2016年7月23日土曜日

冴えない彼女の育てかた10巻 感想

冴えない彼女の育てかた (10) (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA/富士見書房 (2016-07-20)
売り上げランキング: 27
8巻の加藤、9巻の英梨々に続き、10巻の表紙は詩羽先輩。すっかり過去の人となってしまった感のある詩羽先輩だが、今巻では久々にメインを張っていた。主な内容としては紅坂朱音に叩きのめされた詩羽先輩が初めて倫也に弱音を吐き、その様子を見てショックを受けた倫也が詩羽先輩の復活を願って、「ぼくのかんがえたさいきょうのうたはせんぱい」(詩羽先輩ルート)を製作するというストーリー。倫也が神と崇める天才クリエイターの詩羽先輩が挫折する姿は衝撃的であったが、倫也のシナリオが励みになったのか、最後は壁を乗り越えてクリエイターとして更なる成長を遂げる。紅坂朱音に認められるシナリオを書いたことで、詩羽先輩も英梨々と並ぶ天才クリエイターの道を歩み始めた。

詩羽先輩の可愛さが詰まった良作だったので、詩羽先輩ファンにとっては非常に満足のいく内容だったのではないか。普段は知的で大人びているのに、実は子供っぽい可愛さに溢れているところが良い。詩羽先輩が倫也のシナリオを読んでいくときのシーンが非常に可愛くて10巻のクライマックスだった。

「じゃ、じゃあ……シャンパンを……っ」

ただし、個人的には挿絵にあるような楽しい合宿回を期待していただけに、合宿の描写が合宿先に向かう新幹線の車内だけでほとんど終わるという前代未聞の試みは残念だった。最初は沖縄に行くという話が何故か伊豆に変更になり、まぁ伊豆でも良いかと思っていたら、海も温泉もその他諸々のイベント描写もないままに、紅坂朱音の襲来によって合宿回が終わってしまうという悲惨な結果だった。詩羽先輩と英梨々が帰った後も充実したサークル合宿は行われたようなので、FDかGirls Sideでの補完を是非お願いしたい。新生blessing softwareも和気あいあいとした雰囲気が大分出来上がってきたので、英梨々と詩羽先輩の二大ヒロインがいなくても十分に面白いと思う。特に第二部に入ってからの出海は中々にキャラの魅力が出てきているので、そろそろメイン回を出して欲しい。

合宿が終業式直後に始まっているため、次回もまだ夏休み編が続きそう。秋から冬にかけての季節は丸戸史明のシリアス展開待ったなしなので、夏の間に加藤と交流を深めていくのではないかと予想。じゃないとメインヒロインである叶巡璃ルートが書けなくなってしまう。合宿回で恋愛方面に何か動きがあるのではないかと予想していただけに、ここから倫也がどうやって加藤との仲を深めていくのかが気になる。

2016年7月3日日曜日

ラブライブ!サンシャイン!!で一番人気になるのは誰か

◆渡辺曜
第1回センター総選挙1位を獲得した最有力候補。主人公である千歌の幼馴染であり、海未とことりの系譜を継いでいると考えられる。アニメ1話を見た限りでは性格的に主人公肯定型のことりに近く、体育会系という点で海未の要素もある。千歌のもう一人の幼馴染である果南が3年生であるため、幼馴染かつクラスメイトであるのは曜一人ということになり、前作における海未とことりのポジションを独占できる有利な立場にある。ただし、千歌の興味が転校生の梨子に向いており、ストーリー的に2年生組の中では埋没する可能性が高い。アニメ放映後は人気1位の座から滑り落ちているのではないかと予想。

◆黒澤ルビィ
第1回センター総選挙2位にして個人的最有力候補。μ'sにおいて最大の人気を誇る「にこ真姫」の系譜を継ぐ者。アイドル好きで人見知りという性格は花陽そのものだが、「にこ真姫」を足して2で割ったようなルックスをしている。黒澤姉妹の名前の由来は、にこの誕生日がある7月の誕生石ルビー、真姫の誕生日がある4月の誕生石ダイヤから来ているという説が有力視されており、ルビィは「にこ真姫」の後継者として優遇されそうな予感。相方である花丸とのペアもルックス的に最良。表情があざとい。ことり推しもルビィに流れるのではないか。ことり推しなので現状の推しメン。

