2017年12月10日日曜日

中小企業診断士受験記録Part4 2次試験 事例Ⅱ

中小企業診断士の勉強に要した時間を合計したところ、およそ700時間という計算になった。最も時間をかけたのはTACのスピードテキスト。各科目300ページから400ページ程度で、図表の多い財務・会計、経済学・経済政策を除くと、1時間で10ページ程度を読み進めていたため、7科目合わせて200時間といったところ。テキストと並行して問題集も進めていたが、こちらはテキストの半分くらいの時間がかかったと思う。テキストと問題集はそれぞれ2周しており、合計で500時間くらいは勉強したのではないか。1次試験の過去問に使った時間も加算して、1次試験までの勉強時間はおよそ550時間と見積もれる。2次試験に向けては過去問5年分で50時間、集中特訓財務・会計を2周して50時間、全知全ノウに50時間で合計150時間。2次試験まで合わせると700時間という結果になる。700時間が多いか少ないかは微妙なところだが、とりあえず1年で700時間は勉強する余力があることが分かった。診断士受験の経験を参考に、勉強時間をしっかり確保して次の挑戦に取り組んでいきたい。

さて、事例ⅡはX市の商店街で寝具小売業を営むB社がテーマとなっていた。幹線道路沿いに出店した大型スーパーに若年層の顧客を奪われ、商店街の小売店は収益が悪化している。B社では時間を持て余した社長夫人が店内でシルバー世代を相手に井戸端会議を開くようになり、商店街の住民を中心に交流の輪を広げるようになった。地域住民のニーズを知る中で、B社は寝具以外にも日用品の販売を行うようになり、さらに婦人服の予約会を定期的に開催するようになった。社長の娘は保育士の経験があり、子育て世代向けに「親と子の快眠教室」といったイベントを開く等、事業継続に向けて新しい取り組みを行っている。

第1問はB社の強みと競合の状況を問う問題である。B社の強みとして、丁寧な接客によって顧客からの信頼を勝ち得ていることが挙げられるだろう。予備校の解答には井戸端会議を通じて顧客の潜在的ニーズを収集している点が挙げられていたが、イマイチ書いた記憶がない。競合は幹線道路沿いに出店した大型スーパーであり、若年層住民を惹きつけているが、次期社長が視察したように高品質な商品が少なく、従業員も少なくて十分な説明ができていないという弱みを抱えている。それなりに得点できているとは思うが、B社の強みが十分に記述できていない可能性が高い。

第2問はB社が婦人用ハンドバッグの予約会を成功させるための施策を問う問題である。設問には「現在のデータベースを活用しながら」という条件が付されている。データベースとは社長が寝具の配達時に記録した住所、社長夫人が記録した寝具や婦人服の購買履歴と顧客の好みである。顧客の好みに合わせた婦人用ハンドバッグを取りそろえ、顧客ごとにカスタマイズしたダイレクトメールを送付するという解答にした。予備校の解答では婦人服と婦人用バッグのコーディネート提案等もあったが、そこまで書けなくても十分な得点はできたのではないかと思う。

第3問はB社が地域の中小建築業と連携して、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策を問う問題である。X市では介護のための改装が増加しており、B社が取り扱う寝具には介護ベッドが含まれている。以上の点から、建築業者とB社が連携して介護ベッドとリフォームの導入を相互に紹介し合うという解答にした。しかし、予備校の解答を見ると、この解答では顧客生涯価値を高めるには不十分な内容であった。介護ベッドを購入した顧客へのアフターサービス、日用品の配達等によって顧客との接点をつくることで、購買間隔の長い寝具の買い替えに繋げるところまで言及する必要があった。自信を持って解答したが、半分も得点できていないと思われる。

第4問はB社が今後どのセグメントをターゲットとして、どのような施策を行うべきか問う問題である。X市と全国の年齢別人口構成比から、X市は30代の夫婦とその子供から成るファミリー層が多いことが分かる。時期社長が元保育士で親子向けのイベントで既に成功を収めていることから、ファミリー層がターゲットであることは間違いない。施策として二番煎じではあるが親子向けのイベントを継続して顧客との接点をつくり、保育園で必要になる商品を取りそろえ、母親からの相談に応じる中で商品を薦めていくという解答にした。予備校の解答もこれに近いが、与件の最終段落にある「事業継続のためには、地域の繁栄が必要」という時期社長の想いも込めて、親子向けのイベント開催によって若年層の商店街利用を促すという点にまで言及していたので、自分の解答は不十分であったと言わざるを得ない。事例Ⅱは簡単なように見えて、必要な要素が抜け落ちて意外と点数に結び付かないことが多い。今回の事例ⅡもBに下がっている可能性が高いと思う。診断士の勉強を通じて実感したのは、マーケティングにはサービス精神が欠かせないということであり、自分はどうもサービス精神が足りないらしいということである。

2017年12月9日土曜日

中小企業診断士受験記録Part3 2次試験 事例Ⅰ

中小企業診断士2次試験の筆記試験に合格。試験前日の芋煮では風邪を引き、さらに左目の痛みが再発。雨も降る中でコンディションは最悪だったが、一年間勉強した成果はしっかり発揮されたらしい。今年の事例Ⅳは悪問、難問が多く、自信を持って解答できた問題がほとんどなかった。そのため試験終了後は絶望感しかなく、事例Ⅳで足切りされる可能性も拭えなかった。合格発表までは落ちている可能性の方が高いと思っていたので、何とかストレート合格ができて嬉しい。口述試験に向けた復習も兼ねて、各事例について振り返ってみたい。

事例Ⅰは菓子製造業を営むA社がテーマである。A社の前身は老舗の菓子メーカーX社であり、X社がバブル期の過剰投資で債務超過に陥った後、社員が主力商品3種類に絞って事業を引き継いだのがA社である。A社は創業から順調に売上高を伸ばし、その規模は年間8億円にまで成長した。A社の主力商品は地元で有名な銘菓であり、贈答品や土産物として利用されている。A社の次なる目標は全国市場への展開と新商品開発であり、売上高30億円の中堅菓子メーカーを目指している。

第1問はX社の主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因を問う問題である。自分はX社の事業基盤を引き継いだことを最大の要因として挙げた。X社の元社員8名で事業を始めたため、X社の製造ノウハウや顧客基盤を引き継ぐことができたのは大きい。A社社長がX社の営業課長であった点も外せないだろう。商標権を取得して、県を代表する銘菓であるX社のブランドを利用することができた点についても挙げた。予備校の解答では商品を絞り込み、商品名を社名とすることでブランドを消費者に浸透させたことが書かれていた。ここまでマーケティング寄りの解答にはしなかったと思うが、内容は重なる部分が多いので十分に得点できているだろう。

第2問は少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制の特徴を問う問題である。機器の導入による製造の自動化を果たし、自社店舗を持たないことにより、正規社員の業務量を減らし、非正規社員の活用を可能として、効率的な業務体制を構築したことを記述した。予備校の解答も同様であり、これは満点が取れたかもしれない。第1問と第2問は易しい問題であった。

