2016年2月13日土曜日

すべてが地理になる

あらゆる事象は具体性を伴った瞬間に地理的研究の対象となる。例えば、経済学で扱うインフレも「アルゼンチンのインフレ」というように具体性を伴った瞬間に地理学の対象となる。何故アルゼンチン経済はインフレに苦しめられているのか。農業以外に競争力のある産業を育成できなかったアルゼンチンの地域的要因と関わりがあるかもしれない。地域性と無縁でいられる事象というのは中々存在せず、地域性と関わりを持つ限りは全て地理のジャンルとして扱うことができる。

複数の地域を比較して論じるというのは地理的研究のよくある手法の一つである。日本のGDPを600兆円に高めるためにはでは、北欧諸国とアメリカ合衆国を比較対象として日本の労働環境の問題点を述べた。また、比較とは異なるが日本に必要な移民政策では、移民の導入において先行するヨーロッパとアメリカ合衆国の現状を参考として日本の移民政策について述べた。労働環境や移民政策は政治や経済の文脈で語られることが多いが、他の地域と比較して論じることで具体性を得ることができる。抽象的な話を具体的な話に落とし込む上で地理的な視点も大事だと思う。

地理的研究のテーマとして語られることが多いのが交通と街づくりである。都市地理学というジャンルで語られることも多い。富谷町の無謀なLRT計画で述べたように、LRTは高齢化と中心市街地の空洞化という現代都市の問題に対応した優れた交通インフラであるが、地域によって向き不向きがある。鉄道開通による鳩ヶ谷の変容で述べたように、交通インフラは地域のあり方を一変させるものでもある。交通は街づくりのキーポイントであり、地域性を無視して交通を論じることは不可能である。

地域問題も地理的研究の課題である。地熱大国日本における地熱発電の可能性北海道の地熱発電開発では、地熱発電開発に反対する温泉地という問題を取り上げた。ミクロな政治的問題として片付けられることが多いが、地域によって地熱発電開発に反対する事情は異なり、地熱発電開発を契機として地域の抱えている問題を解決できる可能性もある。地域性に着目することで、地熱発電か温泉かという二者択一的な状況を脱することができるかもしれない。理論だけでは解決できない地域問題に解を見出すのは地理学の役割である。

国際情勢も地理のジャンルとして扱うことができると思う。多数の国家と地域が絡む国際情勢は各国、各地域に関する知識がなければ理解することはできないだろう。安全保障関連法で一人負けする日本では、日本、アメリカ合衆国、中国の置かれている状況から、安全保障関連法の是非について述べた。BRICsの次に発展する四か国においてアメリカ合衆国にとって戦略的に重要な四か国について述べたように、地理は地政学という言葉もあるように国際政治とも密接な関わりを有している。あらゆる社会的事象と関連性のある地理学は社会科学の母と言えるのではないだろうか。