◆桜内梨子
第1回センター総選挙3位の実力に加え、アニメにおいて最も優遇されることが約束されている勝ち組。性格的に海未に近い雰囲気を感じるため、千歌と梨子のペアが「ほの海未」の系譜を継ぐことになりそう。ピアノで作曲できるという点では真姫の要素を受け継いでおり、Aqoursに欠かせない主要人物となりそう。1stシングルで千歌と並んでセンターの位置にいること、アニメ1話の最重要人物ということもあり、少なくともアニメ1期において最も目立った動きをするのが梨子でないかと思われる。人気1位の座を手に入れられるかはストーリーにかかっている。

◆津島善子
第1回センター総選挙4位。中二病な設定はにこの系譜を受け継いでいると思われる。Aqoursにおいて最も個性的なメンバーで一部のファンからは根強い人気を誇りそう。アニメ1話においてツンデレっぽい性格を見せたことから、こちらが真の「にこ真姫」枠かもしれない。EDのイラストから最終的には曜とペアを組むことが予想される。人気メンバーの常連になることは間違いないだろう。

◆国木田花丸
第1回センター総選挙5位。一人称と語尾に若干の不安が残るが、凛の系譜を受け継いでいると考えればアリなのかもしれない。ルビィの幼馴染という点も凛のポジションを引き継いでいるように思われるが、性格的には凛との共通点が見出せず、他のμ'sメンバーとも雰囲気が異なるため、現状で最も今後の展開が読みにくいメンバー。1年生組はルビィ、ヨハネと人気どころが目白押しのため、花丸も1年生人気に乗れれば安泰か。

◆高海千歌
第1回センター総選挙6位。主人公にして穂乃果の後継者であることは言わずもがな。穂乃果とキャラが重なりすぎて初見の感じがしない。ただし、姉から妹にジョブチェンジをしたためか全体的に甘えている印象を受け、穂乃果よりも頼りない感じがする。皆を引っ張っていく元気はあるが、穂乃果以上に何かやらかしそう。梨子との百合展開次第では人気が出そうな気もするが、個人的には穂乃果以上の不人気主人公となるのではないかと予想する。

◆黒澤ダイヤ
第1回センター総選挙7位。生徒会長にして、スクールアイドルを認めない厳格な姿勢は絵里そのもの。絵里に比べてポンコツな点が強調されており、割と早々に陥落するのではないかと思われる。ツンデレ黒髪お嬢様という設定はテンプレ故にやはり良い。前回の総選挙では7位だったが人気メンバーの常連になるポテンシャルは持っていると思われる。妹ルビィの人気も強み。ルビィと並んで現状の推しメン。

◆小原鞠莉
第1回センター総選挙8位。金髪白人のルックスから絵里の後継者かと思いきや、天然でお調子者な性格は希の系譜を引き継いでいる。絵里も希もμ'sの人気常連メンバーであるが、鞠莉は意外にも不人気。実家がホテルチェーンを経営していることと関係があるのか果南に敵視されているようで、1stシングルのPVを見る限りでも鞠莉に関してはストーリーにおいて一波乱ありそう。OPでも3年生だけシリアスなシーンがあったことから、鞠莉の人気は花田十輝の脚本にかかっているだろう。

◆松浦果南
第1回センター総選挙9位。アニメ1話を見た限りでも果南の不人気は固定されそうな感じがする。ドラマCDからいずれ鞠莉とペアを組むことが予想されるが、相方も不人気なので救いようがない。主人公の幼馴染というポジションにサバサバした性格は海未の系譜を引き継いでいると言えるが、海未の可愛い部分が全く残っていない感じがする。海未推しであったが故に、果南の出来損ない感が目に見えて残念。

2016年7月2日土曜日

もしハプスブルク家がドイツ統一を果たしていたらPart1

 