第3問はA社が工業団地に移転したことで生み出した戦略的メリットを問う問題である。これは事例Ⅰで一番悩んだ問題であった。というのも、食品衛生管理の国際標準規格であるHACCP取得、商品の品質向上、主力商品の日産5万個体制確立といった工業団地移転後の状況は与件で述べられていたが、工業団地移転との因果関係が掴めなかったからである。予備校の解答はこうした移転後の状況を単に列挙するものであったが、自分は因果関係の記述に重点を置いた。工業団地で他のメーカーとの交流が生まれて、製造や物流のノウハウを向上させることができたとか、そのような内容を書いた。今考えると、論理の展開に飛躍があるので点数は付いていないだろう。手狭になった工場を郊外に移転したことで、新しい機器等を導入することができた。そのため生産体制の変革に成功した。シンプルにそれだけで良かった。

第4問はA社が全国市場への展開を進めていく上で障害となるリスクの可能性について助言せよという問題である。A社は全国市場に進出する上で首都圏出店の夢を持っているが、これまで直営店を持たなかったA社には店舗運営のノウハウがない。また、全国に展開するための新商品開発が必要となるが、X社時代の商品に依存を続けるA社には商品開発のノウハウもない。以上の2点から、闇雲な首都圏出店や新商品開発は失敗する可能性が高く、かつてのX社のように債務を抱えるリスクがあるという解答にした。しかし、予備校の解答を見る限り、どうも論点がずれていたらしい。全国市場への展開をした後のリスクではなく、全国市場への展開をする上でのリスクが問われており、自分の解答だと前者のリスクになってしまうのである。新商品開発が上手くいかない可能性、首都圏出店のための資金が調達できない可能性といったリスクを挙げれば良く、X社のように債務を抱えるというのは行き過ぎた解答であった。部分点は貰えたと思うが、題意から外れるため減点されたことだろう。

第5問はA社の存続にとって懸念すべき組織的課題を分析せよという問題である。第4問のリスクの裏返しであるが、店舗運営や新商品開発のノウハウを持った人材の確保と育成が第一に挙げられる。また、X社時代の社員が退職を迎えているため、既存の業務を担う人材の育成も重要である。予備校の解答も近いものであったが、組織管理について制度化を図るといった一歩踏み込んだ内容まで書かれてあった。A社は2000年に創業したばかりの若い企業であり、組織のライフサイクルにおける公式化の段階にあると言える。「第三の創業期」と強調されていることからも言及すべき点であった。第1問と第2問はほぼ満点、第3問から第5問も部分点は稼げたと思うので、総合すると事例Ⅰは何とかAが取れたのではないだろうか。

2017年11月26日日曜日

なぜ地域活性化が必要なのか

大学で地理学を勉強していた頃から、地域活性化について考える機会は多かった。バブル崩壊以降、地方経済は下り坂の一途を辿っている。2011年に人口減少社会に突入した日本だが、地方の人口減少は今に始まったことではない。増田寛也が座長を務める日本創生会議によると、現在と同程度の人口流出が続くと仮定した場合、2040年までに日本の自治体の約半数が人口減少によって消滅するらしい。秋田県に至っては大潟村を除く全ての自治体が消滅可能性都市に指定された。県庁所在地である秋田市さえ20年程で存続できなくなるというのは驚きの結果である。このままでは地方は滅びてしまう。地方の存続のためにも、地域活性化が必要である。

しかし、そもそも地方の存続というのは必要なことなのか。東京や大阪といった大都市に住む人間の大多数にとって、地方が消滅しようが正直知ったことではないのではないか。大学を卒業して地方に住むようになってからも、なぜ地域活性化が必要なのかという質問にはなかなか答えられないでいた。地理が好きな者として、直感的に地域活性化が重要であることは感じていたが、明確な論理は持っていなかった。多額の税金を投入してまで地方を維持することは正しいことなのか。もちろん地方に住む人の郷土愛を無視するつもりはないが、日本全体として考えたときに地域活性化は合理的と言えるのか。

大都市に人口を集めれば、行政やインフラに要するコストは格段に減る。人口が数千人の町、あるいは数百人しかいない村であっても、電力会社は送電線を敷いて電気を送らなければならない。どう考えても赤字である。実際に鉄道会社は不採算路線からの撤退を始めている。JR北海道においては札幌近郊を除く全ての路線が赤字となっている。人口減少社会に突入した日本において、資金面でも人材面でも地方に投資を続ける余裕などないのではないか。都市の効率的な運営を目指すコンパクトシティという概念があるが、これは効率化の名の下に郊外を切り捨てる政策である。日本全体でこのような効率化に取り組もうとすれば、採算の合わない地方は真っ先に切り捨てられるだろう。

地方に住む人々の心情を無視した暴論だが、日本全体の利益を考えれば上記の論はそれなりに妥当性を持っているように思える。しかし、イノベーションと多様性という観点から考えると、地方切り捨てが本当に正しいことなのかは疑わしい。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは経済成長の要因が企業家による不断のイノベーションにあることを突き止めた。イノベーションを生み出すには固定観念に縛られない創造性、多様性が必要である。環境が同じ人間はどうしても思考が似通ってくる。東京で生まれ育った人間だけで果たして今まで以上に多くのイノベーションを起こすことができるだろうか。

都市経済学者のリチャード・フロリダはニューヨーク、ロンドン、パリ、東京といった一握りの大都市圏が世界経済を動かしていることを明らかにした。メガ・リージョンと称されるこうした大都市圏は世界に40程度しか存在しないが、世界のGDPの3分の2を生み出し、イノベーションの85%を起こしている。それは創造的な仕事をするクリエイティブクラスの人材が大都市に集中し、彼らの仕事が高い付加価値を生み出すためである。ヒト、モノ、カネ、情報が集まる大都市は、イノベーションを生み出す上で重要な空間である。しかし、それは地方から様々な人材や情報が集まっているためでもある。地方からの供給が途絶えれば、大都市は今までのような高いパフォーマンスを発揮できなくなるのではないか。

地方には地方独自の魅力や課題がある。魅力よりも課題の方が圧倒的に多い場合がほとんどだが、そうした環境の違いによって地方の人間は東京で生まれ育った人間とは異なる思考を持っている。それは東京で生まれ育ち、大人になって東北に移住した自分が体感的に理解したことである。良い面も悪い面もあるが、東京に住み続けていたら考えなかったことが沢山ある。リバース・イノベーションという概念がある。これは制約の多い新興国において斬新なイノベーションが生まれ、先進国に逆輸入されるケースを説明した理論である。地域ならではの課題を解決しようと考える中で、今までにはないアイデアが生まれることも多くあるだろう。また、地方を見つめる中で東京の課題が浮き彫りになるケースもある。

