投入されている。農山村地域と一次産業を振興する効果を考えると、再生可能エネルギーは経済合理性を持つ可能性がある。立地地域への効果に応じて買取価格を変化させるなど制度の調整を行えば、再生可能エネルギー政策は地域経済活性化の政策としても効果を発揮するようになるだろう。

一方、再生可能エネルギーには立地地域による制約という課題もある。地熱発電はその最たる例である。開発適地の周辺に温泉地が存在することが多く、温泉への悪影響を懸念する温泉地が反対運動を展開する事例が見られる。北海道の釧路市阿寒町のように天然記念物マリモへの悪影響を懸念して、地熱発電に反対する事例もある。風力発電もバードストライクや騒音の問題から、地域住民に反対される事例がある。再生可能エネルギーは水力発電のダム開発に代表されるように、自然環境にも悪影響を与える。CO2は排出しないが、必ずしも環境に優しいエネルギーというわけではない。再生可能エネルギーの開発に反対する自然保護団体は多い。こうした地域による開発の制約を考えなければ、再生可能エネルギーの導入量に関する具体的な議論はできないだろう。経済産業省は3/10に2030年の再生可能エネルギーの導入量見通しを示した。地熱発電は現状の2.7倍の導入量となっているが、果たして残り15年で可能なのか。現在、地熱発電開発の計画が浮上している地域の半分以上で地元の温泉地が消極的な姿勢を示している。また、木質バイオマス発電も、燃料となるチップの供給量が不足しているという話を聞く。立地地域による制約を踏まえると、再生可能エネルギーの導入はどこまで可能なのか。

日本の電力需要の内、再生可能エネルギーが現在賄っているのは10%程度であり、その多くが水力発電である。再生可能エネルギー30%でさえ努力目標とされているため、今後も日本のエネルギーの中心となるのは化石燃料と原子力だろう。ただし、原子力発電所は廃炉が進み、新設が今まで以上に困難になるため、その比率は減少していくだろう。現在、廃炉の工程に進んでいるのは日本原子力研究開発機構のふげん発電所(福井県敦賀市)、日本原電の東海発電所(茨城県東海村)、中部電力の浜岡発電所1号機・2号機(静岡県御前崎市)、東京電力の福島第一発電所(福島県大熊町)である。また、廃炉が決定しているのが、関西電力の美浜発電所1号機・2号機(福井県美浜町)、日本原電の敦賀発電所1号機(福井県敦賀市)、中国電力の島根発電所1号機(島根県松江市)、九州電力の玄海発電所1号機(佐賀県玄海町)である。原子力発電所は電源立地地域対策交付金が膨大な額に上り、他の電源と比べても立地地域に与える影響が非常に大きい。今後進んでいく廃炉は立地地域にどのような影響を与えるのか。

また、再稼働に対する姿勢は地域によって異なっている。茨城県東海村では首長が東海第二発電所の廃炉を要望しているが、税収と雇用の大部分を原発に依存している立地地域では珍しい。政府、電力会社、製造業を中心とした経済界は安価な電源である原子力発電所の再稼働を希望しており、廃炉になるかどうかは立地地域の姿勢に一任されている。廃炉を求めるか、再稼働を認めるか、さらには新増設まで認めるか、日本における原子力発電の今後は立地地域の姿勢にかかっている。立地地域の姿勢から原子力発電の今後を展望する。原子力関連施設が集中する下北半島と若狭湾沿岸地域は地域全体で原子力産業に依存しているため、隣接市町村からの反対も少なく、今後も原子力発電所と関連施設の立地地域として存続していくように思われる。

再生可能エネルギーと原子力で賄えない部分が化石燃料のシェアとなるが、今後もエネルギーの中心は化石燃料となるだろう。原子力発電所の停止を受けて、石炭火力発電所の新増設計画が全国で浮上しているが、環境面から新増設計画の一部にはストップがかかると思われる。長期的には石炭火力よりもガス火力が伸びそうである。それも小型のガス火力発電所である。デンマークでは小型の火力発電所を地域ごとに設置し、地域熱供給システムを整えて電気と熱を併給している。日本でも省エネの観点から寒冷地を中心に地域熱供給システムが普及していく可能性はある。