もしハプスブルク家がドイツ統一を果たしていたら、という仮定の下に列強の勢力圏を描いたのが上の図である。ドイツ民族の領域に加えて東欧全域を統合したヨーロッパ最大の国家、ドイツ帝国が生まれている。史実ではトーゴ、カメルーン、ナミビア、タンザニア、ニューギニアを植民地としていたが、ネーデルラントがドイツ帝国の領邦となったことによりインドネシアとスリナムもドイツ帝国の植民地となる。20世紀初頭に進出を図ったトルコと多数のドイツ系ユダヤ人が移住したパレスチナもドイツ帝国の植民地である。カラーで示した七か国が列強とされ、ドイツ帝国はロシア帝国、イタリア王国と同盟を結んで、アメリカ合衆国の陣営に対抗している。さらに灰色で示した中国、ペルシャ、スウェーデン、スペイン、ベネズエラ、ニカラグア、エクアドル、ボリビア、アルゼンチンはドイツ帝国の陣営である。

16世紀にハプスブルク家は広大な領土を統治するためスペイン王家とオーストリア大公家に分かれるが、もしスペイン育ちのフェルディナント1世がスペイン王家を継承し、カール5世がドイツに留まっていれば歴史は大きく変わっただろう。カール5世はネーデルラントの先進的な気風の中で育ったため、元来プロテスタントには寛容な人物であった。カール5世がオーストリア大公家を継承していれば、ネーデルラントがドイツから分離することはなかったはずである。ザクセン公、バイエルン公といった有力諸侯と正面から対決することは避け、オスマン帝国やポーランド共和国といった外国を標的に国内をまとめ上げる。ハプスブルク家は獲得したハンガリーやポーランドへのドイツ人の入植を進め、東欧のドイツ化によってハプスブルク家の勢力を拡大していく。18世紀末には東欧におけるドイツ民族の人口は本国に匹敵するまでに成長し、ハプスブルク家は名実ともにドイツ民族の王となる。ナポレオン戦争の過程でドイツの有力諸侯を滅ぼしたハプスブルク家は19世紀初頭にドイツ統一を果たし、史実より強大なドイツ帝国は19世紀末までにバルカン半島のほぼ全域をオスマン帝国から獲得している。

もしドイツ帝国が大英帝国と同盟を結んでいたらにおいて述べたように、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の誤った外交戦略がなければ、ドイツ帝国は露仏同盟に対抗して大英帝国と同盟を結んでいたはずである。19世紀の大英帝国はアフリカにおいてフランス帝国と、アジアにおいてロシア帝国と植民地獲得競争を繰り広げ、ドイツ帝国は最も摩擦の少ない列強であった。ドイツ帝国にとっても東欧の領有を争うロシア帝国こそ最大の宿敵であり、ドイツ帝国と大英帝国は互いに同盟の締結を選択する。ドイツ帝国にバルカン半島を奪われたオスマン帝国、ドイツ帝国と南チロルの領有問題を抱えるイタリア王国は露仏同盟の陣営に付いた。20世紀初頭の日露戦争はヨーロッパに飛び火して、フランス帝国によるドイツ帝国への電撃侵攻によって第一次世界大戦は開始する。開戦当初は四方面作戦を強いられたドイツ帝国が圧倒的に不利な立場にあったが、アラブ民族の反乱によってオスマン帝国が戦線を離脱し、大戦後期にはロシア革命の勃発によってロシア帝国も戦線からの離脱を余儀なくされる。国力で劣るフランス帝国は戦争の長期化によって降伏に追い込まれ、ドイツ帝国は逆転的な勝利を収める。

第一次世界大戦の結果、ヨーロッパは大英帝国とドイツ帝国の二強体制に移行する。大英帝国はフランス帝国と領有を争っていたエジプト王国を保護国とすることに成功し、ロシア帝国の影響下に置かれていた中華民国とペルシャ王国を勢力圏に加え、史上類を見ない巨大な植民地帝国を完成させる。一方、ドイツ帝国の版図もイスタンブール西岸にまで達し、ロシア帝国の敗北によって東欧のスラブ民族主義は終焉を迎える。ドイツ帝国が得るものはそれだけではない。ドイツ帝国の崩壊がなければロシア革命もまた失敗に終わっていたはずであり、革命鎮圧のためにロシア帝国は一転してドイツ帝国と同盟を結ぶことになる。革命政府はドイツ帝国の参戦によって崩壊し、以降のロシア帝国はドイツ帝国の支援を受けて急速な近代化を遂げる。後方の憂いを解消したドイツ帝国は大英帝国との覇権競争に乗り出していく。