即ち多様性の源泉として地方の存続は重要なのである。地方の多様性を維持するためにも、地域活性化によって魅力ある地方をつくることが必要である。イノベーションを起こすには無駄に思えるような遊びの部分が欠かせない。経済学者クレイトン・クリステンセンは巨大企業が新興企業の前に呆気なく敗れ去る要因として、イノベーションのジレンマという概念を提唱した。巨大企業は収益性の高い魅力ある商品を有しており、その商品の持続的な改善には力を発揮する。しかし、既存の商品が優れた特色を持つために、既存商品の価値を破壊することには躊躇いがあり、新しい価値を持つ商品を生み出そうとする動機が失われしまう。結果として新しい価値を持った商品を生み出すのは新興企業であり、その破壊的イノベーションの前に巨大企業は敗れ去る。効率性だけを突き詰めてはイノベーションは生まれない。多様性の中からイノベーションが生まれ、社会経済は成長していく。遠回りのように見えるかもしれないが、地域活性化を積み重ねていくことはきっと日本の将来の役に立つ。日本の近代化は薩摩と長州から始まった。地方の多様性なくして、明治維新は起こり得なかった。

2017年11月25日土曜日

飛騨・高岡旅行記録

麻布の同級生と久しぶりに旅行に行ってきた。去年の春に仙台周辺を旅行したときと同じメンバーで、行き先は飛騨と高岡という微妙なチョイス。新宿駅のバスターミナルから飛騨まで直行の高速バスが出ており、奥飛騨温泉郷の一つ平湯温泉まで5時間程であった。平湯温泉に到着したのは午後7時頃で、標高のためか真冬のような寒さであった。さらに平湯温泉から宿のある新穂高温泉までバスで移動。ここで「新穂高温泉口」で降りるところを、誤って「新平湯温泉口」で降りるというハプニングが発生。寒空の下、よく分からない場所で途方に暮れる四人組であった。宿の方が車で迎えにきてくれて本当に助かった。白雲荘様に感謝。
 
貸切の露天風呂を堪能した翌日は飛騨高山に向かった。高山は小京都とも称される飛騨観光の中心地で、高山陣屋を中心に古くからの町並みが残っている。ちなみに高山陣屋は現存する唯一の陣屋らしい。メンバーのせいもあって、地歴部の旅行を思い出す。高山は氷菓の舞台でもあり、ところどころアニメに出てきた風景も見れた。観光地のためか、地方都市にしては小綺麗な町に感じられる。飛騨のグルメとしては飛騨牛が有名で、昼に食べた飛騨牛の握りが絶品だった。盆地、城下町、ブランド牛、温泉、何だか米沢に似ている気がしたが、全体的に米沢の上位互換といった感じがする。
 


高山の次は世界遺産の白川郷へ。合掌造り以外は普通の里山といったところだが、外国人を含めて観光客で賑わっていた。交通の便はあまり良くないはずだが、名古屋と金沢の中間地点にあるため、両都市とセットになった旅行プランが結構多いようだ。松本や上高地へのアクセスも良く、意外と集客に有利な立地なのかもしれない。中部地方の中心に位置するため、まさに日本の中心と言っても過言ではない。この日は夕方に白川郷を出発し、富山県の副都である高岡に泊まった。




高岡は地味な都市である。それは高岡を築いた人物が地味なためかもしれない。加賀藩は江戸時代における日本最大の藩として有名だが、藩祖である前田利長の知名度はあまりにも低い。しかし、彼の功績は父である前田利家にも劣らないものである。徳川家康との対決を避け、北陸の太守としての地位を守り抜いたのは立派である。利家が生きていれば家康との対決に突き進み、前田家は滅ぼされていた可能性が高い。利長には子供がおらず血を残すことはなかったが、彼の堅実で保守的な精神は加賀藩の成立過程を通じて今も北陸に根付いていると思う。



富山は日本を代表するコンパクトシティとして有名だが、高岡にもLRTが走っていた。藤子・F・不二雄の出身地であるため、ドラえもんカラーになっている。LRTは鉄道とバスの中間くらいの位置付けの交通機関であり、中心市街地の活性化、環境負荷の低減、交通弱者の救済といったメリットがあるとされている。LRTに関しては賛否両論あるが、初めて乗ってみた印象としては乗り心地も良く、時刻表の通りに発着するため使い勝手は良かった。仙台のバスは平気で10分遅れたりするので、とても使う気にはならない。もちろん、LRT導入には軌道や停留所の整備にそれなりのコストを要するため、手放しでLRTを導入しようという結論には至らないが。既存の交通形態を破壊することは、それなりのリスクとデメリットを伴うものである。LRTで向かった新湊ではブリやノドグロといった北陸の海産物を頂いた。帰りは新高岡から北陸新幹線に乗り、仙台まで5時間の旅路であった。


 
 

2017年9月18日月曜日

ゲーマーズ!9巻の展望と亜玖璃に関する考察

アニメも残すところ2話となった本作。キャラデザと作画は相変わらず残念だけど、やはり脚本は抜群に面白い。6話のサブタイトル変更とか9話の副音声とか、予算はなくても工夫で何とか盛り上げようとしている点も好感が持てる。先週の10話ではあまぐり疑惑(※あまぐり…雨野×亜玖璃のカップリング)がいよいよ本格化して、ようやく全ての錯綜関係が整ったというところ。上原の浮気疑惑によって雨野と亜玖璃が協力関係を一層深め、そんな二人を周りは疑惑の目で見つめるという負のスパイラル。そして、あまぐり疑惑は5巻「全滅ゲームオーバー」のキス未遂によってピークに達する。

しかし、あまぐり疑惑は6巻「告白チェインコンボ」における雨野の再告白によって解消される。この再告白の影響は凄まじく、5巻までの錯綜関係はここで大部分が解消される。唯一残ったすれ違いが千秋の正体であり、6巻ラストにおける千秋の告白を起点として、以降は千秋を中心とした新たな錯綜関係が始まる。5巻までの錯綜関係を「第一の錯綜」とすれば、現在は「第二の錯綜」が展開されていると言えよう。「第二の錯綜」はこれまでの錯綜関係とは性質が異なる。「第一の錯綜」は勘違いが原因であったが、「第二の錯綜」は勘違いが起きていないにも関わらず、錯綜関係が生まれてしまっている。天道さんは雨野と両想いであることを理解しながら、それでも千秋と同じスタートラインに立つため雨野との別れを決断した。そして8巻「逆転バックアタック」において、ついに雨野が千秋に恋愛感情を持つに至り、「第一の錯綜」における勘違いは現実化してしまう。

雨野と千秋がすぐに付き合い始めるかは分からないが、9巻では雨野と千秋の関係に焦点が当たるだろう。しかし、このまま雨野と千秋が結ばれて終了という展開には恐らくならないはずだ。というのは1巻「青春コンティニュー」において、高校生活の最後まで錯綜関係が続くことが予告されているためである。

