2015年11月2日月曜日

アフリカ諸国が発展途上国から抜け出せない理由

第二次世界大戦後、欧米列強の植民地は相次いで独立を果たした。独立の時点において、アジアの植民地もアフリカの植民地も経済力において大きな差はなかった。どちらの地域もプランテーション農業と資源産業の他に大した産業はなく、近代的な都市といえば欧米人が暮らす港湾都市しか存在しなかった。しかし、アジアの植民地は独立後に急速な発展を遂げるようになる。例えば、天然ゴムのプランテーション農業と錫鉱山しか取柄のなかったマレーシアはイギリスからの独立後に急速な工業化を果たした。先進国メーカーの下請けとして工業化を図り、現在は一人当たりGDPが1万ドルを突破する中進国にまで成長した。マレーシアには劣るが、同じ東南アジアに位置するタイやインドネシアも工業化に成功して中進国への道を歩んでいる。

一方、同じ熱帯という条件を持ちながら、多くのアフリカ諸国は発展途上国から抜け出せないままでいる。観光業に特化した島国であるセーシェルやモーリシャス、産油国であるリビアや赤道ギニアを除くと、中進国と呼べるのは南アフリカくらいである。マレーシアのように工業化に成功した国は皆無で、植民地時代から続くプランテーション農業と資源産業が経済を支える唯一の産業となっている。近年は資源価格の高騰が追い風となり、アフリカの資源国は高い経済成長率を誇るようになった。しかし、国民の教育水準が低く、資源頼みの経済成長には限界がある。

発展途上国の中でアフリカ諸国だけが発展できないのは何故なのか。民族の分布を無視した植民地時代の国境が内戦や隣国との戦争につながっているためか。エイズやマラリアなど感染症の蔓延が深刻なためか。東南アジアの国々のように輸出志向型の工業化を進めなかったためか。どの問題もアフリカ諸国の大きな課題であるが、最大の問題はアフリカの食糧生産力に対して人口が増え過ぎていることにあると思う。多くのアフリカ諸国が独立したためにアフリカの年として知られる1960年に比べて、アフリカの人口は現在4倍にまで膨れ上がったが、食糧生産力は2倍にも達していない。アフリカ大陸は南北の僅かな地域が温帯気候に属し、コンゴ盆地が熱帯雨林気候に属する他は、ほぼ全ての地域が乾燥気候に属する。乾燥地域は干ばつに見舞われることも多く、低い農業生産性につながっている。

日本のように海外から食糧を輸入する経済力があれば話は別だが、アフリカ諸国のような発展途上国では食糧を輸入する外貨さえ不足している。また、十分なインフラ整備がされていないため、食糧を輸入しても港湾都市から国内の地域へ食糧を輸送することができない。そのような状態で食糧生産力が低いまま、人口だけが増加するとどうなるか。人々は教育を受ける余裕もなく、その日生きていくために日雇いの労働を強いられたり、畑でイモを栽培するしか術がない。あるいは犯罪に手を染めたり、紛争に向かう兵士となるだろう。結果的にいつまでも貧困から抜け出せない状態が続く。

東南アジア諸国は1960年代から始まる緑の革命によって、米の生産量を数倍に増加させることに成功した。食糧不足の心配がなくなったことで、農業から工業への労働力の移動にも耐えられる社会となり、その後の工業化と経済発展につながった。イギリスも産業革命が始まるきっかけとして、農業革命が起きていることが知られる。ノーフォーク農法で知られる輪栽式農業によってイギリスは農業生産力を向上させ、産業革命の時代に突入することができた。産業化や経済発展の基礎は農業生産性の向上にあり、その初歩的な段階をクリアできなければアフリカ諸国の発展は難しい。

アフリカ大陸は人口爆発の真っ最中で、2050年にはアフリカ最大の人口大国であるナイジェリアの人口がアメリカ合衆国と並んで4億人に達する見込みである。エチオピア、コンゴ民主共和国、エジプト、タンザニアの人口も1億人を突破し、世界の4人に1人がアフリカ人となる。しかし、農業に適さないアフリカ大陸は既に人口の限界に達しており、これ以上の人口増加は経済発展の阻害要因となる。中国の一人っ子政策は少子高齢化のような問題も生み出しているが、発展途上国から抜け出すためにもアフリカ諸国はまず人口抑制策に取り組む必要がある。食糧生産力に見合うだけの人口に抑えれば、人々は生活の心配をせずに教育や産業化に専念することができ、アフリカ諸国の経済も成長軌道に乗るだろう。人口減少が大きな問題となっている日本からすれば意外ではあるが、人口増加は必ずしも良いものとは限らない。アフリカ諸国の場合は人口減少が経済をテイクオフさせる鍵となるだろう。

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