ドイツ帝国は既にアフリカにおいて英仏の隙間を縫うように、トーゴ、カメルーン、ナミビア、タンザニアに植民地を築いているが、第一次世界大戦後はトルコ共和国を保護国に加えて中東に進出する。オスマン帝国旧領の内、アラブ民族の居住地域は大英帝国の勢力圏となっていたが、唯一パレスチナのみはドイツ系ユダヤ人の移住先としてドイツ帝国の植民地となる。やがてユダヤ人とアラブ人の対立はドイツ帝国と大英帝国の間に摩擦を生み出していく。さらにドイツ帝国は北アフリカへの進出を目論むイタリア王国、スペイン王国と連携して、既得権益の維持を目指す大英帝国を追い込んでいく。大英帝国は宿敵であったフランス共和国と一転して同盟関係に至り、中東と北アフリカをめぐる対立はヨーロッパを二大陣営に分裂させる。

極東においては日露戦争に勝利した大日本帝国が満州を獲得し、中国大陸への進出を強めていく。中華民国は袁世凱を中心とする北京政府と孫文を中心とする南京政府に分裂しており、大英帝国と大日本帝国は北京政府、ドイツ帝国とロシア帝国は南京政府を支援して、中華民国の内戦は列強の代理戦争の様相を呈する。孫文の後継者となった蒋介石はドイツ帝国の支援の下で近代化を進め、ロシア帝国の軍事支援を受けて北伐を開始する。中華民国は南京政府の下で統一され、大英帝国は世界大戦で手に入れた中国大陸の覇権を失ってしまう。さらにペルシャにおけるレザー・パフレヴィーのクーデター、英領インドにおける独立運動の激化によって、大英帝国が築いた植民地帝国は崩壊に向かっていく。

世界恐慌を契機に自由貿易体制が崩壊すると、列強の抗争は激しさを増すようになる。ドイツ帝国のペルシャ内戦への介入、イタリア王国のエチオピア侵攻、スペイン王国のモロッコ侵攻、大日本帝国の満州侵攻といったような局地的な紛争が頻繁に発生し、大英帝国が広大な植民地帝国を維持できずに没落する一方で、国際社会はドイツ帝国とアメリカ合衆国を中心とした二つの陣営に分かれていく。しかし、第一次世界大戦の経験から列強は破局的な戦争の勃発を恐れ、第二次世界大戦の発生は回避される。この背景にはドイツ帝国がアメリカ合衆国に先んじて核兵器の開発に成功したこともある。ドイツ帝国とアメリカ合衆国は対立を続ける一方で、両国が中心となって大戦の発生を防止するための機関として国際連盟が設立される。以下にアンガス・マディソン教授の統計を用いて、1937年時点における主要国のGDPを示す。黒字がドイツ帝国の陣営、赤字がアメリカ合衆国の陣営であることを示している。

1.アメリカ合衆国 8325億ドル
2.ドイツ帝国 6439億ドル
3.ロシア帝国 4105億ドル
4.大英帝国 3027億ドル
5.中華民国 2960億ドル
6.英領インド 2508億ドル
7.大日本帝国 1956億ドル
8.フランス共和国 1881億ドル
9.イタリア王国 1430億ドル
10.独領インドネシア 785億ドル
11.アルゼンチン共和国 557億ドル
12.英領カナダ 507億ドル
13.ブラジル共和国 484億ドル
14.スペイン王国 453億ドル
15.英領オーストラリア 393億ドル
16.メキシコ合衆国 348億ドル
17.スウェーデン王国 326億ドル
18.トルコ共和国 270億ドル