こうしてこの日、僕とアグリさんの《連合》は見事に成立したわけだけど……。

この《連合》がここで変に成立してしまったせいで、その後むしろ互いの足を引っ張り合いまくることになろうとは……この時どころか、高校生活の最後まで、僕らはあんまり気付かないままなのであった。

最終的に千秋エンドになる可能性は十分にあるが、高校卒業まで物語が続くのであれば9巻で千秋と円満に結ばれるということは考えにくい。ヒロインレースの決着はまだ先の話になるだろう。では、天道さんと千秋のダブルヒロイン体制が展開されるのかと言うと、それも違うと思う。現状では考えにくいように思われるが、今後の錯綜関係の中心になるのは亜玖璃だと確信している。それはゲーマーズ!錯綜関係の本質と亜玖璃エンドの可能性において述べたように、作品の構造的に亜玖璃が雨野と対を成すポジションにあるためだ。

最大の根拠となるのが1巻から引用した上記の文章である。「互いの足を引っ張り合いまくることになろうとは……この時どころか、高校生活の最後まで、僕らはあんまり気付かないままなのであった。」という記述があるが、8巻の時点で雨野と亜玖璃はこの《連合》が二人の足を引っ張っていることに既に気付いている。「互いの足を引っ張る」という記述については、あまぐり疑惑によって想い人との関係が上手くいかなくなるという解釈が当初は自然であった。しかし、雨野と亜玖璃がそのことに気付いてしまっている以上、上記の解釈には修正が求められる。

新しい解釈として考えられるのが、雨野と亜玖璃が今後お互いに恋愛感情を抱くようになるというものである。お互いの恋を応援することを最初に決めてしまったために、両想いになったにも関わらず、別の相手との恋を応援してしまうという展開が予想できる。「第二の錯綜」では「第一の錯綜」における勘違いが現実化している。8巻において上原と亜玖璃の仲は修復されつつあるが、一方で雨野と亜玖璃の関係も一層深い次元に突入しており、勘違いが勘違いではなくなる時が来るかもしれない。7巻における2組のカップルの別れを起点として、8巻で雨野を中心とする三角関係に動きがあったように、今後は亜玖璃を中心とする三角関係にも動きがあるだろう。

そもそも亜玖璃は本作において謎の多いヒロインである。最大の謎は登場人物の中で唯一名字が明かされていないことである。準レギュラーである三角、加瀬先輩、ニーナ先輩でさえ名字が出ているので、亜玖璃の名字が隠されているのは意図的なものである。亜玖璃の名字にどのような謎が隠されているのかは検討もつかないが、雨野の母親の旧姓である土山説があるようである。確かに雨野も亜玖璃も小柄という点が共通しており、従姉弟などの血縁関係にあるとすれば二人の関係性にも納得がいくし、亜玖璃が雨野を弟のように感じていることも伏線ということになる。他には生徒会の一存に出てきた人物と関わりがあるのではないかという噂もあるが、いずれにしても亜玖璃が切り札を隠し持っていることは間違いない。

名字だけではなく名前も伏線になっている。亜玖璃の名前の由来はソーシャルゲームで有名なグリーであると思われる。メインヒロインの名前も任天堂に由来していると思われるため、これも意図的なものだろう。グリーと言えば任天堂の倒し方を知っていることで有名なゲーム会社である。TVゲームの任天堂とソーシャルゲームのグリーのように、天道さんと亜玖璃も雨野に接するスタイルは全く別のものである。メインヒロインの天道さんを倒す真ヒロインとして亜玖璃が設定されていることの伏線かもしれない。

表紙の順番も気になる点である。亜玖璃が表紙になったのは5巻「全滅ゲームオーバー」の1回のみ。天道さんが1巻、6巻、8巻、DLCと既に4回も表紙を飾っているのとは対照的だが、気になるのは何故5巻まで表紙にならなかったのかということである。普通のライトノベルであれば3巻の表紙になるのが妥当であるが、3巻の表紙は心春が優先され、さらに4巻ではヒロインと言えるかさえ怪しいニーナ先輩が亜玖璃より先に表紙を飾った。これも非常に作者の意図を感じる。あえて5巻の表紙に亜玖璃を残しておいた理由としては、当初は5巻打ち切りで亜玖璃ENDが予定されていたことが考えられる。あるいは「第一の錯綜」を締め括る人物として亜玖璃が相応しいと考えたのか。いずれにしても、亜玖璃は天道さんと千秋の後塵を拝する3人目のヒロインというより、ダブルヒロインとは別枠の存在として設定されているような気がしてならない。表紙の順番に関しては冴えカノの加藤と同じような意図があるのではないかと思っている。

他にも3巻の半生ゲーム、5巻のキズナダンジョンにおける雨野と亜玖璃の運命的な組み合わせも伏線のように感じられるが、現在進行形で残っている伏線としてラベアーズがある。これは修学旅行のディスティニーランドで雨野と亜玖璃が購入したジンクス付きのテディベアである。そのジンクスというのが「入手した恋人達は永遠に結ばれる」というものであり、雨野と亜玖璃はお互いの恋人に渡すべく購入したが、二人はラベアーズを渡そうとしたタイミングで恋人から別れを告げられている。何とも縁起の悪いテディベアであるが、そもそもラベアーズは恋人にプレゼントとして渡すアイテムなのだろうか。「入手した恋人達」と記述されているため、これは恋人が一緒に購入することで効果があるのではないか。実際に雨野と亜玖璃はラベアーズ購入のため二人でアルバイトをして仲をさらに深めており、一緒に購入した雨野と亜玖璃を結び付けるアイテムとなってしまったような気がしてならない。これらの伏線も回収しつつ、今後は雨野と亜玖璃の関係に変化が生じて、錯綜関係も新たなステージに突入するのではないだろうか。

2017年9月16日土曜日

沖縄旅行記録

沖縄旅行に行ってきた。仙台空港から直行便で那覇空港まで2時間40分。那覇空港の近くでレンタカーを借りて、4泊5日で沖縄本島を旅行した。初日は那覇空港から宿泊先である恩納村に直行。初日と2日目は沖縄の有名ビーチリゾートであるANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾートに宿泊。景勝地として有名な万座毛のすぐ近くに位置し、東シナ海に突き出た半島全体が敷地という広大なホテル。万座毛は沖縄でも有名な観光スポットらしいが、ちょうど雲が出ているタイミングで行ったためか、三陸海岸と代わり映えしない風景だった。それでいて非常に蒸し暑く、周りの観光客が中国語や韓国語ばかり話しているので変な気分だった。万座毛を早々に立ち去ると、ホテルにチェックインして夕暮れまで万座ビーチを散策。夕方かつ曇り空という微妙なコンディションであったが、流石沖縄と言うべきか海の綺麗さは今まで見た中で一番であった。最も驚いたのは水温の高さ。温水プール並みの水温でいつまでも入っていられそう。ようやく沖縄に来たことを実感する。



