2016年11月5日土曜日

もしハプスブルク家がドイツ統一を果たしていたらPart2

もしハプスブルク家がドイツ統一を果たしていたらPart1の続き。ドイツ帝国とアメリカ合衆国の協調によって第二次世界大戦の勃発は未然に防がれた。両国は表向きの友好関係を保ちつつ、世界規模の軍事同盟を構築して冷戦時代に突入していく。冷戦構造の基盤となるのは独露同盟と米英同盟の対立である。19世紀まで宿敵関係にあったドイツ帝国とロシア帝国はロシア革命を契機に同盟関係へと発展し、ロシア帝国はドイツ帝国の支援を受けて近代化を果たし、ドイツ帝国もアジアに強い影響力を持つロシア帝国との同盟は覇権構築の礎となっている。ドイツ帝国にとってロシア帝国は地政学的に宿命的なライバル関係にあるため、逆説的にロシア帝国と同盟を結ぶことでドイツ帝国は最大の安全保障効果を得ることができる。ドイツ帝国とロシア帝国の同盟を相手に陸軍力で優位を得るのは不可能に近い。人的資源に恵まれたドイツ帝国と物的資源に恵まれたロシア帝国は相互に不足する資源を補うことのできる経済的にも最適なパートナーである。

一方、米英同盟は独露同盟に対抗して生まれた後発の同盟関係である。ドイツ帝国と大英帝国の覇権競争はドイツ帝国の勝利に終わり、大英帝国は中華民国とペルシャを手放すこととなった。自由貿易を求めるアメリカ合衆国と植民地において保護貿易を実施する大英帝国は経済的な敵対関係にあったが、膨張するドイツ帝国に危機感を抱いたアメリカ合衆国は大英帝国との同盟を選択する。ドイツ帝国とロシア帝国がランドパワーの筆頭であるとすれば、アメリカ合衆国と大英帝国はシーパワーの筆頭である。アメリカ合衆国との同盟によって大英帝国は世界に散らばる植民地帝国を維持することができる。また、アメリカ合衆国は大英帝国の植民地にアクセスすることで世界一の経済大国として十分な市場を確保することができるようになる。

米英同盟にとってヨーロッパにおいて最も重要な国がフランス共和国である。ドイツ帝国はイタリア王国とスペイン王国の北アフリカ侵攻を支持する中で両国と同盟関係を構築している。包囲される形となったフランス共和国が敵対陣営の侵攻を受けて陥落すれば、米英同盟はヨーロッパ大陸への橋頭堡を失ってしまう。アメリカ合衆国、大英帝国、フランス共和国、デンマーク王国、ノルウェー王国、ポルトガル王国は第二次世界大戦の勃発に備えて北大西洋条約機構を構築し、フランス共和国を拠点にドイツ帝国の軍事的脅威に対抗している。一方、ドイツ帝国もロシア帝国、イタリア王国、スペイン王国、スウェーデン王国と共にワルシャワ条約機構を構築し、ヨーロッパを分断する二つの軍事同盟が生まれる。

第一次世界大戦の教訓から両陣営はヨーロッパにおいて戦火を交えることはないが、ヨーロッパの裏庭となっている中東と北アフリカでは別の話である。旧領の奪還を目指すトルコ共和国とアラブ民族主義を掲げるエジプト王国はシリアを舞台に紛争を繰り広げ、宗主国であるドイツ帝国と大英帝国の代理戦争の様相を呈している。大英帝国から独立を果たしたペルシャ王国はドイツ帝国の支援を受けており、シーア派地域の統合を目論んでイラクやアラビア半島への侵攻を繰り返している。第一次世界大戦によってドイツ帝国が獲得したパレスチナはドイツ系ユダヤ人の植民地として発展し、領域の拡大を目指してエジプト王国を筆頭とする周辺アラブ諸国との紛争を引き起こしている。北アフリカではリビアに続いてエチオピアの領有に成功したイタリア王国が勢力を強めており、北アフリカに既得権益を持つフランス共和国との対立を深めている。

西アジアと同様に東アジアでも熱戦が展開されている。ドイツ帝国とロシア帝国の支援を受けて北伐に成功した蒋介石の中華民国は大日本帝国の満州侵攻に直面する。近代化に成功したアジア唯一の国を前に中華民国は敗戦を重ね、満州占領と華北侵攻の憂き目に遭う。中華民国はドイツ帝国とロシア帝国の支援を要請し、日中戦争は列強間の戦争へと発展する。最終的に大日本帝国は朝鮮半島への撤退を余儀なくされるが、敗戦によって蒋介石の指導力は失われ、中華民国は再び軍閥が割拠する時代に戻る。ドイツ帝国が華北、ロシア帝国が満州を事実上支配するようになり、敗戦を経て大日本帝国はアメリカ合衆国との同盟締結に至る。

自由貿易を標榜するアメリカ合衆国は同盟国となった大英帝国、フランス共和国、大日本帝国といった列強に植民地の解放を求めた。アメリカ合衆国が率先してフィリピンの独立を承認すると、アジアとアフリカでは植民地の独立運動が盛んとなり、世界最大の植民地帝国を有する大英帝国も独立後の影響力確保を目論んで独立運動に正面から抵抗することはなかった。ドイツ帝国の陣営も植民地問題で第三世界を敵に回すことを恐れ、1940年代後半から陣営を問わず植民地の独立が進んでいく。植民地は独立を果たしたものの、経済的には旧宗主国への従属を強いられ、政治的にも冷戦構造に組み込まれていく。

冷戦は本質的にランドパワーとシーパワーの対立が基盤となっており、両陣営の攻防はリムランドを中心に行われていたが、1950年代に入るとアメリカ合衆国の裏庭となっていたラテンアメリカも冷戦対立の戦場となる。ラテンアメリカは事実上アメリカ合衆国の支配下にあり、ドイツ帝国はラテンアメリカに根差す反米主義を利用して搦手からアメリカ合衆国に戦争を仕掛ける。反米主義の筆頭はラテンアメリカ唯一の白人国家アルゼンチン共和国である。アルゼンチン共和国を拠点にドイツ帝国はラテンアメリカにおける反米闘争を展開し、ラテンアメリカ諸国を内戦の渦中に陥れていく。

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