2015年3月8日日曜日

もしグスタフ2世アドルフが戦死しなければ

三十年戦争で活躍したスウェーデン王グスタフ2世アドルフはプロテスタント陣営の勝利を目前に戦死してしまう。スウェーデン軍はグスタフ2世アドルフの死後も連戦連勝を続けたが、グスタフ2世アドルフの跡を継いだクリスティーナ女王は領土への執着心が薄かったと言われており、スウェーデン王国の貢献に対して戦後に獲得した領土は僅かに西ポンメルンとブレーメンのみであった。クリスティーナ女王は若い女性の君主であり、ポーランド共和国やデンマーク王国といった宿敵から狙われることを恐れて、あえて譲歩することで三十年戦争を平和裏に終結させようとしたのかもしれない。

もしグスタフ2世アドルフが生きていれば、スウェーデン王国はプロテスタント陣営の盟主として北ドイツに広大な領土を獲得したのではないかと思われる。グスタフ2世アドルフは後のプロイセン王国につながるブランデンブルク辺境伯のホーエンツォレルン家から妻を迎えていた。ブランデンブルク辺境伯領は三十年戦争で最も荒廃した地域の一つであり、君主がプロテスタントとカトリックの間を二転三転したために両陣営から領地を荒らされることになったと言われている。グスタフ2世アドルフが存命であれば、婚姻関係を利用してブランデンブルク辺境伯領をスウェーデン王国の領土とすることができただろう。

北ドイツに領土を獲得したスウェーデン王国が次に狙うのは宿敵デンマーク王国である。スウェーデン王国はデンマーク王国によってドイツと分断される形になっており、ドイツ進出を本格化するためにもデンマーク王国の併合が必要である。軍事力で勝るスウェーデン王国は度重なる戦争によってスコーネ、ノルウェーと少しずつデンマーク王国の領土を獲得していくだろう。スウェーデン王国の強大化を恐れるポーランド共和国とロシア・ツァーリ国の介入が考えられるが、ポーランド共和国は衰退期に入っており、ロシア・ツァーリ国もバルト海東岸を割譲することで講和に持ち込むことができるだろう。フランス帝国のナポレオン、ナチスドイツのヒトラーを考えれば、広大な領土と膨大な人口を抱えるロシアとは多少の譲歩をしてでも仲良くすることが吉である。

17世紀末にはスカンディナビア統一を果たし、スウェーデン王国はドイツにおける勢力拡大を狙うようになる。スウェーデン王国が最初に狙うのはザクセン選帝侯である。ポーランド共和国の国王選挙に出馬するためにカトリックに改宗したザクセン選帝侯はドイツでの支持を失い、スウェーデン王国はザクセン選帝侯をドイツから追放して領土を獲得する。18世紀前半はスペイン継承戦争とオーストリア継承戦争という二つの大きな戦争が勃発し、スウェーデン王国がドイツ進出を図るには絶好の機会であった。ブルボン家、ハプスブルク家というヨーロッパの二大勢力の対立を利用して、スウェーデン王国はライン川流域からエルベ川流域まで北ドイツに勢力を拡大する。さらにポーランド分割によって東方へと領土を拡大する。

19世紀初頭からナポレオン戦争が始まると、ヨーロッパ大陸はフランス軍に席巻されてスウェーデン王国も劣勢に立たされる。フランス帝国の支配下においてドイツでもナショナリズムが勃興し、戦後はドイツ統一の機運を利用してスウェーデン王国が南ドイツを併合する。プロイセン王国とスウェーデン王国は小国でありながら軍備増強に力を入れて列強と渡り合ったという共通点を有しており、スウェーデン王国はプロイセン王国の先駆けと言える存在である。もしグスタフ2世アドルフが戦死しなければ、ドイツ統一はスウェーデン王国によって成し遂げられていたと思われる。