 
ホテルはロビーのすぐ奥にガーデンプールが広がっており、建物中央が最上階の9階まで吹き抜けとなっている豪華なつくり。沖縄の熱帯魚も展示されていた。夕食は近くの万座テーブルという食事処に行ったが、豆腐ちゃんぷるが美味しかった。初めて食べた海ブドウは若干酸味があって、独特の食感も相まって海藻という感じがしなかった。これは珍味。
 


 2日目は本島北部の本部半島へ。小さな半島であるにも関わらず、沖縄の観光スポットがかなり集中している。最初に向かったのは半島の北部に位置する古宇利島。古宇利島は島に渡るための古宇利大橋から見る風景が有名。古宇利島の入口にある古宇利ビーチは本島では瀬底ビーチと並ぶ透明度の高さで、この日は晴天に恵まれたため鮮やかな古宇利ブルーを堪能することができた。海の綺麗さに高揚していたのか、撮ってもらった写真も珍しく笑顔。海が透明で底までくっきり見えるのが沖縄のビーチのスタンダード。途中スコールがあったが30分程度で跡形もなく消え去った。亜熱帯に来た感じがしてスコールも嬉しい。


次に向かったのは世界遺産の今帰仁城。中世沖縄の三山時代に北山の拠点となった城で、築城年は13世紀と推定されているらしい。石垣を中心に巨大な遺構が残っており、城の中で何よりも石垣が好きな身としては高揚せざるを得ない。高い所からだと万里の長城のようにも見える。内地の城とは明らかに構造が異なっており、中華文明の影響を強く感じる城であった。



最後は沖縄で一番の観光スポットと言っても過言ではない美ら海水族館。昼食ついでに近くにある備瀬のフクギ並木にも寄った。趣のある小路といった感じ。写真だと涼しげに見えるが、木陰でも全然涼しくないのが沖縄らしい。ハイビスカスも咲いている。美ら海水族館には比較的空いているという夕方に入場したが、それでも圧倒的な人の多さだった。最大の見所である全長9mのジンベイザメはやはり一見の価値有り。他にもサンゴの展示など沖縄らしさを感じる水族館だった。


 

3日目は美ら海水族館と並ぶ観光スポット首里城へ。この日は旅行中で一番暑かったが、快晴で首里城の朱色が青い空に良く映えていた。守礼門とかこれぞ沖縄っていう感じの風景。今帰仁城同様に首里城も石垣を中心に遺構が多く残っている。正殿の中が資料館になっており、琉球王国の歴史について知ることができる。かなり満足度の高いスポットだった。







暑かったので、雪花冰という台湾風かき氷を食べに行った。雪花の郷というお店で隠れ家的な雰囲気だが、観光雑誌には必ず載っている有名店。一番人気のパッションフルーツを食べた。今までに味わったことのない食感でほんのりミルク風味で美味い。唯一の難点はお店が駐車場を確保していないため、近くのコインパーキングを利用しなければならないこと。1時間100円の安いパーキングが近くにあったけど、車で行く場合は要注意。


3日目からはホテル日航アリビラに宿泊。南ヨーロッパを想起させるオシャレなリゾートホテルで、こちらも沖縄屈指のビーチリゾート。周りにはサトウキビ畑しかないため隔世の感がある。部屋から眺める海がすごく綺麗で、エメラルド、淡い水色、深い青色とグラデーションがはっきり見える。目の前のニライビーチは古宇利ビーチと並ぶ透明度だったように思う。沖縄では珍しい岩浜のあるビーチで生き物が多く、注意していないとナマコを踏む恐れがある。



 
 

 
4日目は泊港からフェリーで慶良間諸島を訪れる予定であったが、台風18号が南方から接近してしていたため、ニライビーチとガーデンプールで遊んだ。終日快晴であったが波はかなり高くなっていたようで、後で確認したら帰りのフェリーが欠航していた。慶良間諸島に行っていたら危うく帰れなくなるところだった。最終日はいよいよ台風が近づいて運転していて不安を感じる風の強さであったが、何とか飛行機も運航して無事に帰ることができた。

2017年8月21日月曜日

Amazonカスタマーレビューに基づくゲーマーズ!人気ヒロインの分析

Amazonカスタマーレビューより

星5つ
1巻 青春コンティニュー 17
2巻 不意打ちハッピーエンド 7
3巻 初恋ニューゲーム 7
4巻 無自覚クリティカル 9
5巻 全滅ゲームオーバー 13
6巻 告白チェインコンボ 17
7巻 口づけデッドエンド 8
8巻 逆転バックアタック 8

平均値
1巻 青春コンティニュー 3.7
2巻 不意打ちハッピーエンド 3.9
3巻 初恋ニューゲーム 4.7
4巻 無自覚クリティカル 4.2
5巻 全滅ゲームオーバー 4.4
6巻 告白チェインコンボ 4.8
7巻 口づけデッドエンド 4.6
8巻 逆転バックアタック 3.6

総レビュー数
1巻 青春コンティニュー 31
2巻 不意打ちハッピーエンド 14
3巻 初恋ニューゲーム 9
4巻 無自覚クリティカル 17
5巻 全滅ゲームオーバー 19
6巻 告白チェインコンボ 18
7巻 口づけデッドエンド 12
8巻 逆転バックアタック 22

ゲーマーズ各巻のAmazonカスタマーレビューを見ていたら、意外な事実が浮かび上がってきたので紹介。星5つの数を見ると1巻と6巻が突出して多く、特に6巻は平均値でも4.8という最高値を記録していることから、既刊8巻の中で6巻の評価が最も高いことが判明。6巻の重要な出来事としてはサブタイトルの通り、雨野→天道さんへの再告白と合わせて、千秋→雨野への告白があった。どちらかと言えば千秋→雨野への告白が6巻のメインであり、6巻の評価が高いということは千秋の人気が高いということの裏付けになるのではないか。また、千秋の重要イベントとして欠かせないのが、千秋が雨野の正体に気付く3巻である。3巻は総レビュー数こそ少ないものの、平均値は6巻に次ぐ高さを示していることから、千秋の人気は相当に高いものと思われる。

千秋の次に人気があると思われるのが亜玖璃である。亜玖璃は親友の彼女というポジションであるにも関わらず、3巻からヒロインの片鱗を見せ始め、4巻と5巻では物語のメインとなっている。4巻と5巻は星5つの数が1巻と6巻に次いで多く、総レビュー数も4巻から急増しているため、亜玖璃の人気が低いということはないだろう。カスタマーレビューでは雨野×亜玖璃という斜め上の展開となり、良い意味で予想を裏切られたという感想が多かった。錯綜関係の中心人物と言える存在であり、雨野×亜玖璃の関係性は天道さんの天丼芸と並んで、この作品最大の見所だと思う。

