2016年5月14日土曜日

冴えない彼女の育てかた考察 WHITE ALBUM2との比較から

WHITE ALBUM2と冴えない彼女の育てかたが非常にリンクした作品であることに気付いたので考察してみたくなった。WHITE ALBUM2はintroductory chapter、closing chapter、codaの3部構成となっているが、introductory chapterと冴えない彼女の育てかた7巻までのストーリー展開は似通った点や比較できる点が多い。

◆メインヒロインとの運命的な出会い
「ある春の日、俺は運命と出会った」というプロローグから始まる冴えカノ。桜の舞う坂道で出会った少女に運命を感じた安芸倫也は彼女をメインヒロインにした同人ゲームの作成を思い付く。一方、WHITE ALBUM2では北原春希がある秋の夕暮れ、学校の屋上で学園のアイドル小木曽雪菜と運命的な出会いを果たす。春希は雪菜をメンバーに加えて学園祭のバンド発表に向けて動き出す。
 
◆メインヒロインとの関係
倫也は運命を感じた少女が名前も覚えていなかったクラスメイトの加藤恵であることを知る。印象が薄い加藤はクラスでも目立たない存在であったが、倫也は彼女をメインヒロインとするべく強いこだわりを見せる。一方、春希は雪菜の普通の女子高生としての素顔に気付いており、彼女を学園のアイドルとして特別扱いしなかった。雪菜はそんな春希に逆に興味を持つようになる。

◆才能への憧れ
倫也は同人イラストレーターの澤村・スペンサー・英梨々、ライトノベル作家の霞ヶ丘詩羽という二人の天才クリエイターをサークルメンバーに加える。一方、春希は天才ピアニストの冬馬かずさをメンバーに迎える。どちらの作品もメインヒロインの対抗馬として、才能を持ったヒロインが登場する点が共通している。倫也も春希も才能への憧れを抱く人物であり、サークル活動を通じてその思いを強めていく。

◆過去の因縁
倫也と英梨々は幼馴染であるが小学生時代のいじめがきっかけで疎遠になっていた。詩羽とは深い間柄であったが作家とファンの関係に対する意見の衝突から疎遠になっていた。春希とかずさも物語の開始以前から交流を持っていたことが後に明らかになる。英梨々、詩羽、かずさ、3人とも物語開始時点で主人公に好意を持っており、過去の因縁が関係を複雑なものにしている。

◆メインヒロインを捨てる主人公
冬コミ直前に倒れてしまった英梨々。倫也は英梨々の看病を優先して、加藤に相談することなく冬コミを諦めてしまう。サークルを捨てて那須の別荘で英梨々とクリスマスを過ごしてしまった倫也は加藤を捨てたと言っても過言ではない。春希は雪菜と恋人になったにも関わらず、かずさへの思いを捨てきれずにいた。そして春希は卒業式の後、雪菜を置き去りにしてかずさの元に向かう。

◆主人公を捨てるヒロイン
クリスマスに仲直りを果たしてから英梨々は圧倒的なヒロイン力を見せつけるようになる。しかし、クリエイターとして成長するべく英梨々は詩羽を巻き込んで倫也から離れる決断をする。かずさも春希と結ばれた後、ピアニストとして成長するためウィーンへ旅立ってしまう。主人公に残されたのはメインヒロインのみ。

作者が同じとはいえ、ここまで似ていると何らかの意図を感じてしまう。主人公の名前も意味深である。北原「春」希と安芸(秋)倫也。春希はある秋の夕暮れに雪菜と出会い、倫也はある春の日に加藤と出会った。作者の丸戸史明がWHITE ALBUM2を意識して冴えカノを書いているのは間違いないと思う。ただし、冴えカノでは主人公の気持ちが基本的にメインヒロインに向いている点がWHITE ALBUM2と異なっており、WHITE ALBUM2のキャラクター設定やストーリー展開を踏襲したオマージュなのではないかと考えられる。7巻でintroductory chapter(序章)を終えた冴えカノはclosing chapter(終章)へと突入していく。既に8巻、9巻、Girls Side2まで発売されているが、倫也、加藤、英梨々の三角関係がストーリーの基軸となっている印象を受ける。Girls Side2において加藤と英梨々はひとまず仲直りを遂げているが、今後の展開はどうなるか。

三角関係が動くのは誰かが誰かに告白した瞬間である。WHITE ALBUM2では春希とかずさが付き合うことによって居場所を失うことを恐れた雪菜が電撃的な告白を成功させた。雪菜の告白によって胃が痛くなる三角関係が延々と続くことになるわけだが、結果的に雪菜は最初に春希と恋人になったという既成事実によって、紆余曲折はあったにせよcodaのグランドフィナーレと言える雪菜トゥルーエンドまで進むことに成功する。春希とかずさは物語の最初から相思相愛であったにも関わらず、雪菜への罪悪感が二人の関係に影を落とす。誰が誰にどのタイミングで告白をするかというのは物語の展開を左右する最も重要なイベントとなる。

Girls Side2では加藤が倫也に好意を持ったことがあると明らかにされたが、その感情は揺れ動いている途中のようである。加藤→倫也の告白はしばらく有り得ないと考えて良いだろう。可能性が高そうなのは倫也→加藤、英梨々→倫也の告白である。個人的には倫也→加藤の告白が失敗、その後に英梨々→倫也の告白、ここで倫也が春希並の駄目主人公ぶりを見せて英梨々と恋人になるという展開が一番面白そう。加藤は意図があって(ショックを受けた英梨々が駄目になってクリエイターの仕事に影響が出ないように等の理由から)一時的に倫也の告白を断るが、倫也は傷心から初恋の相手で今も特別な好意を寄せる英梨々からの告白に心を動かされてしまう。倫也が加藤の気持ちに気付いたときには時既に遅し。そして英梨々も倫也と加藤の気持ちに気付いてしまう。倫也、加藤、英梨々の関係がかつてない程ギスギスするようになったところでclosing chapter終了。そしてcodaへ…という流れになりそうな予感。

WHITE ALBUM2では雪菜が学園祭で最後に歌った「届かない恋」が春希がかずさを想って作詞した曲であったという皮肉な事実が明かされる。冴えカノにおいても既に英梨々は加藤をモデルとしたメインヒロインの作画を担当しているが、今後は英梨々が居た堪れなくなる更に皮肉な展開が待っていそう。

1 件のコメント:

  1. 初めまして!!ネットサーフィン中にたまたま読ませて頂いた者です。
    whitealbum?丸戸さんの前作?は知らないのでよく分かりませんが冴えカノについて書かれてある後半部分はとても面白く読ませて頂きました^^
    私も作品中で最終的に1人に絞られてるするならば間違いなくエリリだと思います。

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