問題はメインヒロインの天道さんである。天道さんが物語のメインとなった1巻と2巻はいずれも平均値が低い。1巻は星5つの数こそ多いものの、これは総レビュー数の多さに由来するものであり、純粋な評価に含めるべきではないだろう。天道さんは2巻で早くも雨野の恋人となってしまったため、逆に物語の中心から遠ざかってしまった。3巻から千秋ルートと亜玖璃ルートの可能性が浮上し、4巻と5巻では雨野×亜玖璃、6巻から8巻は雨野×千秋に焦点が当たってきた。双六に例えると、天道さんだけが一早く上がりを決めてしまい、その後のゲームに参加できなくなってしまったという状況である。この状況で天道さんが人気を獲得するのは困難であり、千秋と亜玖璃にとっては有利な状況が続いてきたと言える。そのため天道さんが雨野との別れを決めたのは、ある意味では必然であった。逆説的ではあるが、天道さんも再びゲームに参加できるようになったことで、天道ルートを進めていくことができるようになったのである。現状では千秋、亜玖璃、天道さんの順に人気が高いと思われるが、順位の変動は十分に有り得るだろう。

2017年8月19日土曜日

ゲーマーズ!錯綜関係の本質と亜玖璃エンドの可能性

アニメの評判も上々の本作。直近の6話では原作2巻「不意打ちハッピーエンド」のラストまで進行し、言い間違えとはいえ雨野と天道さんのカップルが成立。これで錯綜関係も一件落着かと思いきや、ここからさらに錯綜させていくのが葵せきなの真骨頂。雨野×天道、上原×亜玖璃という両想いのカップルが既に成立しているにも関わらず、何故か恋人への浮気疑惑は以前より深まっていく。特に天道さんと千秋とのW浮気疑惑をかけられている上原の状況が酷いことになっており、雨野と関わってから亜玖璃との関係は拗れるばかり。そして学園のアイドルである天道さんは雨野と付き合うことでポンコツ化に拍車がかかっていく。

原作未読者にはネタバレになるが、3巻「初恋ニューゲーム」では雨野の正体に気付いた千秋が本格的に錯綜関係に参戦したことで状況は混迷。4巻「無自覚クリティカル」で雨野×亜玖璃の疑惑が真実味を帯び始め、5巻「全滅ゲームオーバー」の雨野×亜玖璃キス未遂で疑惑はピークに達する。6巻「告白チェインコンボ」では雨野→天道さんへの再告白で錯綜関係が一時的に解消されるが、千秋→雨野への告白で錯綜関係が再開。7巻「口づけデッドエンド」では千秋に敗北感を覚えた天道さんが雨野に別れを告げ、同様に雨野に敗北感を覚えた上原も亜玖璃に別れを告げる。8巻「逆転バックアタック」でも雨野×天道、上原×亜玖璃の両想い関係は継続しているが、雨野が千秋への恋愛感情を自覚したことで、天道×雨野×千秋の三角関係がついに顕在化してしまう。

登場人物全員が浮気疑惑をかけられており、さらに疑惑の一部が疑惑ではなくなるという複雑な展開。ただし、この錯綜関係は本質的には2組の三角関係に整理できると思う。それは雨野を中心とした天道×雨野×千秋の三角関係、亜玖璃を中心とした雨野×亜玖璃×上原の三角関係である。この2組の三角関係が相互作用を及ぼしながら同時並行で進展しているため、ここまで複雑な錯綜関係が生まれてしまった。このように物語を構造化すると、本作の主人公が雨野である理由がよく分かる。それは彼が2組の三角関係を結び付ける結節点の役割を果たしているからに他ならない。

錯綜関係の本質が2組の三角関係にあるとすれば、この物語の最終的な着地点はどこになるのか。普通に考えれば雨野×天道、上原×亜玖璃という当初の両想いカップルに戻って終わるのだと思う。それは天道さんが紛うことなくメインヒロインであるためだ。天道さんからゲーム部に誘われたことが物語の始まりであり、1巻を含めて3回も天道さんが表紙を飾っていることから、天道さんがメインヒロインであることに疑いの余地はない。メインヒロインと結ばれない物語は稀であることから、最終的には雨野×天道のカップリングが予想され、雨野が天道さんと結ばれる以上、必然的に上原×亜玖璃のカップリングも成立することになる。

しかし、上記の展開は構造的な欠陥を抱えている。それは雨野を中心とする三角関係、亜玖璃を中心とする三角関係が個別に解消されてしまう点である。ここまで錯綜関係を練り上げてきた物語のラストとしては明らかに違和感を覚える。2組の三角関係が有機的につながることで、ゲーマーズ最大の魅力である錯綜関係が生み出されてきた。だとすれば、錯綜関係が解消されるラストの展開としては雨野×亜玖璃のカップリング成立による錯綜関係の清算以外に考えられない。亜玖璃は確かにメインヒロインとは言えないが、雨野と同様に三角関係の中心にいるキーパーソンであり、構造的にはもう一人の主人公と言っても差し支えない存在である。錯綜関係の本質を考えれば、雨野×亜玖璃のカップリングこそ物語の着地点に相応しいと言える。

2017年8月7日月曜日

中小企業診断士受験記録Part2 1次試験

中小企業診断士1次試験に無事合格。

経済学・経済政策80
財務・会計72
企業経営理論65
運営管理72
経営法務68
経営情報システム72
中小企業経営・中企業政策63

合計492点。全科目60点を超えたので、それなりに高得点。とは言っても、TACデータリサーチで1253人中90位なので上位7%といったところか。最終的に合格率4%程度の試験であることを考えると、このレベルでは2次試験突破はやや厳しいという事実。2次試験は論述式なので、マーク式の1次試験と単純に比較することはできないが。

科目別に見ていくと、運営管理の出来が一番良く上位1%という結果。運営管理は特に得意科目という意識はなかったが、確かに過去問でも安定して得点できる科目だったように思う。運営管理は2次試験の事例Ⅲ生産・技術に関わる科目なので、2次試験でも安定した得点源にできるようにしたい。今年の運営管理は例年より難化したようで、予想外に点数が取れなくて撃沈した人が続出している模様。

次に出来が良かった科目は経営法務で、上位2%という結果。経営法務は正直苦手意識のある科目だったので、この結果には結構驚いている。これなら東大法学部でもやっていけたかもしれない。こちらも例年より難化したようであるが、受験中そのような印象は受けなかったので使ったテキストが良かったのかもしれない。

点数が最も良かった経済学・経済政策は上位4%。この科目は正直言って大学の教養レベルであり、経済学部の出身者であれば少し勉強すれば高得点を期待できると思う。暗記科目が多い中で経済学・経済政策は暗記要素がほとんどないので、個人的には心のオアシスと言える科目であった。難易度も例年並だったらしく、この科目を得点源にした受験生は多そう。

一番好きな企業経営理論は思ったより点数が伸びなかった。TAC模試ではこの科目が唯一圧倒的な成績を収めていたが、本試では上位18%という結果に。2次試験の事例Ⅰ組織、事例Ⅱマーケティング・流通に関わる科目であり、何より経営戦略への興味からこの資格を取得しようとしている自分としては残念な出来だった。

同じく上位18%なのが経営情報システム。一番苦手にしていた科目だったので、まずは40点を下回らずに一安心。去年の反動から今年は易化したようだが、まさか70点を超えるとは思わなかった。AIとかIoTとかIT分野に対する興味はあるけど、勉強していて最も適性を感じない科目であった。

衝撃的なのが財務・会計。点数こそ70点を超えているが、今年は易化した年のようで上位42%という結果。ほぼ平均。試験中は80点は確実、もしかしたら90点オーバーとか思っていたのに。過去問では80点を切ったことが無かったので、どうして易化した本試でこんなに下がったのかは検討の必要有り。2次試験の事例Ⅳ財務・会計に関わる科目であり、合格する受験生のほとんどが事例Ⅳを得点源にしているようなので今後の特訓が必要。毎日やるべき科目。

ラストは中小企業経営・中小企業政策。上位44%という結果についてはあまり文句はない。勉強前は面白そうな科目だと思っていたが、蓋を開けてみれば一番の暗記科目でひたすら退屈だった。前半の中小企業経営は地理的要素のある統計だから面白さを感じたけど、後半の中小企業政策は覚えるだけで辛かった。各政策の生まれた背景がイマイチ分からなかったのが原因だと思う。背景まで記載する余裕がなかったものと思われるが、TACにはテキストの改善を求めたい。

2次試験まで残り2か月半。何とかストレートで合格させていただきたいところ。

2017年7月22日土曜日

ゲーマーズ!8巻 星ノ守心春と逆転バックアタック 感想

ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック (富士見ファンタジア文庫)
KADOKAWA / 富士見書房 (2017-07-20)
売り上げランキング: 9

2017年3月19日日曜日

冴えない彼女の育てかた12巻 感想

冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA (2017-03-18)
売り上げランキング: 6
冴えカノ12巻読了…。何というか一つの時代が終わったような気分。次巻のGirls Side3と本編13巻で冴えカノも完結ということだが、今回の12巻が実質的な最終巻と言っても過言ではないだろう。英梨々と詩羽先輩、そして加藤。3人のヒロインとの関係性が今回で確定したような気がする。11巻読了後の予想とは全然違う展開で、加藤の家庭環境なんて一切触れられず、恋愛的な一波乱もなかったけど、冴えカノという作品を綺麗に締めるには満足のいく出来だったのではないかと思う。2chの本スレではあらすじ公表時点から散々に叩かれ、発売から一日経過した現在でも否定的な書き込みが相次いでいるが、ラストの展開は流石と言える出来に仕上がっていると思う。

ちなみに11巻読了後に冴えカノ12巻の展望と加藤恵の謎に関する考察という記事を書いたが、「冴えない彼女の育てかた 12巻」で検索すると、GoogleでもYahoo!でも最初のページにヒットするという謎の反響具合で驚いている。結局、12巻の予想は何一つ当たっていなかったわけだけど。「あろうことかデート当日にドタキャンし、向かった場所は——病室だった」という前情報と意味深な表紙が公開されたときは、相当なシリアス展開になるんじゃないかと思ったけど、それも全然当たっていなかった。

病院に運ばれたのは紅坂朱音。脳梗塞という結構危ない病気で、命に別状はないものの右手が自由に動かせない状況。偶然か運命か、マルズからの連絡を受けた倫也は加藤とのデートをドタキャンして病院に向かう。そこで脱退組である英梨々と詩羽先輩、さらに詩羽先輩の担当編集にして紅坂朱音の同期である町田さんと遭遇する。紅坂が倒れたことで、英梨々と詩羽先輩が製作するフィールズ・クロニクルは深刻な危機に直面していた。それは英梨々と詩羽先輩のマネジメントをしながら、マルズと交渉できる紅朱企画サイドの人物がいないことであった。

そこで倫也は無謀な決断をする。それは紅坂朱音の代役として、blessing softwareを脱退した二人と一年ぶりのチームを再結成することであった。二人の考えをよく知る倫也だからこそ、ギリギリのラインでマルズの要求から二人の作品を守ることに倫也は成功する。そして今回はプロデューサーとして見事に英梨々と詩羽先輩を導いていく。7巻における二人の脱退で胸を痛めた者として、この辺りはかなり胸の熱くなる展開。そして倫也とのチーム再結成に当たって、詩羽先輩と英梨々も一つの決断をした様子。

一方、フィールズ・クロニクルのサポートに回る代償として、倫也は新生blessing softwareを一時的に離れる決断をする。デートのドタキャンに加えて、一時的とはいえサークル活動を放棄したことで、倫也と加藤の間には再び溝が生まれていた。英梨々と詩羽先輩、二人と再びゲーム製作ができることに喜びを隠せない倫也だが、懐かしさと同時に加藤がいない寂しさも感じていた。四人で活動していた頃のblessing softwareを思い出す倫也。そして倫也は加藤にメールを送る。今の心情を包み隠さず文章にして、倫也はフィールズ・クロニクル作成の合間を縫ってメールを送り続けた。

そしてメールの受信音が倫也の部屋の前から鳴る。部屋の前には廊下でメールを読む加藤の姿が。かつてのサークル活動に思いを馳せていたのは倫也だけではなかった。blessing softwareの再結成を一番に夢見ていたのは加藤だった。そこに遅れて現れた英梨々と詩羽先輩。脱退してしまった二人こそblessing softwareを一番大事に思っていたかもしれない。すれ違ってしまった歯車が再び噛み合い始める。そして英梨々と加藤が抱き合う表紙のシーン。このシーンは一言では言い表せないけど、英梨々と加藤だけのシーンではなくて、後ろにいる詩羽先輩と倫也も含めた四人のシーンであるということが重要。作品の集大成と呼ぶに相応しいシーンで、アニメ化したら泣きそう。さらに美智留、出海ちゃん、伊織も合流して、新旧メンバー全員で週末のゲーム製作合宿に突入。ここで物語が完結しても良いんじゃないかというくらいの大団円。そしてエピローグではついに倫也が加藤に…。

ということで加藤ルート確定。英梨々と詩羽先輩は倫也を諦めることを決断した様子。「倫也が側にいると描けない」と言っていた英梨々は倫也の側でも描けるようになった。一年前にblessing softwareが解散したのは英梨々が原因だったけど、また再結成することができたのも英梨々の決断が鍵になったと思う。詩羽先輩が英梨々に何を話したのかはGirls Side3で補完されるんだろうけど、詩羽先輩が全てを悟って倫也を諦めるシーンはCLANNAD18話「逆転の秘策」を思い出した。WHITE ALBUM2のようなシリアス展開も見たかったけど、これはこれで良い締め方だったと思う。

2017年2月6日月曜日

中小企業診断士受験記録Part1

中小企業診断士の受験勉強を始めて半年以上が経過。1次試験7科目の内、企業経営理論、財務・会計、運営管理、経済学・経済政策の4科目まで一通り学習した。使用している教材はTACのスピードテキストとスピード問題集。中小企業診断士の受験勉強に関するブログ記事は多数あるが、ほぼ全てのブログがTACをオススメしているので間違いないだろう。スピードと冠する割には小さい文字で1科目300ページ以上の厚さなのが気に食わないところではあるが。

7科目の中でも重要なのが企業経営理論、財務・会計、運営管理の3科目である。2次試験は組織、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計の4科目から構成されており、上記3科目の内容に該当する。この3科目で一番好きなのは企業経営理論。企業経営理論は経営戦略、組織論、マーケティングから構成されるが、経営戦略に興味があるから中小企業診断士を目指していると言っても過言ではない。

中小企業診断士という資格に興味を持ったのは社会人2年目の秋頃だった。仕事に余裕が出てきて、何か資格でも取ろうかと考えたように記憶している。ただし、そもそも経営戦略に興味を持ったのは恐らく大学2年生の春頃になるのではないか。それは最初のフィールドワークで瀬戸田町のレモン生産について調査したときのことである。瀬戸内海には柑橘栽培に適した島がいくつもあるが、その中で何故か瀬戸田町はレモン栽培に特化した島であった。日本のレモン生産の半分は瀬戸田町が占めており、地理的な要因をはるかに上回る何らかの要因が働いていた。農家や農協への聞き取り調査で分かったことを当時は曖昧な表現で論文にまとめていたが、今思えばこれこそが経営戦略であろう。そして経営戦略とは企業の戦略であり、国家の戦略にも通じるところがある。近現代史における列強の戦略、現代の国際関係における国家の戦略なんかを常日頃から考えている歴史好き、地理好きには相性が良い。

ということで、経営戦略に関してはかなり自信有。昨年のゴールデンウィークに経営戦略全史という非常に厚い本を読んで、経営戦略論の歴史について一通り頭に入っていることも大きいかもしれない。マーケティングも結構好き。組織論は普通…。企業経営理論の勉強を終えて、10月から本格的に受験勉強を開始。まずは財務・会計から。受験生が最も苦手とする科目と聞いていたので戦々恐々としていたが、意外にも得意科目であることが判明。株取引に興味がある人は財務論は好きになるはず。ただし、会計は正直つまらない。財務・会計を3週間で片付けた一方、割と興味を持っていた運営管理に苦戦。商圏分析は完全に立地論で面白かったけど、他は覚える用語が多すぎて死ぬ。そして経済学・経済政策の勉強が本日完了。これも財務・会計と同じく3週間で終わった。何だろう、数字とか図表が出てくるタイプの科目が得意なのかもしれない。言い換えれば、暗記科目が苦手なのか。

残りは経営情報システム、経営法務、中小企業経営・中小企業政策の3科目。まずは中小企業経営・中小企業政策に着手する予定。何故かと言えば、一番興味を持てる科目だから。企業経営理論と同じくらいモチベーション高い。反対に経営情報システムと経営法務は心が折れそうで怖い。情報系と法律系は昔から苦手なんだよな…。ただし、この3科目は3月末を目標に終えたいところ。そして4月からは7科目の復習と1次試験の過去問に突入。7月初旬の1次試験模試を受けて、夏以降は2次試験の勉強に乗り出したい。2か月で3科目は詰め込み過ぎな気もするが、このスケジュールじゃないと2次試験に間に合わない気がする。

2017年1月28日土曜日

2016年アニメランキング

1位 この素晴らしい世界に祝福を!
異世界を舞台にしたコメディ作品。不慮の事故で死んだ佐藤和真は女神アクアから魔王討伐のために異世界への転生を持ちかけられる。アクアを道連れに冒険者として異世界に転生した和真であったが、アクアは運と知性が極端に低い駄目神で、和真は日々の生活費にも困窮する有様であった。やがてアークウィザードのめぐみん、クルセイダーのダクネスを仲間に加えた和真であったが、彼女たちもアクアに匹敵するトラブルメーカーで、和真の異世界生活は波乱に満ちたものとなっていく。

原作絵はクオリティ高いのにどうしてこうなった…という感じの残念な作画だが、作画崩壊が気にならないくらいダントツに面白い。最近急増している異世界系の作品の中では個人的に最高評価。ジャンルとしては異世界系だけど中身は日常系に近い。とにかく会話のテンポが良く、あっという間に全話視聴していた。これはキャラクター設定の賜物だろう。特にめぐみんのパートが素晴らしい。シリアス要素が皆無に等しいため、個人的な趣味からは結構離れているが、2016年では一番のヒット作。

2位 Re:ゼロから始める異世界生活
こちらも異世界ファンタジー。引きこもりの高校生ナツキスバルは突如として異世界に召喚され、命の危機をハーフエルフのエミリアに救われる。エミリアの物探しに協力するスバルであったが、何者かの襲撃によって2人は殺されてしまう。しかし、殺されたはずのスバルは生き返り、異世界に召喚された時点まで時間が巻き戻っていることに気付く。死に戻りというタイムリープ能力を得たスバルは度重なる死に直面しながら、エミリアを救うため運命に抗っていく。

恐らく2016年の覇権アニメ。初回の1時間で上手く視聴者の心を掴んだと思う。毎週続きの気になる終わり方をしていたのが良かった。ただし、タイムリープは同じ場面を繰り返すことで間延びしたストーリーになってしまうのが弱点。リゼロもロズワール邸の部分で少しダラダラしている印象を受けた。そして主人公スバルに全く好感を持てないのが個人的に残念だった。ネットで連日繰り広げられたエミリアとレムのヒロイン論争が個人的には一番楽しかったかも。ちなみに自分はエミリア派。

3位 響け!ユーフォニアム2
吹奏楽部を舞台にした青春作品。関西大会出場を勝ち取った北宇治高校吹奏楽部は夏休みも熱心に練習を重ねていた。しかし、去年退部した2年生の傘木希美が部への復帰を求めて姿を見せると、同じく2年生でオーボエの鎧塚みぞれが変調を来すようになる。副部長の田中あすかは関西大会を優先して希美を切り捨てるが、あすかの態度に疑問を抱いた久美子は問題の核心に迫ろうとする。

これぞ京都アニメーションというクオリティの高さが脚本でも作画でも発揮されていた。作画レベルはもしかすると氷菓を超えていたかもしれない。ここ女子校じゃなくて共学だよね…と感じるくらい女子同士の関係がフィーチャーされていたのは1期同様であったが、繊細でリアルな人間関係が描けていたと思う。だからこそ恋愛をテーマにした作品でなかったのが惜しい。いや、麗奈は既に恋愛しているんだけど…。でも、何かが違う。秒速5センチメートルやtrue tearsに並ぶ名作になっていたかもしれないと思うと、良作であっただけに残念。次の京都アニメーション作品に期待。